君と僕と、そして義兄。     (※グレン×深夜×暮人注意)



いつものように夜中まで掛かった会議がようやくお開きになり、グレンは疲れたように背筋を伸ばした。
今回ばかりは、何かと理由をつけて抜け出せなかったから、
結局この固い椅子に何時間も貼り付けられてしまった。本当につまらない時間を過ごしたものだと思う。
ここはやはり、ストレス発散に何かせねば気が済まない。
グレンは予想通り、自分に近づいてくる男の姿を見つけ、席を立った。

「顔に疲れてるって書いてるよ、グレン」
「そりゃそーだろ。内容が不毛すぎてウンザリだ」
「まぁまぁ。お偉いさんの考えてることは、僕らには難しいんだよ。―――さ、行こ?」
「どこに?」
「え、もちろん僕の部屋だよ。ここから近いし」
「まぁ・・・」

グレンは少し考え込みながら、しかし深夜について彼の自室に足を運んだ。
正直な話、グレンは深夜の部屋に行くのはあまり好きではなかった。
わざわざ柊のお膝元に行く羽目になるわけで、そうなると、行き帰りがとにかく面倒くさい。
もちろん、自分たちの仲がいいのは周知の事実なのだが、
特に自分1人で戻る時に、人目を気にしないといけないのが非常に面倒だった。
とはいえ、今回は既に、深夜の部屋のある階まで移動してしまったから、もう仕方がないのだが。
部屋に入り、持ってきた資料をテーブルに放る。
それから、当然のように手を伸ばせば届く位置にいる深夜の身体を引き寄せ、
軍服の上着の前を肌蹴させる。
背後から抱き締めるようにしてシャツの裾から掌を忍び込ませると、微かに甘い声音がして、深夜が仰け反るようにしてグレンの肩に凭れてくる。
露わになった首筋に、グレンは歯を立てるようにしてキスを続けた。

「んっ・・・会議終わって、すぐこれって、どうなの?w」
「散々つまんない話聞かされたからなぁ。楽しいこともしないと割に合わないだろ」
「え〜、僕はお腹すいたんだけど」
「後でいいだろ」

グレンも腹が減っていないわけではない。だが今は、目の前の彼を喰いたいという気持ちのほうが先行していた。
何せ、暇過ぎて会議の時も、正面に座っている深夜をぼーっと見つめながら、いろいろ戻ったらどんなことをするか妄想していたのだ、
早く実行せねば気が済まない。
広いリビングのど真ん中で、2人は興奮したようにキスを交わした。
唇が触れ合う前に舌が絡み、そのまま深く吐息を奪う様に。深夜はグレンにしがみつくようにして、甘いその感覚に溺れる。グレンの膝が、深夜の下肢を刺激してきて、文字通り身体が震えた。角度を変えて重ね合うたびに、鼻にかかったような声が漏れた。
欲しい、と思う。
一晩中、離したくはなかった。彼が失神するまで、散々喘がせて、啼かせて、それから。
―――と、考えていた矢先。

ガチャリ、と躊躇なく開け放たれた扉に、
2人は抱き合ったまま固まったように扉に視線を向けた。

(・・・っな・・・)
「・・・何やってるんだ、お前達」

至って冷静な、冷めた口調でそう言われ、しかしグレンは、突然の来訪者に思いっきり嫌そうに睨み付けた。
まさかいきなり入ってくるとか・・・有り得ないと思う。
相変わらず、デリカシーのない男というか。。。まぁいつものことだが。
別に隠している関係でもなかったから、グレンは腕の中の深夜を離そうとはしなかった。
深夜は、というと、グレンとのこんな姿を見られたことに、微かに顔を赤らめ、グレンの胸に顔を埋めて隠れようとしている。

「なんの用だよ」

グレンの言葉に、しかし暮人は何も言わない。
が、つかつかと歩み寄ると、暮人はグレンにしがみ付いている深夜の腕を掴み、そうして強引に引きはがす。
暮人は深夜の顎を掴むと、怯えるようなその表情を見下ろした。
目の細め、その涙目な彼を見つめる。

「・・・深夜。今日は俺との先約があったはずだが・・・忘れたのか?」
「え、・・・いや、え、うそ、ほんとに?」

―――すっかり、忘れていた。
深夜は頭を抱えた。そういえば、数日前、久々に彼と偶然出会ったとき、
会議後には時間が取れるから、部屋に行く、と言われていたのを、今、漸く思い出す。
完璧に忘れていた。
今頃思い出したような表情をする深夜に、暮人は更に冷たい目線で彼を見遣った。
これはお仕置きだな―――そう考えているらしい彼に、
深夜は身体を震わせた。

「ああ?先約だ?」
「そうだ。お前は知らないだろうが、残念だったな。こいつは俺が貰って行く」
「知るかよ。
 お前との約束なんか、深夜には忘れる程度のレベルだったってことだろ。いいから大人しく消えろって」

自分の間で激しく火花を散らすグレンと暮人に、深夜は慌ててしまった。
そりゃあ、柊と一瀬は犬猿の仲である。暮人とグレンが言い合いをするのは、日常茶飯事ではあるのだが―――、
今回の場合、明らかに自分が悪かったから、深夜はどうしていいかわからない。
それどころか、自分の両腕を、グレンと暮人が取り合いをするものだから、このままでは
収拾がつかないことになりそうだ。
しかも、本気ではないにしろ、彼らは自分の腰にさげている刀にまで手をかけ始め―――

「ちょ、ちょっと、やめてよ、2人とも・・・」
「・・・やるか?」
「望むところだ」
「もう、聞いてよ!!」

ぐい、と胸を押して、深夜は割り込む。
自分のせいで喧嘩になるのは嫌だった。深夜にとって、暮人はちょっと怖いがたまには甘えさせてくれる唯一無二の兄だったし、グレンも自分の恋人で大切だ。
そんな2人が、自分のせいで争って欲しくはなかった。

「今回は、僕が悪かった。ごめん。・・・グレン、今日のところは・・・」
「まぁ、別に俺はいいけどな。・・・1人くらい増えても、どうってことないだろ」
「え?」

顔をあげてグレンを見遣ると、彼は顎を摘まんで自分を熱心に見つめている。
その熱っぽいまなざしに、少し怯えるように兄を見遣ると、

「そうだな。俺もどっちでもいい。・・・深夜」
「兄さんまで、何言ってんの!?」

声を荒げるが、その次の瞬間、ぐい、と腕を引っ張られ、深夜はバランスを崩した。
それを受け止めたのは、自分をすっぽりと包み込むような、大きな胸だ。兄の、暮人の胸に抱かれ、
そうして、足元がふわりと浮く。まさかのお姫様だっこに、深夜の顔が真っ赤に染まった。
そんなの、グレンにだってしてもらったことがない。
どさり、と大きなクィーンベッドの真ん中に投げ出されて、ふかふかのスプリングに埋まる。
そしてその上に、当然のようにグレンと暮人も乗り上げてくる。

「ちょ・・・と待って、待ってよ」
「嫌なのか?」
「そ、そういう問題じゃないよ!?」
「じゃあ、お前が選べ。今日はどっちとしたいんだ?」
「・・・・・・う」

深夜は2人の顔を交互に見遣り、眉を寄せて俯いた。
グレンは「俺に決まってるだろ」と目線で言っているし、暮人は「俺を選ばないと・・・わかってるだろうな」と目線で言っている。
それがわかるから、深夜は唸った。
しかも、なお悪いことに、自分にとって、2人は義兄だし、恋人だし、どっちも拒めない存在で。

「・・・選べない」
「じゃ、決まりだな。グレン、お前は深夜の腕押さえてろ」
「俺に命令すんなよ」
「ちょ・・・」

グレンと暮人は、お互い悪態をつきながらも、深夜の衣服を脱がしにかかった。
グレンは深夜の背後から抱きしめ、深夜の耳朶を甘噛みしながら、軍服の上着を脱がせ、そうしてTシャツの下から既にツンと立ち上がった蕾を弄ぶ。
左腕は深夜のほどよくついた腹筋のあたりをくすぐるようにしながら、右手で摘むように深夜の乳首を何度も弄ってやれば、
簡単に漏れる嬌声。下肢のボトムは既に、暮人にあっさりと奪われてしまっている。
見られるのは初めてではないが、グレンには見下ろされ、暮人には足の間からその部分を眺められ、
普段の数倍の羞恥心が沸き起こる。
ましてや、彼らは無言でじっと見つめてくるものだから、
深夜は思わず身を捩ってしまった。
触れるか、なんとかして欲しいのに、男の胸に抱かれたまま、両足を目いっぱい拡げられて
その中心を見つめられるなんて、もう耐えられない。

「・・・グレン」
「あ?」
「前はお前に任せる」
「へいへい」
「・・・深夜、もう、入れるぞ」
「ちょ、入れるって・・・あ、あああっ、駄目・・・!!」

ぐっと、2本の指がずぷずぷと音を立てて最奥まで入り込んできた。
初めての行為ではない。初めてではないが、それでも羞恥と緊張に固まっていた深夜の身体には、
少しばかり辛い行為である。しかも、暮人の指はとても長くて、
簡単に自分の最奥にたどり着く。快楽の根源を、的確に刺激するその指に、
深夜は簡単に惑乱した。
ぴくぴくと、己の雄が痙攣して、早くも先走りが溢れてくる。

「あー、すっごい、ひくひくしてるな」
「っひ・・・触らな・・・っ」

グレンが少し面白げに、指先だけで深夜の先端を突いた。
これも、また、焦らしプレイすぎて深夜には辛い。
触らないでくれ、と口で言ってはいるものの、正直な話、早く直接的な刺激が欲しい。
根本から砲身まで、激しく擦ってしまいたいのに、
グレンは指先で溢れる液を亀頭に塗り拡げるだけだ。思わず、自分の手で握ってしまいそうになるが、
残念ながらグレンの腕で、深夜はがちりと拘束されてしまっていた。
ましてや、更に、摘まれたままの乳首に爪を立てられる。

「―――いっ・・・!」
「・・・すごい、締まりだな。そんなに俺の指がスキなのか?深夜」

はは、と笑われ、深夜はもう、暮人の顔を直視できない。
無意識に、下肢を閉じようとする足を、暮人の腕が許さない。それどころか、
更に両足を開かされ、胸のあたりまで持ち上げられる。
グレンの腕が、深夜の腕ごと、足まで固定してきた。3人の目の前に深夜の後孔が晒され、
深夜はもう泣きそうだ。いや、既に頬を一筋、涙が零れおちる。

「はは。もうイきそうじゃないか?」
「ん・・・やだ、駄目・・・」

2人の前で、簡単にイかされるのは深夜にとっても恥ずかしすぎて。
耐えられなかった。けれど、彼らに与えられる快楽に、
自分が堪えられないこともわかっている。
恐怖すら感じた。
自分の身体がどうなってしまうのか、それすらも想像つかない。

「グレン、イかせてやれよ」
「あ?こいつナカだけでイけるよ。むしろそっちのほうがスキなんじゃないか?」
「ちょ、グレン・・・何言って、」
「ま、それもそうか。・・・じゃ、イって見せてもらおうかな」

楽しげに嗤って、暮人の指が増やされる。更に強まる前立腺への刺激に、深夜は唇を噛み締めた。
添える様に自分の砲身にあるグレンの指だけでも、興奮するのに。
もう、抑え切れない。頭が真っ白に染まる。深夜は無意識に、グレンにしがみ付いた。背後から抱きしめられる男の熱が、
ひどく心地いい。

「や、もう・・・っあ、あああっ―――!!!」

びくびくと砲身を痙攣させ、深夜は己の肌を、今だ脱がされていない灰色のTシャツを、
自分の精液で汚していく。断続的に吐き出されるそれに、
グレンと暮人は嬉々として見下ろした。
はぁはぁと、もう既に息も絶え絶えの深夜が、とても可愛くて仕方がない。

「あー、もうたまんねぇなぁ、おい」
「深夜、お前、早く俺に入れて欲しいだろう?」

朦朧としたまま、自分を見上げる深夜に、暮人は問う。

「っあ・・・う、うん、兄さ・・・」
「じゃあ、まずは奉仕してもらおうかな。―――舐めろ、深夜」
「っん・・・」

既にまともな思考回路を保てていない深夜は、目の前に差し出される雄を、嬉々として舐め始めた。
右手で砲身を掴み、擦るように根本から先端までを何度も往復させ、そうして先走りを溢れださせる。暮人は堪らなくなり、
唇を噛み締めて、深夜の頬に押し付ける。ぬらぬらと光るそれに顔を穢され、それでも深夜は嫌がらない。

「てめ、ずりぃぞ」

その表情に、グレンもまた、ベッドに膝立ちになり、深夜の左頬に己のそれを押し付けた。
こちらも、暮人のイチモツと比べても負けず劣らずの質量だ。深夜は左手でそれを掴み、口づける。
舌を出して、先走りを舐め、そうして亀頭からカリの部分を中心に、何度も唾液を絡ませるように舌を使うと、
イライラと己の頬に押し付けられる暮人の雄。
まったく、口は1つしかないというのに、両方の奉仕を求められて、
仕方なく交互に2人の雄を口内に受け入れる。顔も、髪も、口内も、既にどろどろ。
それでも、深夜は両手に暮人とグレンの雄を包み込んで、ひどく妖艶な笑みを浮かべた。
欲しくて、たまらないと思った。
2人が、自分の身体で、これだけ感じてくれていると思うだけで、
自分の下肢もまた、イきそうになる。

「・・・っ・・・出すぞ、深夜」
「俺も・・・そろそろだっ、」
「っう―――・・・来て・・・いいよっ・・・」

深夜が顔を顰めた瞬間には、深夜の視界が再び真っ白に染まっていた。
顔面に放たれる、男の精。深夜は口を目一杯に開き、2人の精液を受け止める。それでも、飛び散ったそれは、
深夜の耳や首筋、頬や鎖骨を汚していった。糸を引くようなぬめったそれを舐めて、
深夜は恍惚とした表情を浮かべる。

挿絵

そんな深夜の淫らな姿に、グレンと暮人の雄も、再び熱を持つ。
そこで、グレンは暮人を見た。
同時に、暮人もグレンを見遣る。一瞬の、攻防。火花が散るかと思われたが、
今回はあっさりと暮人が折れた。暮人は深夜の腕を引き、己の身体で抱き止めるように四つん這いにさせる。
頭を撫でて、唇を奪った。ねっとりと舌を絡め、深夜もまた、その気持ちよさに溺れる。
グレンはというと、深夜の背後に回り、彼の腰を高く掲げさせた。
先程暮人にほぐされた箇所は、もう既に淫らに濡れていて、簡単に自分を受け入れてくれそうだ。
グレンは己自身を軽く扱くと、先端を深夜のひくひくと蠢く秘孔へと宛がった。
深夜は、その重い感触に思わず身体を竦めた。
焦らすように尻の隙間で何度も擦ってやると、深夜の表情が歪む。
もう、ナカが、欲しくて、どうしようもなくて。
深夜の砲身も、もうはち切れんばかりだ。ぎゅ、と暮人のはだけたシャツを握り締めて、
圧倒的な質量に耐える。暮人は楽しげに深夜の髪を掴んで、
再び己の雄に顔を埋めさせる。深夜はもう、完全に快楽に溺れてしまっていて、
暮人のそれに口づけ、頬擦りするように舌を使って舐め上げる。

「深夜、いくぞっ・・・」
「っ・・・あ、ああっ・・・来て―――っ・・・」

と、次の瞬間、ぐっと、下肢に力が籠められ、太いそれが己のナカを侵食していった。
深夜はその感覚に溺れそうになるが、けれど暮人はそれを許さない。
あくまで己の奉仕を強要する暮人に、
深夜は大きく口を開け、彼を受け入れながら、懇願するように瞳を向ける。
涙目の青い瞳に、暮人は彼の頭を撫でてやった。
グレンが深夜の下肢を深々と貫く度に、深夜の縋り付く力が強くなる。そんな彼の反応も心地いい。

「これは・・・結構面白いかもな」
「まぁ、たまにはいいかもな。深夜も結構悦んでるみたいだし、と」
「っあ―――っ、や、ああっ・・・」

ぱたぱたっと先走りをシーツに零し、そうして下肢の快楽と、
そうして目の前で男の雄を受け入れている事実に深夜は酔い痴れていた。
もう、何も考えられない。
ただ、愛する男たちに抱かれ、惑乱される。
2人の熱に翻弄されて、頭がおかしくなる。身体の奥まで満たされ、グレンの熱で犯され、
これほど幸せなことはなかった。
バラバラになりそうな程感じている自分の身体を抱き留めるのは、
強く凛々しい義兄の腕で、こちらもまた、ひどく愛しくて。

「す、ごいっ・・・おかしく、なるっ・・・」
「深夜・・・」
「イっていいぞ?」
「んっ・・・兄さ・・・グレンっ・・・」

背を抱きしめ、背骨にねっとりと舌を這わせる感触に、ぶるりと震える。
ぐちゅぐちゅと音を立てて繋がった箇所に、次の瞬間、熱い飛沫が放たれる。

「っく・・・」
「深夜、俺もイくぞっ・・・」
「んんっ・・・」

内部の熱さと、喉の奥に吐き出される精、そして己の下肢からもまた、衝動的に吐き出される白濁。
もう、全身がべとべとで、身体のどこもかしこも、重いくらい。
疲れ切って完全に力が抜けてしまった深夜を、暮人は前から、グレンは背後から抱きしめる。
もう、ほとんど意識を飛ばしている深夜を腕に抱えながら、
2人は愛おしげに、お互いの腕の中の存在を見つめたのだった。





end.





Update:2015/07/08/WED by BLUE

小説リスト

PAGE TOP