オトコの青春



外は既に、空がオレンジ色に染まっていた。
雲の隙間から差し込む光の乱反射によって、昼の終わりを告げる色合いがとても綺麗だ、と
グレンは窓の外を見ながら目を細める。
下校時間は、とっくに過ぎていた。
教室に残っている者は、誰もいない。基本的にこの学校の生徒は柊の定めたルールに忠実だ。
教室に居残ってだべる人間など誰もおらず、皆、修練場へ向かったり、それなりの名のある家ならば、自宅で修練を続ける。
そんな学校で、なぜ自分がこの教室で居残りしているかといえば。

「はぁ・・・めんどくせぇ」

グレンはうんざりと積み上げられた課題プリントを見遣った。
知っての通り、グレンは、この学校では終始、実力を隠すことを念頭に置いている。
入学試験だって、有り得ない程の手を抜いて挑んだのだ。だが、本気でやっている様に間違った解答を出す、というのはなかなかに難題だ。
この課題は、グレンにだけ与えられた追加課題だった。
先日のテストで、落第点すれすれの点数を取る予定だったのだが、
担任の嫌がらせで、自分だけが補習をさせられる羽目になってしまったのだ。
別に内容としては大したことがないのだが、とにかく上手く出来の悪い解答にしなければいけないのが
面倒臭い。
だが、今日中に終わらせなければならないそれを放棄するわけにもいかず、
グレンは適当に従者たちに先に帰っているよう伝え、そのまま教室で適当に解いていた。
のだが。

「あれ、グレン〜まだいたの?」

ガラッと音がして、教室の後ろの扉が開いた。深夜だった。
彼もまた、2時間以上前に帰ったはずだった。なのに、未だに制服姿で鞄を抱えている。
グレンはまた、嫌そうに顔を歪めた。

「何の用だよ」
「え、グレンに用があったわけじゃないよ?ちょっと忘れ物をね〜」

と、深夜は隣の席に座り込んでくる。うざい。
忘れ物、というわりに、机の中を漁ろうともしないし、というより、彼の机には
ほとんど何も入っていない。必要ないのだろう。自分もそうではあるのだが、彼もまた、
生徒たちが受ける授業など、レベルが低すぎて聞いている意味もないのだろう。
もちろん、彼がそんな態度でも、他の教師や生徒が文句など言わない。だから深夜は思う存分、己の柊姓を利用して、
学校では自由気ままに生活していた。
まぁ、自分には関係のない話ではあるが―――・・・

「・・・じゃあ、さっさと帰れって」
「やだ。」
「うっぜぇなぁ。じゃあ半分解け」
「いいよ?超優秀な解答書いてやるから」
「っざっけんな」

深夜の手のひらから、プリントを取り上げる。深夜はからかう様に、それをひょいと動かして、グレンの手から逃れる。

「返せ」
「嫌だね〜!悔しかったら奪ってみてよ」
「っクソが・・・」

もう、付き合ってなんかいられない。こちらとしても、馬鹿な時間を過ごす前に、
早く終わらせて帰りたいのだ。
とんだ邪魔が入ってしまった、と思う。
面倒になって、グレンは腕を上げてひらひらと紙を掲げている深夜の椅子を蹴り上げた。
結構本気で蹴りつけたから、案の定、彼の座っていた椅子がぐらりと傾く。一瞬焦ったような顔をする深夜に、
グレンがにやりと口元を歪めてやると、その瞬間、
がしりと襟首を掴まれる。そのまま、ぐい、と思いっきり引っ張られて、
こちらも完全にバランスを崩してしまっていた。
椅子と一緒に倒れ込む深夜に強引に引っ張られて、グレンもまた受け身を取る。深夜の上に乗り上げる格好になり、
グレンは顔を歪めた。背をしたたかに打ち付けた深夜は、それでも、はは、と楽しげに笑う。
無言で睨み付けると、深夜は少しだけ上気したように息を吐いた。
丁度重なった下肢が、熱い。
グレンも、深夜の熱をもった下肢に気付いたようだった。手を伸ばして、彼の首に腕を絡める。

「・・・欲情しちゃった?」
「馬鹿いえ」
「そう?でも、僕はしたくなっちゃったなぁ」

ぐい、と頭を引き寄せ、深夜はキスを求める。触れ合う寸前で、しかしグレンは頭に力を込めた。
この男と関係をもったことはないことはないが、あまり、もちろん、大っぴらに言える関係ではない。
そもそも、この男は柊で、自分は一瀬だ。
敵同士、ただでさえ、深夜が自分に何かと絡んでくる、というだけで、
柊の監視の目線が痛いのだ。
ましてや、こんな教室で。
どこに、どの監視が潜んでいるとも限らない、グレンは緊張した面持ちで、周囲の気配を探る。

「大丈夫だよ」
「・・・」
「僕が、みんな眠らせてきたし。今日中なら誰も見てない」
「信用できないな。第一、何が起こるかわからないだろ」
「まぁまぁ。これでも、一応誰も入れないように結界張ってきたんだし」

つまり、この男は、元々そういう目的でこの教室に入ってきた、という事で。
グレンは、今度は本気で、深々とため息をついた。
見つからないのは、まぁいいだろう。見つかっても、正直な話、自分はどうということはない。
だが、問題は時間だ。
時間は待ってくれない。もう既に空が暮れかけているし、
課題もこれでは終わらせられないではないか。

「・・・俺は忙しいんだよ・・・」
「まぁまぁ。こういうシチュってなかなかないだろ?放課後の教室でエッチ、って憧れてたんだよねぇ」
「お前馬鹿だろ」
「はは」

呆れたように顔を顰めるグレンに、今度こそ深夜は、グレンの唇に己のそれを寄せた。
重なった唇から、求めるようにすぐに舌が伸びてくる。眉を寄せながらも、彼の舌を受け止めた。
グレンも、深夜が嫌いなわけではない。面倒臭い奴だとは思うが、
こうして健気に自分を求めてくる姿は、それなりに可愛いと思う。
ただ、少し時と場所を選んでもらいたいものだ。

「ったく・・・お前は盛りのついた犬かよ」
「ん・・・でも、グレンもでしょ?」

ぐっと、グレンの下肢を掴んで。深夜は勝ち誇ったように笑う。
実際、グレンの雄もまた、深夜の手の中で、既に確実に熱を持っていた。
それこそ、条件反射のように。グレンは目を細める。

「僕の誘いを断ったこと、ないもんねぇ」
「てめぇ、調子に乗んなよ?」
「あは、素直じゃないなぁ〜。ま、そんな君も好きだけれど・・・」

生意気な深夜の言葉を塞ごうと再び唇を重ねながら、
グレンは彼の衣服の襟元に指をかけた。片手でボタンを器用に外し、素肌を晒させる。
もちろん、深夜もされるがままにはなっていない。グレンのシャツを脱がせ、そうして肌を重ねる。
まだ初夏だというのに、既にじっとりと肌が汗ばんでいる。
その吸い付くような感触に深夜は笑った。グレンの唇が離れ、そのまま首筋から顎を辿り、そして鎖骨を執拗に舐める。
深夜の弱い所の1つだ。そのくすぐったい感触に無意識に身を捩ると、
強くそこを吸われて、簡単に痕がつく。
夏場は、どうしても襟元を緩めるから、それはひどく目立つ場所で、しかし深夜は恍惚とした表情で、
その感触に身体を震わせた。

「それ、僕が君のモノだっていう証?」
「俺の下僕だっていう証」
「はは。いいね。もっとつけて?」

だって、もう。
自分は、彼の下僕といっても嘘ではないくらい、彼に溺れている。
深夜は、あの襲撃事件のことを、何度だって思い出す。
自分に対して、下僕になるか、と問いかけたあの時のグレンの顔を、もう一生忘れることはないだろう。
胸が高鳴ったあの瞬間を、深夜はいつだって噛み締めている。
自分の胸元に顔を埋めるグレンの頭を、深夜は抱えるように抱きしめた。
小さな蕾のようなそれに、ねっとりと舌を絡めながら、時折強く吸い上げるだけで、
簡単に肌がバラ色に染まる。もう、下肢は刺激を求めていて、グレンの身体にこすり付けるように揺れている。
布越しであるから、ひどくもどかしいが―――、それでも、
彼の欲望を煽るには、とても効果的だった。
紅色に染まってくっきりと勃ちあがったそれに歯を立てられて、深夜は思わず声を上げてしまう。

「っア、ああっ・・・いいよ、グレン・・・」
「―――っち、」

舌打ちをして、もう既に、乱れに乱れている深夜を見下ろした。
既にグレンは、深夜の足の間にいて、はち切れんばかりに布地を押し上げている深夜のそこを見遣る。
掌で、ぐい、と下からその部分を押し上げて刺激を与えてやる。あ、と声をあげ、快楽に酔いしれたような表情。
きっと、この先の予感に震えているのだろう。そして、尚悪い事に、今のグレンには、
彼のその期待を裏切ることは、残念ながらできなかった。
自分だって、このまま終われるはずもない。
深夜のベルトに、性急に手をかける。深夜も手伝って、するりとベルトが外れる。ジッパーを緩ませ、そうして下着ごとずり下げる。
片足だけ外させて、そうして胸元まで、ぐい、と持ち上げた。
羞恥に、素肌の腿が少しだけ震えている。隠そうとする動きがないのは、きっと痩せ我慢だ。
深夜の表情が、少しだけ耐えるように唇を噛み締めている。
完全に勃ち上がり、天を向いているそれには触れずに、股の付け根から内腿をするりと撫で上げてやると、
ひくりとそこが震える。明らかに感じている反応で、グレンは笑った。
ぐい、と両足を開かせて、もちあげる。
下肢の奥で息づくそこを晒させて、指を宛がう。
案の定、彼の肉襞はきつく口を窄めていて、これでは慣らすのも容易ではないだろう。
あまり、悠長にしていられるわけでもないし、
さてどうするか、とグレンが指を唾液で濡らそうとしたところで、
深夜が口を開いた。

「っあ、そうそう・・・ローション、鞄の中にあるから」
「持ってんのかよ」
「だって君がちゃんと用意してくれないからさ〜」

普通、気を使ってくれるのってそっちじゃない?とへらず口を叩く深夜に、
黙らせるようにソコにローションを垂らし、一気に指を突っ込む。
すると、あれだけ他人を拒むようにしっかりと閉じていたそこが、途端にひくひくと開閉し始め、

「っひ・・・あ、いきなりかよっ・・・」

悲鳴のような声音が響き、それでもローションに誘われて2本の指がいとも簡単に奥まで呑み込まれてしまった。
だが、だからこそ、深夜にとっては余計に痛い。
いきなり最奥まで侵入されても、まだ狭まったままのそこの中は、感じる準備が出来ていないのだ。
ただの異物と勘違いして、ぎゅ、と生理的な反応で平滑筋が収縮してしまう。
深夜は顔を顰めた。

(だから、あんま好きじゃないんだよね・・・)

朦朧とした頭で、深夜はぼやいた。
元々きつい場所を、唾液や先走りだけで時間をかけて丁寧に解してくれるグレンのほうが、正直好きなのだ。
ローションがあると、その滑りに頼るだけで、全然面白くない。
こう、強引に緩めさせられているような感じさえするのだ。
だが、まぁ、今はあまり悠長にしていられる場合ではなかったから、仕方ないのだが。

「ローションがあるからって、楽すんなよ」
「使えと言ったり、使うのヤダって言ったり、どっちなんだよ」
「お前の使い方が駄目なんだよ!ったく、これだからヘタクソは・・・」
「ほ〜」

グレンの目が細まる。
その視線はひどく剣呑で、密かに深夜はやばい、と表情をこわばらせた。
彼をからかうのは楽しいが、あまり度を過ぎると、本気で怒らせてしまう。そうなると、
自分がひどい目に合うのは目に見えていた。
もちろん、グレンから与えられる感覚はなんでも好きだが、
それでも苦しいことは苦しい。
下手をすると、この熱を持ったまま放置されることだって有り得た。
実際、グレンの自制心は大したもので、
本当に、熱を高められたまま、手足を縛られ、下肢の根本を縛られて一晩放置されたことだってあった。
あれは正直、涙が出るほど辛かったのを覚えている。

「ヘタクソが、なんだって?」
「っく、ばか、やめ・・・っ」

まだまともに解されていない箇所を、2本の指でぐりぐりと広げられる。
正直、ひどく苦痛だった。更に指を3本に増やされ、ぐちゅぐちゅと音を立てながら、前立腺を執拗に責められて、
深夜は強引に、限界まで高めさせられる。

「っい・・・ぁああ、っ―――!」

次の瞬間、触れてもいない深夜の底から、どくどくと白濁液が吐き出された。
白い肌と、中途半端に脱がされた白いシャツがべっとりと汚れる。グレンの衣服をも汚すそれに、
グレンは眉を顰めた。まったく、白い布地だったからいいものの、これが学ランだったら、大変なことになるだろう。
まぁそれでも、深夜の乱れた姿は、グレンの目を愉しませてくれる。
ぐったりと力の抜けた深夜の身体を、グレンはひっくり返した。
これ以上、服を汚されるわけにもいかない。床なら吹けばなんとかなるだろう。
膝と肘で身体を支えさせて、腰を高く上げさせる。再び晒された深夜のそこに指を突っ込んで、
今度はゆるゆると、焦らすように入口の襞に何度も指を這わせた。

「んっ・・・あ、やだ、も・・・」

ローションを追加して、背筋から隙間に垂らしていく。深夜は焦らすようなそれに、ひどく感じたのか、
そこを何度もひくひくと開閉させていた。
まるで、何かを求めるように。もちろん、欲しいものはわかっているのだけれど。
深夜は強請るように、頭を床に押し付けたまま、こちらを見つめた。
その瞳は先程の強気な色合いと違っていて、ひどく弱気で。
涙すらにじませるそれに、グレンは少し口元を緩めた。下肢からとろりと溢れだす液体が深夜の内股を濡らしていく様子が、
ひどくいやらしい。これほど滑るそれを掌ですくい上げて、両手で彼の尻を撫でてやる。
今、この状態で、誰かに見つかったら、と思うと、
ひどく背徳的な気分だった。
まぁそれでも、ここまでくれば、この男の淫らな姿を見せ付けてやってもいいだろう。
グレンは、己の雄を取り出すと、こちらも完全に質量を増した熱塊を、深夜のその部分に宛がった。
きゅ、と窄まるそこを、両手の親指でぐっと拡げ、赤く熟れた肉襞が見えるほどに広げてやる。そうして、己の雄を突き入れる。
深夜の身体が揺れる。それと同時に、深夜もまた、苦しげに顔を歪めて、言った。

「っ・・・床、痛いんだけど・・・」
「我慢しろ」

中途半端に先端を埋めたまま、手を伸ばして深夜の鞄を引き寄せる。そうして、彼の頭に置いてやった。
ぎゅ、と抱えるようにして、深夜はそれに縋り付く。
その姿を見つめながら、グレンは己の雄を内部へと押し込んでいく。
内部はひどく熱く、眩暈すらしそうだ。
眉を顰め、一気に奥を犯したい衝動に耐えながら、グレンは最奥までゆっくりと押しこんでやった。
強引に犯すのもいいが、こうしてゆっくりと内部を浸食していくと、
深夜が自分を感じて、受け入れていく様子がひどくしっかりとわかるのだ。
内部のグレン自身を、深夜の肉が、絡み付くようにして求めてくる。
深夜は熱い吐息を吐きながら、己の身体を犯す圧迫感に耐える。

「・・・動くぞ」
「う、うんっ・・・っは、ちょ、と、もっとゆっくり・・・」
「うるさい。これでも、ゆっくりやってんだろうがっ」

小刻みに腰を揺らして、内部の襞を捲るように何度も押し込んでいく。かと思えば、
一旦、抜けるほどまで腰を引き、そして一気に最奥までを貫かれる。頭が真っ白になって、今すぐにでもイきそうだ。
2度目の射精は、すぐ目の前に迫っている。
ぼんやりとした瞳で、ふと、顔を上げれば、
視線の先には、窓ガラス。その先には、向かい側の校舎の、屋上。
人影が、見える。
もうすぐ夕闇に溶け込みそうな薄暗い中、明々と電気がついた自分たちの教室を、
見つめている、視線が―――

「っあ・・・や、だぁっ・・・」
「?どうした?」
「っ・・・な、なんでもないっ・・・」

といいつつも、深夜の下肢は、途端にぎゅ、と締まってしまい、グレンは痛みに顔を顰めた。
不審げに深夜を見遣るが、彼は瞳をきつく閉じてしまっていて、それ以上、何も言おうとしない。
グレンは深夜が一瞬、顔を向けた方向を見遣った。
向かいの校舎の、屋上。
そこに立っている人影に、グレンも気づく。
―――柊暮人だった。
深夜の兄で、ここの生徒会長で、一瀬を不審に思っていて、そうして監視を付けている、張本人。

「っ・・・はは、こりゃ一本、取られたな」
「や、グレン・・・激しっ・・・」
「だが、もう、やめるにもやめれないだろ?お前が淫乱なのは、今更だし」

肩を竦め、グレンは見せ付けるように、深夜の顎に手をかけ、窓の外に向けさせる。
うっすらと開けた深夜の瞳が、再び暮人を捕えた。その冷徹で、冷静な視線に―――惑わされる。
絶望と、背徳感。グレンとこんな行為を晒していることに、
あの冷めた視線で見つめられていることに、
何故か興奮する。萎えかけた自身が、再び先ほど以上に熱を持ち、今にも吐き出したいと訴える。
深夜は唇を噛み締めたが、
その途端、グレンの下肢を犯す動きが激しくなった。

「っあ、ああっ・・・や、あ、んうっ・・・―――」
「ほら、イけよ。お前が俺の下僕だってことを、見せ付けてやれ」
「い、やだっ・・・あああっ・・・―――」

グレンの手のひらが、己の雄を捕え、包み込む。
下肢を犯すその動きと、掌の中で擦られるその感触に、深夜は簡単に脱落してしまった。
びくびくと身体を痙攣させながら、深夜はグレンの手のひらと床に、己の欲望の丈を解き放ってしまった。
ふたたび顔をあげると、もう既に、暮人はいない。
だが―――
幻ではなかった。あの視線は、確実に、こちらを見据えていた視線で―――

「・・・っは、やっぱり・・・」
「ん?」
「こんなとこで、するもんじゃないよね・・・」
「なんだお前。今頃気付いたのか?」

グレンは、はは、と笑った。
ずるりと己の下肢を抜き、深夜の鞄からポケットティッシュを取り出して後始末をする。
その手際はひどく冷静で、本当にむかついた。
こっちは、さんざん喘がされたというのに、優しい言葉の1つもない。
もちろん、誘ったのはこちらだったから、何も甘えたことは言えないのだが。

「ったく、今晩は課題、真面目に手伝えよ」
「え・・・いつまで学校にいる気だよ」
「は?もうすぐ完全下校時刻だぞ。そろそろここに立てこもるのもまずいからなぁ。お前んち行くわ」
「・・・はは、またヤる気?」
「お前次第だなぁ」

こういうグレンの、セックスをした後の澄ました顔が、本当に嫌いだった。
なのに、どうして自分は、それでも彼の傍にいたいと思うのだろう。
とりあえず、身体がきつくて、もう、しばらく動けなかった。
グレンは無言で、衣服を着せていく。

「ったく・・・馬鹿グレン」
「お互い様だろ?」

グレンは深夜の額にキスを落とす。
何にも言えなくなった深夜は、顔を真っ赤に染めたまま、グレンの肩に顔を埋めたのだった。





end.





Update:2015/07/14/TUE by BLUE

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