君の甘さに溺れたい



今、俺は自分の部屋のキッチンで、深夜と一緒にケーキを作っている。
普段なら、ほとんど自らキッチンに立つことはない俺や深夜が、何故こんなことをしているかといえば、この能天気な馬鹿が夕方、執務室に突然やってきて、クリスマスといったらケーキ、ケーキといったら手作りだよねぇ、とまた面倒そうなことを言い始めたからである。
勿論、世界が崩壊した今の時代に、ケーキ屋はないから、必然的にケーキを食べるということは手作りケーキを食べることになるのだが、いつものようにじゃあ小百合に焼いてもらうか、といったら、深夜は唇を尖らせて「それじゃこの間と一緒じゃん」と不平不満を漏らしたのである。
ちなみにこの間、というのは、深夜自身の誕生日のことだ。
僕はグレンが作ったケーキが食べたいの!!と馬鹿なことを言って駄々を捏ねる深夜に、いい加減俺は面倒くさくなって、曖昧に頷いてしまったのがまずかった。
明日は、無理矢理俺も深夜も休みを取っている。
だから、夜は当然、そうなることは予想がついていたから、今日くらいは仲間と過ごすよりは、こいつと過ごすのもいいだろう。
・・・などと殊勝に考えてしまった結果がこれだ。

「ん〜んまい〜」
「っおい、つまみ食いしてないで真面目にやれ」

つい、顔を顰めてしまう。今、彼にはケーキ・・・所謂スポンジケーキで一番重要な、メレンゲの部分を作らせていた。
小百合にもらったレシピは、彼女からすると「すごく簡単」で「作りやすい」という話(※彼女談)だったが、もちろん、俺や深夜みたいなガサツな男が作れるようなシロモノじゃない。それはよくわかっている。
だが、どうせなら見せられるものを作りたい。そう思って結構自分としては真面目に作っているつもりなのである。硬いバターを練るのがとても難しく、レンジで軽く加熱しただけのつもりがドロドロの液体になってしまい、慌てて氷水で冷やしたのはここだけの秘密。だが、隣で手伝っているんだか遊んでいるんだかわからない深夜は、ただただ、電動ミキサーで卵白を掻き混ぜればいいだけの仕事のくせに、しょっちゅうスイッチを切っては、ふわふわの泡に指を突っ込み、それをぺろりと舐めて、幸せそうに笑みを浮かべているのだ。
その姿はとても可愛く、つい見入ってしま・・・いや、非常に汚い。第一、舐めた指をまた突っ込むなんてなんたる不潔。

「いや、だってこれすんごい甘いよ?」
「そりゃお前が砂糖倍量いれたからだろーが」
「甘い方美味しいじゃん」
「なんでイコールなんだよバカ舌」

まぁそれでも、どうせ食べたい、と強請ったのは深夜だから、こいつが全部食べるんだろう。なら、別に甘すぎても大して問題ない。
問題は、作りかけの段階で既に、メレンゲの量が減っているのではないかという今の状況。

「・・・ちゃんと、ツノは立ったのかよ」
「うん、ばっちりだよ〜。ホラ」
「・・・・・・」

泡だて器を上に持ち上げると、三角に盛り上がった先がへにゃん、と曲がる。・・・・これでいいのだろうか。小百合のレシピには、ピンと立つまで、と書いてあるのだが・・・。

「・・・まぁいいや。じゃあこっちの黄身のやつと入れるから、電動ミキサーで混ぜろ」
「うん。・・・―――――んんっ!?」

だが、低速でな、と言うのが遅れた。
まずった、と思った時には、先程までかき混ぜていた勢いで、深夜は何も考えずにスイッチを強に回していて、バターと黄身の混じった液体が勢いよく跳ねる。とっさに顔を庇ったが、真っ白なシャツに飛び散ってしまう。深夜に至っては、ボウルを覗き込んでいたためか、思いっきり顔に掛かって思わず目を瞑っている。

「―――っ、たく、汚ぇな」
「だ、って、グレンが勢いよく入れるからじゃん」
「考えなしに混ぜるからだろ?まったく」

深夜の頬に掛かったどろりとした液体を指先で拭ってやり、濡れた指をぺろりと舐めた。こちらも砂糖が半分入っていたから、結構甘い。己のシャツについた黄色を見つめて、あーあ、と嘆く男の、鼻先や頬を未だに汚すそれを、俺は直接舐めてみた。
唇を寄せ、吸い付くように。舌で舐め取ると、深夜は予想していなかったのか、身体がびくりと震える。そして、瞳を丸く見開いて、次の瞬間にはかすかに頬を色づかせるものだから、少し笑った。
彼と付き合って、それなりに長い。
だから、これと言ってしていないこともない。
彼の身体の隅々まで知っているし、その全てに口づけたこととだって何度もある。だから今更、こういった事ぐらいで照れたように瞳を反らしてしまう深夜が、俺はとても可愛いと思う。

「・・・・・・」
「・・・ちょ、変なこと考えないでよね」

じっと彼を見つめてしまっていると、軽く胸を叩かれた。ああ、すっかり忘れていた。
そうだ、ケーキを作っていたのだった。確かにこの状況で夜モードに入るわけにもいかないだろう。電動ミキサーでスイッチを入れずに軽く混ぜた後、ゴムベラに持ち替えて、粉モノと一緒に混ぜる。
その間も、深夜は泡立て器についたメレンゲを指先で掬っては舐めているのだから、本当に、股間の平和維持に優しくない光景である。
俺は必死にそれから目を逸らして、おぼつかない手つきで、ゴムベラでボウルを回しながら(?)全体を掻き混ぜた。
だが、正直これじゃない感がすごい。
ヘラを持ち上げると、こう・・・ゆるゆるとリボン状に落ちるのがいい、というのだが、これではただのとろりとした液体だ。少しは文字を描けるような感じだが、何かが原因で緩くなりすぎてしまったのだろうか。
だが、もう今更である。
小百合にもらった円形の型に流し込んで、そうしてオーブンを予熱する。型の横からトントンと叩くと、成程、中の空気が上に飛び出してきておもしろい。
深夜も覗き込んで、ふふ、と意味深に笑い声をあげる。

「あとは焼くだけ?」
「そうだ。・・・お前ほんと何も手伝ってなかったなぁ」
「いや、めっちゃかき混ぜたじゃん。ケーキ作りでメレンゲは一番大事よ?」
「それをつまみ食いして半分に減らしたのはどこのどいつだ?」

軽く睨み付けると、深夜は悪びれず、えへへと笑う。そんな彼に絆されて、今まで付き合ってきてしまったのはいつものことだ。
百七十度で三十分。
予熱が終わったオーブンは、チン、と間抜けな音を出す。深夜がわくわくと見守る中、俺は火傷しないように、オーブンの中にケーキ型を入れる。あとはうまく完成することを祈るのみだ。

「どれくらい待つの〜?」
「三十分」
「じゃ、その間にデコレーションする生クリーム作ろ〜」
「・・・まだ早すぎるだろ」
「え〜・・・」

うるうると瞳で訴えられて、俺は正直引いてしまった。というより、彼は大の甘党で、特に何が好きかというと、ケーキの上に乗っている濃厚な生クリームが好きで、今回も、こんなスポンジ作りよりは、上のデコレーションのほうを主に楽しみにしていたらしい。
呆れたように肩を竦めると、それを同意と受け取ったのか、深夜は瞳をきらきらさせながら、冷蔵庫の生クリームを出してきて、おもむろにボウルに開け始める。
なぜかこれだけは、作り方を覚えているらしい。
手際よく氷水をつくり、ボウルを乗せ、嬉々として泡立て始めるものだから、それもまぁいいか、と自分は上に載せるフルーツを斬ろうと冷蔵庫から出してきた。
ちなみに、トッピングのチョイスは深夜で、苺と、桃と、そしてオレンジである。何故オレンジ・・・とは今更突っ込むまい。
形の整っている苺はそのままトッピング用に残して、あとはスライスして、スポンジに挟む用にするつもりだ。ひとしきり水で洗って、綺麗なカタチのものを探してなんとなく仕分けしていると、

「美味しそ〜♪」
「っおい、つまみ食いすんな」

と窘めつつも、彼が腕をひょい、と伸ばしてくるのを止めない。
小さな苺は深夜の指に攫われ、まるでキスをするかのように彼の唇に吸い付く。深夜は味わって食べているのか、一口でぱくりとは食べずに、歯で齧って果汁を味わっているようだ。その姿が・・・ひどく扇情的で、思わず触れてみたくなってしまう。
まだ、ケーキは焼き始めたばかりで、当分は暇だ。デコレーションの下ごしらえをしたところで、実際はケーキが焼けて冷ました後、スポンジが落ち着いてからでなければクリームを塗ったりできないのだ。となれば、多少ここで悪戯心を発揮してみても罰は当たらないだろう。
俺は、深夜の腕をぐい、と掴むと、こちらのほうに半ば強引に身体を引き寄せた。

「っア、ちょ、と、」

驚く深夜の手が、彼が嬉しそうにかき回していた泡立て器を取り落としてしまう。
床に金属がぶつかる音、粟立てている最中のクリームが飛び散る。
だがそんなものは気にせず、イチゴを食べかけていたままの唇に触れる。―――甘酸っぱい。程よい甘さと酸味。そして後の引く甘さ。齧りかけのそれを舌に絡め、再び噛み締める。深夜の味と、苺の味。
深夜が眉根を寄せ、そうして身体がぶるりと震える。縋るように胸元のシャツを握り締めてくる姿に、すこし笑った。
けれど、唇は離してやらない。深夜と自分の口内で、原型をとどめない位にまで咀嚼していく。唾液が絡まり、ほとんど固形物が残らなくなって漸く、俺は深夜に呑み込むよう促した。
口の端から溢れそうになる液体を、更に深く唇を重ねることで抑える。深夜は流し込まれるそれを、興奮したようにごくりと呑み込む。

「っ・・・は、あっ・・・苦し、」
「ふむ。美味い苺だな」
「ん、もう、苺の味見なら、別のやつでやればいいだろっ」

目元を赤くして、上気した頬で息を荒げている彼が、とても可愛らしいと思う。深いキスを絡めたせいで、自分もまた、下半身が反応していて、意味深に下肢を押し付ければ、深夜は更に頬を染めて、顔を逸らした。
抱き締めたまま、尻を両掌で揉みしだいて、彼の反応を確かめる。

「・・・ん、ちょ・・・やめ、」
「欲しいだろ?」
「ん・・・欲しい・・・けど、ちょっと、まだ・・・」

さすがに、まだこんな状況で、快楽に溺れるのは気が引けるらしい。だが、俺はもう、とっくに勃起してしまっていた。深夜だって触れる感触からすると、かなり熱を持っているはずで、やはり、ここは我慢するより、一発抜いたほうが早いだろう。
オーブンが、こんな場所で自分たちがこんな行為を始めようとすることなど知らないまま、黙々とケーキを焼き続けている。それを少しだけ眺めた後、改めて深夜の腰を掴み、無言で彼の身体をひっくり返した。
深夜は、シンクのフチにしがみ付いて、そうして、不安定に身体を支えている。身長が高いため、結局尻を突き出すような恰好になるのを、俺はついつい、笑ってしまった。

「ん、ダメだよ、グレン・・・まだ、準備してないし・・・」
「準備?・・・ああ」

ベルトを緩め、ボトムをずりさげる。下着ごと素肌を晒すと、深夜のペニスがびたん、とシンクのステンレス部分に当たる。
深夜は「ひゃん、」とどこから出ているのかわからないような声を上げた。既に熱い身体には、それが冷たかったのだろう。それでも、無意識に腰が揺れ、気持ちいい箇所を擦っていた。快楽に慣れ切った身体は、欲望に忠実で、一切抵抗がなく、それに苦笑してしまう。
露わになった尻を両手で撫でながら、隙間を割り裂くと、思わず、と言った風に、深夜の身体が逃げる様に腰を引いてしまうのを、けれどそれを許すつもりはない。容赦なくそこを拡げると、眩暈がするくらい卑猥な色合いに染まった襞が、ひくひくと痙攣していた。

「・・・別に、大丈夫だろ。何度お前とヤってんだ」
「ちょ、それひどくない?ローションもないし」

不平不満を漏らす深夜に、こちらが今度は面倒臭くなる。別にこのまま突っ込む、とは言ってないのに、嫌々と首を振る深夜に、今度は嗜虐心が頭を擡げてくる。

「俺がやってやるよ」
「は?一体何で・・・」

と、深夜はそこで口を噤んで、そういえばここがキッチンだということに気付いたようだった。戸棚の下を一瞬見たから、きっと、サラダオイルでも使うのだと思ったのだろう。
だが残念。
俺が考えていたのは、そんなものではなかった。
キッチン台の上にある、ボウルに手を突っ込み、俺は深夜が作りかけていた真っ白なクリームを掌で掬うと、深夜の滑らかな尻に塗りたくった。

「っ!?おまえ、何使って・・・っ!!」

驚いたらしい深夜が背後を振り向いて体勢を変えようとするので、ぐっ、と肩を押して更に前屈みの恰好にさせた。白い肌に、更に真っ白なクリームがコーティングされていく。それはさながら、スライスしたスポンジケーキに滑らかにコーティングされた生クリームのようで、俺は嬉々として両側の小さく引き締まった尻を撫でていく。背中側の割れ目からその部分を焦らすように濡れた指を這わせると、

「っひゃあ、あ、そこ、ダメ・・・」

深夜はひときわ甘い声音が漏れてくる。だが勿論、止めてはやらない。というより、指先で触れると既に疼いて堪らない、と言った風に口をぱくぱくさせるそこを焦らすように触れるだけで、そのまま前のほうに掌を這わせていく。
もうすっかり勃起したまま、深夜はぐりぐりとシンクに宛がって腰を揺らしていたが、その砲身にも、たっぷりとクリームを塗りつける。クリームを塗った掌で、亀頭を指でぐりぐりと刺激すると、深夜のそれから溢れてくるのは、透明なカウパー液。ただでさえ緩いクリームにそれが交じり合い、だらだらと体液が零れていく。
シンクの下の戸棚に流れていく様子が、あまりに卑猥だった。
まるで、バナナにクリームを塗ったお菓子のようで、そのまま齧り付きたくなる。室内には、オーブンで焼けた香ばしい香りも相まって、くらくらする程のあい香りが充満している。

「すげぇ、甘い匂いがする」
「っあ、たり前だろ・・・ばかっ・・・あ、」

べったりと尻を汚しているクリームを掬って、今度は背後から彼の乳首を攻めてみた。もうとっくに反応を返して勃たせているそこに、指先で弾くようにしてクリームを塗りつける。
くるくると円を描くようにして何度も刺激すると、深夜は背を仰け反らせて喘ぐ。乳首にひどく弱い深夜は、既に抵抗なくひっきりなしに嬌声を上げ続けていて、たった二人きりの狭いキッチンに、甘い声音が響いている。
味わいたいところは沢山あったが、とりあえず俺は、そろそろ時間が押していることもあり、先ほどまで焦らすだけ焦らしておいた深夜の尻孔の部分に再び指を這わせた。
もうすでに、ソコはゆるゆるに解けていたが、それでも彼が不安げに眉を寄せるので、俺は背中の、肩甲骨の辺りにキスマークを残しながら、尻の穴に指を挿入していく。

「っあ、ぁ、アぁ、・・・」

もう、だだ漏れするしかない甘い嬌声。壁面をぐるりと指で拡げるように侵入すると、あまりに柔軟なそこは、あっさりと奥まで自分に身体を明け渡してくる。
まるで、深夜の前の口のように貪欲なそこに笑ってしまう。
その時、ふと、視界に、紅い…あの、甘酸っぱい宝石が目に入ってしまった。瞬間、俺の脳裏に、さっきの、深夜が唇で咀嚼していた苺の、その光景が浮かんでしまう。

「・・・・・・」

俺は、非常に邪なことを考えている、と自覚しながら、おもむろに、先ほど自分が水洗いしていた、瑞々しい苺を数個、手に取った。
内部を犯していた指を抜き去る。喪失感に震える深夜が今度こそ己が欲しい、熱塊かと淡い期待を寄せているところ悪いが、俺は苺にしては結構大粒なそれを、深夜のそこに宛がった。
先のとがったほうを宛がえば、深夜のそこは、勘違いをしたように簡単に異物を呑み込んでしまう。

「っ・・・ちょ・・・何、それ、冷た・・・!」
「ふ・・・なんだと、思う?」

興奮して、無意識に息を荒げてしまったが、これをにやけずに真顔でやれというほうが難しい。幸い、苺はいい感じに固く、深夜のナカがぎゅ、と締め付けても、すぐに潰れずにぱっくりと深夜の入口を拡げさせたままだった。
白いクリームに塗れた箇所に、真っ赤なそれを埋め込んでいく光景は、あまりに扇情的で、それにすら惑乱して愕然とした表情になる深夜に、俺は内心で詫びながらも、指先で赤色の宝石を奥へと侵入させていく。

「っは・・・すげぇな。こっちの口も簡単に呑み込んでくわ」
「な、やめろよ、馬鹿っ・・・!ナカ、汚い・・・っ・・・し、勿体なさすぎ・・・」

顔を歪めて深夜は抗議しているが、それでもナカを刺激する異物感に興奮しているのか、まったく下肢は萎えていない。それに気分を良くして、俺はもう一粒、深夜の中へと押し込んでいった。
こちらも簡単に呑み込む。指で奥まで埋めてしまうと、深夜の反応が明らかに変わった。身体を震わせて、ぎゅ、とシンクのフチを噛む指先に力が篭り、明らかな快楽に耐えている。おそらく前立腺にでも当たっているのだろうか。

「深夜・・・どうだ?」
「も、やだ・・・ばか、これ、早く、取ってっ・・・!」

涙目で懇願する深夜に、不覚にも俺の下半身が更なる熱を帯びてしまう。
・・・可愛い。
これでは、俺の理性もいい加減限界で、性急にガチャガチャとベルトを緩めると、深夜のソコに、己の完全に勃起した熱を宛がった。
もはや、内部に苺が埋まっていることも気にしない。というより、いちいちそれを取ってやってる暇などかった。
深夜は、ひぃ、と悲鳴を上げる。
ただでさえ、内部を圧迫されて苦しいうえに、男のイチモツを受け入れるなど可哀相だと思うが、まぁそれでも、深夜のナカは今までの経験からすると、多少の無理でも許してくれていたから、きっと今回も大丈夫だろう。

「っま、待て・・・それは、マジで無理・・・っ!」
「―――力を抜け」

ぐ、と、入口を押し広げて、内部へと侵入した。
既に口を拡げているそこは、あっさりと奥へと俺のモノを受け入れる。と同時に、激しい締め付けを俺に与えてきた。
ナカは、熱くて、灼けてしまいそうな位。クリームまみれのそこに、俺の怒張したそれが突き立てられていて、非常に興奮する。

「っあ、ああっ!だめ、もう、苦しい・・・っ」
「はぁ?お前ならもうちょっといけるだろ?頑張れよ」

腰を掴み、奥へと進もうとするが、途中、明らかに圧迫感を感じてしまい、思わず眉を顰めた。先端に当たっているのは、おそらく例の苺だ。中途半端に挿入されたままになり、深夜の口はぱっくりと開かれたままで、苦しそうに喘いでいる。それでも俺は目一杯腰を押し付けると、深夜は苦痛か快楽か、喉を仰け反らせて、一筋涙を零していた。

「っ―――む、りっ・・・ナカ、いっぱ・・・いっ、」
「本当に?」

はぁはぁと息をつきながら、深夜が無意識に腰を動かし、苦しくない場所を探しているのが、なんとも愛おしい。
ただ嫌がるだけでなく、なんとか受け入れようとしてくれているのだと、そう思うだけで、こちらも興奮の度合いが強くなる。奥には突き入れずに、そこを拡げるように腰をグラインドさせる。
深夜の背筋に舌を這わせながら、俺は中の熱い感触を味わった。そうすると、次第に奥が解れていき、気持ち繋がる箇所が深くなる。
少し腰を引き、中のそれを深夜の感じる場所に押し付けた。

「熱いな・・・っ深夜、俺も、」
「―――っ、だめ、も、いっちゃ・・・ああ―――っ!!」

俺もそろそろ限界な手前、先に脱落したのは深夜だった。
精液が飛び散り、戸棚や足元を汚す。もう、床はクリームやらカウパーやら精液やらでどろどろだ。あとで拭かなければ、きっと痕がついて大変なことになる気がする。
深夜が脱落し、ぐったりとしゃがみ込もうとするのを腕で支えて、自分もまたラストスパートをかけた。中がぐしゅぐしゅと音がしていて、己の雄と深夜の隙間から、だらだらともはや何の液体かわからない白濁が奥を突くたびに溢れてきて、さすがにナカの苺がやばいかもしれないが。
苦笑して、それから俺もまた深夜の内部に己の欲の丈を吐き出す。

「っア―――あ、ああ、すご、熱・・・」

中に注ぎ込まれる熱にすら感じているのか、びくびくと身体を揺らす深夜を、俺は抱き締めた。今だに奥の圧迫感に涙目な深夜は、苦しげに俺にしがみ付いてくる。
それがひどく可愛いと思う。

「・・・ってか、これ、どうすんの・・・」
「あ〜」

改めて、己がしでかした惨状に呆れるしかなかった。
漸く熱が引いてみれば、折角作りかけていたボウルの中の生クリームはすっからかん、苺も数を減らしているわ、オーブンで焼いていたそれもとっくに止まっていた。
本当は焼けたらすぐに型から取り出し、ひっくり返して粗熱を取らねばいけないのだった。
顔を顰める。
腰を引くと、深夜の奥からは、ピンク色の・・・明らかに、内部のフルーツの果汁が溢れてきていて。

「・・・これ、どうやってとるんだよ・・・苦しいんだけど」
「ちょっと力めよ。多分でるだろ」
「他人事だと思って適当にいってるだろ!?」

己の身体に起こった非常識な状況に、深夜が涙目で自分を責めてくる。そんな姿は可愛らしいが、改めて冷静になると、さて、どうしよう?
ローターなどのコードがあればともかく、・・・指で掻きだせば取れるだろうか?先程まで奥の奥まで追いやってしまったが。

「・・・やっぱりお前が産むしかない・・・んじゃないか?」
「ほんっと死ねよお前・・・ケーキはめちゃくちゃだしさぁ!俺の生クリーム!!どうしてくれんの!?」
「五月蠅いな。もう一回調達してきてやるから・・・風呂でも入ってこい」
「ったく・・・ほんっとグレンって横暴!」

己の下肢に手をやり、奥に埋まった蟠りを必死にたえて立ち上がる深夜が愛しくて、思わずまた、俺は深夜を抱き締めてしまう。
世界が崩壊して、漸く四年。
また今年も自分たちは平和に年明けを迎えられそうだ。
悩みは尽きない。
吸血鬼との戦いも、人間世界の復興も、きっと、これからスムーズにいかない部分ばかりでてくるに違いない。それでも、こうしてまた、今年を締めくくれることを、神に感謝しなければ、と思う。

「とにかく、もう少し身を清めてこいよ。今晩は聖夜を過ごすんだろ?」
「グレンのせいで台無しだけどね・・・」

途方にくれながらも、よろよろと風呂に向かう深夜を見送った後。
グレンは肩を竦めて、さぁやるか、と情事の色濃く残った台所を片付け始めたのだった。




end.





Update:2015/12/29/TUE by BLUE

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