貴方を想い、君を想う vol.2



物陰から現れたのは、間違いなくキラだった。
私はキラの後ろから出てこようとするバカに発砲して、その行為を止めた。
そして、私とキラは向かい合う形で再会した。
「ラウさん・・・。」
懐かしい声。すぐにそう思った。
「キラ。」
「お久しぶりです。ラウさん。」
やはり、本当にキラだ。キラが私の目の前に立っている。
そう思った瞬間、私はキラを抱き締めていた。
「よかった。」
小さくそう呟くと、キラは驚いた声で私の名を呼ぶ。
「君が無事で、本当によかった。アスランが君を倒したと言ったときは、すごく・・・悲しかった。」
「ラウ・・・さん。どうして、泣いてるんですか?」
「え?」
どうやら私は、自分でも気付かぬ内に涙を流していたらしい。
そして「何故泣くのか?」と聞いているキラに答えた。
「君が生きていてくれて、嬉しいからだよ。」
と耳元で囁いた。
その答えが意外だったのか、キラは驚きながら、こちらを見ている。
私は、キラの耳元で再び囁いた。
「キラ、戻ってきてくれないか?私のもとへ。」
と・・・。このコロニーにも、響かないように、本当に小さな囁きで。
そう言うと、私は、キラの肩に顔を埋めた。
「え?ラウさん。何言って・・・」
「私は本気だよ。君に帰ってきて欲しいと、本気で思っている。」
だから・・・・・・。と私は囁き続けた。
そしてキラは、少し迷いながらも私の願いを聞き入れてくれたようで、その答えの代わりに、私の額にキラの唇が触れた。
「ありがとう。」
感謝の言葉を言わずにはいられなかった。その言葉に照れながらもキラは、本音を言ってくれた。
「僕も、貴方のこと、心配でしたから。」と囁いて。
「では行こうか。」
「はい。」
「アイツに知られたくないか?」
と囁くと、キラは頷いた。
「分かった。では、来たまえ。裏口から出よう。」
「はい。有難うございます。ラウさん・・・。」
「気にしなくていい。たった今から、君は私の部下だ。部下の望みをできるだけ叶えるのも、隊長の務めでね。」
そういって微笑むと、キラも微笑んだ。嬉しいのか、目尻に涙を溜めながら。私はその涙を拭うと、裏口へ案内した。コロニーのこの一角を出る際に、フラガに別れのメッセージを言い残した。それに対しフラガは、やはり反論したが、銃声でそれを止めた。その後、ヤツが追ってくる気配は、無かった。
暫くして私は自分の銃をホルスターに仕舞った。
「君はこれを使わない方がいい。」
「・・・はい。」
素直なキラは、私の申し出を受けて、銃を仕舞った。
「さて、君の機体は何処に?」
「ストライクの近くです。」
「では、急いでそこに向かうとしよう。場合によって『足つき』が来る場合がある。」
「はい!」
裏口から出て、私達は急いで各自の機体に乗り込んだ。そして、イザ―クにも撤退命令を出し、私は、フリーダムに抱えられ撤退した。
自分のMSをいじっては見たものの、通信回線までが使えなくなっていたため、一度フリーダムへと移乗した。
その際かなり苦労はしたが、お陰で、キラを隊のメンバーに入れることの話まで出来て、手間が省けた。
ヴェサリウスに戻ると、イザ―クがすごい剣幕で怒鳴ってきた。
「隊長!!どういうおつもりです!?敵をこの隊に入れるなど!!」
「イザ―ク、彼を覚えているかね?」
そう言いながらキラが私の後ろから、顔を覗かせた。どうやら、イザ―クのもの凄い声にビックリして、隠れてしまったようだった・・・。
「っ!!こいつはっ!!何故ですか隊長!!どうして・・・!!」
納得がいかないイザ―クの言いたいことも解る。
だが私には今、キラにどうしても傍にいて欲しかったのだ。
だから「何故敵をあえて仲間にするのか!!」と言いたいイザ―クの気持ちも分かるが、それを制するように私は言った。
「君の所属している隊の隊長は誰かね?」
そう言うと、バツの悪そうな顔をしてイザ―クが「それは、貴方です。」と答えて食い下がったので、私はキラと共に部屋に戻った。
そして、私はすぐに、いつもの薬を飲み下した。その際、キラはかなり動揺していた。その訳は、私の体の事もそうだが、部屋にいた意外な人物の事だろうとすぐに分かった。
いたのはフレイ・アルスターなのだから・・・。
勿論、彼女も動揺していた・・・。が、私は気付かぬフリをしていた。
そして、彼女を戦闘空域に放り出した。その時は流石のキラも少しばかり反論したが。結局彼女は地球軍の足つきの同型艦に保護された。
キラも胸を撫で下ろしていた。安心しきっていたのだろう。
その後キラと色々と話して、彼女がヘリオポリスからの知り合いで、自分の父を亡くし、キラを守っていた(利用していた)人間でも、キラが守らねばならない人間だったことも聞いた。
そして、キラは傷つき、悩んでいた。地球軍を裏切った足つきが、エターナルや、オーブの移送艦と共に戦っていて、そこには、アスランやディアッカ、そして自分の片割れも居る。そのことを忘れ、私について来てしまったことに酷く悩んでいた。
やっと分かり合えた友を、守りたかった者達を裏切るのは、非常に悲しく、そして残酷なものだ。
だが、私は残酷かもしれないと思うが、こういった。
「それは、仕方がない事だ。今更悔やんでも遅い。それに以前はアスランがそれと似たような立場に立たされ、やはり彼も苦しんでいた。その彼の努力を悉く無駄にさせたのは、紛れもなく君ではないのかね?」
「でも、あの時僕はザフトのことが全然分かってなくて、旧友よりも、今の友達を選んでいた。それにアスランは何でもかんでも、お前はコーディネイターだからって、差別をしてた。
だから、彼に付いて此処に来る気は無かった。
でも、捕虜になって、一時的にでもラウさんの部下になってラウさんと話して分かったのは、ラウさんやニコル君は、差別はしないで考えてた。って思ったのは、僕の気のせいですか?」
「さあ、どうだろうな。私は確かに差別はあまりしない。が、見下すことはある。やはり、人間は弱い。とな。」
「でもそれは、アスランとは差別の仕方が違うからいいんですv」
その言葉を聞きクルーゼは、普段は決して人に見せることの無い素顔をキラの前にさらけ出した。
だが、素顔を見てもキラはあまり動じていない。キラはクルーゼの素顔をもう見たことがあるからだ。
仮面を外したクルーゼはこういった。
「キラ、今此処からまた新しい君の生活が始まる。また悩みがあったら来なさい。相談に乗ってやろう。それで、もしも私が此処に居なかった場合、ここの通信機を使って、ブリッジに入るように許可をもらうといい。私が必ず許可してあげよう。」
「えっ!?いいんですか?ブリッジにまで行っても!迷惑じゃ・・・。」
「だから、小声で耳打ちしてくれたまえ。そうすれば、アデスの嫌味も聞かずに済むからな。それに、そうすれば作戦内容の確認。という見方もできるだろう?」
「わかりました。ありがとうございます!ラウさん!」
ちゅっ!とキラはクルーゼに口づけた。触れるだけだったが、次第にそれが深くなっていって、その後キラはクルーゼに身を預けた。
そして2人は宇宙の闇の下で今も楽しく過ごしているだろう。

〜fin〜








―――――――あとがき――――――――
終わりました〜。初のSEEDss。
こんなんでいいのか!!
クル<呆れてモノも言えん。
そんなこといわれても・・・。
これでもない知恵絞って最後にはキラとハッピーじゃないですか!!
クル<どこがだ?
まぁ、番外編書きますから許してくださいよ〜(;n;)そちらでは、出来る限り甘くしますから〜!お願いしますよ隊長。
クル<ならいいだろう。が、今度もこんな駄文だったら、プロヴィデンスを使って消し炭にするからな。(ニヤリ)
え〜〜!!!そんな・・・。プロヴィデンス出されたらこちらはただやられるだけじゃないですか・・・。酷い!!
キラ<この駄文じゃしょうがないでしょ・・・。
キラまででてくるのね・・・。
キラ<あ、そんな風に邪見にするとバーサーカーモードでフリーダムに乗って消すよ?
えーーー!!この2人、極悪じゃ!!(小言)
それでは!(逃亡!!)
クル&キラ<逃がすか!!
(これは、実際にあった出来事です。キャラをSEEDに置き換えただけです)
それでは番外編でお会いしましょう!!
          ルシファ・ラガ







Update:2003/03/01/MON by RUSIFA

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