感じる気持ち



キラがザフトにいる頃、AAでは、フラガが怒り狂っていたらしい。
その情報をどういう経緯でかは分からないが、入手したクルーゼは溜め息をついていた。
今、自分はこの部屋に1人だ。ということは、AAにいるフラガに通信も出来るわけで、早速2人しか使わない回線を開くと、すぐに相手の顔が映し出され、すごい剣幕+怒声が聞こえてきた。
『てめー!!よくもまあぬけぬけと!!!』
「フン。貴様が怒り狂っていると情報が入ったのでな・・・。」
『!!そんな情報、どっから・・・!!』
「忘れたか?そちらに私の部下がいるのだぞ?」
『あいつら〜!!ってンな事はいいんだよ!!キラを返せっ!!』
「無理な相談だな。」
『じゃあ、遊びに行っても良いわけ?』
「ばれないようにな気をつけろよ?それとも・・・」
『それはダメ!捕虜になれってんだろ?』
「ではこの案はどうだ?
 まず、私が足つきに通信を入れ、お前を出すように言う。無論、お前を出さなければ容赦なく撃つ。とな。」
『そんで、戦って、装甲落としてお持ち帰り?』
「よく分かってるじゃないか。」
『それで決定!!じゃ宜しく。』
「ああ。」
『お手柔らかに。』
「どうだかな」
そう言いながら回線を切る。
そしてすぐさまAAに通信を入れた。
「こちらは、ザフト軍所属艦ヴェサリウス。アークエンジェル応答願う。」
「何?どうしたの?」
マリュ―が何事かと思いブリッジに入ってきた。
「それが・・・ナスカ級からの放送なんですが・・・」
とサイが困ったように伝える。
「えっ!?」
マリュ―が硬直していると、事態を唯一飲み込んでいるフラガが、驚いた顔でブリッジに走りこんできた。(勿論演技です)
「艦長!一体こりゃどういう・・・!!(ナイス!ラウ!!)」
「!?それが・・・ナスカ級かららしいのですが・・・」
「(よし!)チッ、あのヤロー!!おい!通信回線開け!!」
「あ、はいっ!!」
サイが驚きながらも回線を開く。
するとそこには、顔の半分以上を仮面で隠した男の顔が映し出されて、ブリッジにいる全員は唖然としていたたった一人を除いては・・・。
「「ま、まさか!ラウ・ル・クルーゼ!!」」
「誰です?それ」とサイとミリアリアが聞いてきた。そこでノイマンが、
「ザフトの・・・クルーゼ隊の隊長だ!!」
「てめー、何がしたくてこんなことしてんだよっ!!(はえーよ!)」
ラウに内心文句をいいながら、怒る演技をしているフラガの姿があった。
「貴様に用があったものでな。戦闘にすると面倒だからな。(仕方ないだろう。早く会いたいのだから)」
「そ・れ・で!!クルーゼ隊長殿が、たかがMS乗りの俺に一体何ようで?(それは俺も同じだけどさぁ、早過ぎだって。いくらなんでも)」
「貴様との決着をいい加減つけたくてね。(悪い)」
「それは俺も思ってたぜ!ちょうどいい。つけてやるよ。どうせお前のことだ、俺が出なきゃ即刻戦闘開始だろ?(もういいよ)」
「そういうことだ。確か、今はお前もMS乗りだしな」
楽しそうに笑いを含みながら言うクルーゼに、本音とは全くもって正反対のことを言うムウ。
この2人のやり取りを、ブリッジにいる全員はただ呆然としていた。
「てことで、行って来るぜ!」
通信を切り、ムウはそういったが、マリュ―が許すはずもなく、言い争いになったが、マリュ―は丸め込まれた。
だが、ムウを出さなければ、こちらに攻撃される。仕方ないだろう。
そして、ムウはストライクに乗り込んだ。
「APU起動。カタパルト接続。エールストライカースタンバイ。システムオールグリーン、進路クリアー。ストライクどうぞ!」
ミリアリアの合図を聞いたフラガはクルーゼに合図する。
「行くぜ!(ラウ、こっちはもう出る)」
そしてストライクは、宇宙(そら)へと出て行った。
一方ヴェサリウスでもクルーゼが出撃準備をしていた。
「では、私がいない間のことまかせたぞ。」
ブリッジから応答が入ってからすぐに、シグーで出たクルーゼはフラガに通信回線を開いていた。
「ムウ。こちらも出たお前はどの辺りにいる?」
『あ?えーっとL4でてすぐのとこ。」
「では、私の位置は分かるか?」
『う〜ん。分かるには分かるけど・・・」
「ならばそこまで来い。そうすれば結構なエネルギーを使うだろう。」
『なるほどねぇ。分かった。行くから待ってろよ!』
「無論だ。」
そういって、回線を切った。
一方フラガはクルーゼのところに行く為に、エールのバーニアを最大限に噴かしてシグーの所に向かっていた。
暫くして、ストライクがこちらに来るのが見えた。それを見て、ラウは笑った。まぁそれも仕方ないだろう。本当に会うのは久しぶりなのだから・・・。
「ムウっ!」
『ラウ!!』
お互いに名を呼び合い、少し間を取ってストライクは停止した。
「さて、エネルギー残量は・・・?」
『後・・・半分位かな・・・。頼むから殺すなよ?』
「それはどうだろうな・・・」と言いながら、妖しく笑うクルーゼを見て、フラガは背筋が凍った。
『お、おいぃっ!!』
「冗談に決まっているだろう?」
つい叫んでしまうフラガを見て、笑いながらクルーゼが流す。
『お前が言うと冗談に聞こえねーんだよ!!』
「それは失礼。では、そろそろ始めるか。」
『・・・ああ。』
「殺さないから。」
宥めるように言って、戦闘開始!それがいつものパターン。そしていつものように始まる戦闘。その様子を両母艦は心配そうに見つめていた。
シグーとストライク、お互い本気を出す振りをして、かなり手加減している。だが、それが分かるのはお互いだけだった。
シグーがサーベルで切りかかれば、ストライクはライフルを撃ちながら、エールのバーニアを最大にして逃げ、またのときは、ストライクがバーニアを噴かしながらのキックやライフルの乱れ打ちと、いつものフラガは決してしない危険な行動ばかりとっていて、マリュ―は心配になった。艦長として、そして・・・恋人として。だが、そんな彼女の気持ちを当人は知るはずもなく、エネルギーが切れるのを心待ちにしている。
(あ〜あ。早くエネルギー切れろよなぁ・・・。そしたらラウんとこいけんだしよぉ。)
そう言いながら適当に機体を動かしていると、脇腹が少し痛んだ。気にせず戦っているとその痛みはどんどん酷くなってきた。どうやら、メンデルでゲイツにやられた時の傷が、開きかけているようだった。
何故か動きが鈍くなるストライクを見て、不思議に思ったクルーゼは、通信回線を開いた。
「どうした?ムウ。」と、問い掛ける。
すると画面に現れたのは、何故か脇腹を抑えているフラガの姿だった。
「おい!どうした?!」
『いや、実はメンデルでMS戦闘中にお前がワイヤーでコックピット横を損傷させたろ?』
「・・・ああ。」
『そん時に、破片が脇腹を掠めて切っちゃったわけ。』
「―――――ッ!」
そんな大事なことを言わずに、平然と戦闘していたムウに、自然と怒りが立ち込めた。
「バカか!貴様はっ!!何故それを先に言わない!!!」
『え?いや、まさか傷が開くとは思ってなかったんだよ!』
「とにかく早くパワーを終わらせろ。ライフル乱れ撃ちにしておけ!またバーニアを噴かすと、傷が開くだろうからな!」
『はいはい。サンキュ!』そういって、通信を切ったフラガは、クルーゼに言われた通りのライフルを乱射した。
『約束破って後で痛い思いすんのは、ご免だしな〜』とか考えていた。すると、『ピー!』という音が、コックピット内に響いた。ストライクのPS装甲が切れたのだ。
すると、シグーがストライクに近寄る。ストライクは逃げる気が無いのか、そのままの状態で動かなかった。
それを見たマリュ―が直接通信を入れた。
「少佐!!何をしているんですか!!!回避してください!!」
が、その返答はなく、ストライクはシグーに抱えられて、ヴェサリウスまで連れて行かれた。その時の通信がAAに漏れていたのは、フラガも気付かなかったようで、通信回線をAAにも聞こえるもので、クルーゼと喋ってしまった。
『や〜っとエネルギー切れだ。長かったな〜」
その言葉を聞いた時、ブリッジは凍結した。
「今回は特にな。エールだとやけに長い。ランチャーでくれば良かったものを・・・。」
『いや、エールよりもソードのが長いんだって。ソードじゃないだけ感謝しろよ。』
ラウもムウも苦笑混じりに喋る。それを聞いていたマリュ―は、考えたことがあった。
(まさか、今までナスカ級にこちらの航路が読まれていたのは・・・!!)
「まあ、そこは感謝しておこう。だが、この通信を聞かれていたら厄介だな。地球軍少佐と、敵軍隊長の恋。バレたら即、軍会ものだ(軍法会議の略)」
『だよなー・・・ってうわ―!!!』フラガが大声を出した。その大声は、慌てている時のものに似ている。
「どうした?何かあったのか?」
『俺、後で軍会もんになるかも・・・』
「まさか・・・」
『ああ。今までの全部AAに聞こえてる。」
「・・・・・・はぁ。」
フラガの顔を見ながら、溜息を吐くことしか出来なかった。
「今更切ったとて遅いさ。」
『だけどさ〜』もう、半泣き状態に入りそうなフラガの顔は、何処かの子供のようだった。自分でなければ、「これがエンデュミオンの鷹か?」と思えるような顔。
「では、急ぐとしよう。」
『頼むぜ。あ〜帰りたくないな〜軍会めんどいしな〜』
「なら、此処にいればいいさ。」
『いやぁ、そうしたいけどねぇ。生憎、お前以外・・・つっても女が出来ただけだけどな。』
苦笑しながらサラッと問題発言したフラガをみて、ラウは顔を顰めた。
「ほう。いい度胸じゃないか・・・」
少し怒りの声色を混ぜつつ、怒り100%であることを分からせる言い方をした。すると案の定、ムウは冷や汗を流し弁解したが、時既に遅し。ということで、お仕置き決定!
「後で思いきり、きつくしてやるよ。お仕置き決定だな。」
『!?ラ、ラウ〜!!!それだけはっ!何でもするから〜。何でも言う事聞くからさ!』
「では、暫く捕虜の身となってもらおうか」
『えーー―!!?』
「何でも聞くといったのはお前だろう?」
『いや、それマジ勘弁。』
「ダメだ。」
『ケチーーー!!』
「お前のミスだろうに。」
『う〜〜〜っ!』
そうして唸ってるフラガを見て、楽しそうに笑っているクルーゼだった。
『ま、お前といられる時間が増えるならいいやD』
「やっと、素直になったな。」そういって、お互いに笑い合う。
「さて、ヴェサリウスに行くぞ」
『おう!!』
シグーはストライクを抱えたまま帰還した。勿論、捕虜になるため、ムウの前には銃を構えた兵が4、5人いた。
が、私はその兵を下がらせた。
「さてと、お前には事情説明の為、私の部屋に来てもらうぞ?ムウ。」
「へいへい。」

:::::::::::
ここは、クルーゼの私室。そこで、2人は久しぶりの逢瀬の感動を噛み締めつつ、演技する。
何故なら、クルーゼ隊の赤ボーイズに加え、艦長のアデスまでいるからだ。
(こいつらさえ居なければ・・・!)2人の考えは一致していた。
が、そう簡単に物事が運ぶはずもない。
(せめて、子供達だけは、出て行ってくれ!!)また、考えが同じ。
「さてと、アデス、それから、君達は一体何の用があり来たのかな?」
最もな意見を述べるクルーゼに、フラガも内心共感した。
「まずは、君達は何故来たのかな?」と言いながら、赤ボーイズに問うと、以外な答えが返ってきた。
「隊長のお噂の恋人が見てみたいだけであります。」と敬礼して言われた。
(おいおい、マジかよ〜)と内心思いながら、ラウをちら見して合図するフラガ。ラウもそれには気付いたようだ。すぐにボーイズを退室させた。
「あの、隊長。」ボーイズが退室して、アデスが少し戸惑いながらも聞いてきた。」
「何だ?」
「彼は・・・?」
「捕虜だよ。これから事情聴取をするから、できれば早急に事を済ませてくれるとありがたいのだが?」
「はっ!申し訳ありません。これからの航路の事で少し・・・。」
アデスにラウを取られたため、ムウは暇だった。
(ラウ〜(;;)はやく〜 )と、頭の中で言ってるとラウからへんじかが・・・。(もう少し位待て。そうしたらずっと一緒にいられるのだから)と、最もな答えが・・・。
暫くするとアデスはクルーゼに一礼して、部屋を出た。これで、2人にとっての邪魔者はいなくなった。
「ラウ〜!!」
半泣き状態のムウ。
「ムウッ!」
余程待ち遠しかったのか、冷静さを僅かになくしたクルーゼ。
2人は部屋の中央で抱き締めあった。
「お疲れさん!」
「ああ。」
「やっと2人きりだな。」
「そうだな。全く、何故邪魔が・・・。」
「ホントだよ。てか、あの坊主達がGATシリーズの?」
「ああ。確かに噂は流れていたが、よもやそれを確かめに態々来るとは思わなかったよ。」
「だよな〜。よっぽど暇な訳?」
「さあな。いまは、どうでもいい事だろう?」
「確かに・・・!」
言い終わらないうちに、唇を塞がれる。最初は触れるだけ、だがそれが徐々に深くなっていく。
―――まるで、2人の運命のように―――
ラウが舌を口内に入れれば、ムウが反応する。そして、舌を甘噛みしてやれば、すぐに立っていられなくなるムウ。ましてや、久し振りに会ったためか、いつもより、持たなかった。そのムウを横抱きにしてベッドに運ぶ。
「今日はいつもよりも感じるのか?」
わかってるのに、態々口にするラウにムッとして、反論する。
「しょ、しょーがないだろっ!久し振りなんだから(///)」
赤面されながら言われても、煽るだけなんだが。という言葉はあえて出さずに、そのまま行為へと移るラウ。
唇を触れ合わせ、耳朶に口付ける。それだけで、ムウは、声を上げていた。いつもなら、極力出さないようにする声が、今日は自然と出てしまう。それがまた恥ずかしくなって、顔を叛ける。
そして、ラウは、首筋から鎖骨の辺りを指で辿る。
「・・・ぁっ・・・。」
そして、ラウは笑いながら、首筋と、鎖骨に跡を残した。
「・・・んぅ・・・ぁ・・!」
「これは、お前は私のもの。という印だという事、わかってるな?」
「もち!わかってるさ。」
その事を確認しあって、2人はベッドに沈んでいった。

::おまけ::
(もう、ラウさんったら、ムウさんの相手ばかりしてぇ)
ヴェサリウスでは、欲求不満のキラが嫉妬に駆られていて、それを見たもの達は凍り付いたという。

::おまけ〜AAでは〜::
フラガの恋人(表向き)のマリュ―が、狂気に駆られて、戻ってきたフラガに機体没収の刑を命じたらしく、半月程、フラガがヴェサリウスに来る事はなかったらしい・・・。その間、ムウは通信でラウに泣きついたという噂がごく一部の人間の間で立っていたらしい。(誰だかは想像にお任せします)


::::::::::::::::::::::::
あとがき

はい〜。終わりました番外編。
全く持って意味不明ですねぇ(苦)
文才無くてすいません(汗)
ていうか、このss、タイトルと内容が一致してない・・・(;−;)
殺される前に逃げます。
此処まで読んでくださり、ありがとうございました(感謝)






Update:2003/04/09/FRI by RUSIFA

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