崩壊前夜。Ep.01



「・・・というわけで、俺ら、当分、お前んちに居候することにしたから」
「・・・・・・はぁ?!」

いつものように、渋谷の自分のマンションに押しかけてきた仲間(というには今だに抵抗があるのだが)の
唐突な発言に、グレンは玄関先で不覚にも頓狂な声を上げてしまっていた。
というのも、あまりに突然すぎたのだ。
前述した馬鹿な発言は五士のもので、
彼は海外旅行にでも行くかのような大きなカートを引きずったまま当然のように上がろうとしているし
後ろの美十も、多少申し訳なさそうに横を向いているだけでしかしやはり旅行カバンを持っているし、
深夜に至っては言わずもがなである。

「待て。どうしてそうなる」
「何固い事言ってんだよ。俺ら仲間だろ?」
「百歩譲って仲間だとしても、一緒に住む理由にはならないだろうが」

ずかずかと上がってくるのはいつものことだが、今日は特に、彼らの大荷物のせいで、
広いリビングが普段より狭く見えてしまう。
勝手知ったる顔でソファに座り始める五士たちに、小百合はアワアワしているし、
時雨は目を釣り上げて「殺しましょうか?」などと囁いてくるし、
これは何の冗談かと思う。
今までだって、毎日のように自分の家に集まってくる状況を苦々しく思っていたのに、
これでは一度許せばどんどんエスカレートしていく見本のようなものではないか。
もう一度、ふざけるなと言おうとして、

「・・・実家にいる所を百夜教の奴らに襲われたんです」

顔を伏せたまま、膝に乗せていた拳をぎゅ、と握り締めて、美十が話を切り出した。
その肩が微かに震えていることに気付いて、グレンは仕方なく口を噤む。
在り得る話ではあった。
『帝ノ鬼』と、<<百夜教>>の全面戦争が表面化した今、
各地で混乱が続いている。ましてや、渋谷は『帝ノ鬼』の総本部だ。
第一渋谷高校が襲われた際、ほとんどの帝ノ鬼の優秀な若者たちの命が奪われ、
今、生き残っているのはほんの僅かだ。
しかもその生き残りが、『帝ノ鬼』の従家の中でも名門の出で、
ましてや今では9割がた完成しているはずの、<<鬼呪>>を宿している、となれば―――

「家族の者は、なんとかわたくしを逃がしてくれましたが、その後は連絡が、取れません・・・。
 そう簡単に死ぬわけは・・・ないと・・・思ってはいますが・・・それでも・・・」

無念そうに美十は唇を噛み締めた。
まさか、直接屋敷まで襲ってくるとは思わなかった。
それも渋谷の一人暮らしのマンションを荒らされた後に。
運悪く、状況報告のため十条の実家の屋敷に帰ってきた所を、彼らが襲ってきたのだ。
名家とはいえ、今まで直接ターゲットにされたことはなかっただけに、
美十は自分が安直な考えで実家に顔を出してしまったことを後悔していた。

「そうそう、だから僕が提案したんだよね。
 いっそ、皆グレンの家に住めばいいんじゃない?ってさ」
「余計な提案するな」
「だってお前の家、5部屋もあるんだろ?それじゃ、俺ら全員分余裕で泊められるだろうしなぁ」

・・・冗談じゃない。
グレンはこいつら馬鹿なんじゃないかと本気で思う。
のこのこ押しかけてきて、いきなり自分の部屋を宛がってもらえるなどと
甘い話があるわけもない。
そもそも、5LDKとはいえ、元々3人、それも血の繋がった家族ではない、女2人と男1人などという
常識的に考えてかなり危険を伴う面子で暮らしていたのだ、
非常に面倒ではあったが、それなりにプライベートな領域には触れないよう気を使っていたわけで。
とてもでないが、更に3人など、受け入れる余裕などなかった。

「駄目だ。お前らを居候させる余裕はな・・・」
「あ、あのっ!!」

断固として断ろうとしたグレンの言葉を遮るように、甲高い声が聞こえてきた。
小百合だった。先ほどまで、状況が呑み込めず、アワアワしていた小百合が、
顔を紅潮させながら叫んだのだ。

「お、お部屋なら、このフロアに空室が4室ありますので、そちらでお願いしますっ!!」

・・・・・・ちょっと待て。
グレンは途方に暮れていた。確かに、ひとつ屋根の下で6人、などという
最悪の状況を免れることが出来たから、ここは小百合、グッジョブ!・・・と言いたいところだが・・・
だが!
そもそも自分は、このマンションに住まわせること自体許可していないはずなのだ。
確かに、<<鬼呪>>持ちとはいえ、美十と五士は、今の状況では従者もつけず1人で過ごすには心もとないように思う。
だが、ただでさえ狙われやすい自分たちが、お互いの身を守る為とはいえ、完全に一か所に纏まってしまえば、
それはそれで敵に囲い込まれ、兵糧攻めにされるかもしれない。
これではあまりいい策とも言えない。
では、どう身構えるのが一番の得策か―――?
だが、そんなことをグレンが思案している間にも、勝手に話が進んでしまっていた。

「グレンんとこって、ワンフロア全部貸し切ってんの?」
「24階と26階も全室貸し切っております。―――上のフロアは修練場に改装してありますが」

淡々と答える時雨の台詞に、五士は口笛を吹いた。

「まじか。そりゃいいや。
 学校も閉鎖になっちまったし、最近ゲームばっかりでまともに修練してないから、身体がなまりそうなんだよなー」
「・・・お前、どこまで厚かましいんだ・・・」

頭が痛くなってくる。
確かに、今ではマンション自体に『帝ノ鬼』の警備網が敷かれているし、
貸し切っている全室には呪術トラップも施されているし、
万一の時にはすぐに駆けつけられるよう、連絡網も万全になっているから
チームで動いているメンバーとして考えれば、確かに都合がいいとはいえ―――、
こいつらは何故、当然のように勝手に部屋割りを決めているのだろう。
正直、目の前で繰り広げられているあまりに非常識な状況に、グレンはついていけなかった。
だが、もう、後の祭りである。

「・・・わかった。ただし、俺は静かに過ごしたい。1人で1室使わせてもらうからな」
「それは無理です」
「なぜだ」
「グレン様が、一番襲われる確率が高いからです。今まで通り、護衛に私たちをお傍に置いてください」
「邪魔なだけだ。それに実際襲われた時、おまえらを巻き込まない保証はどこにもない」
「あ、だったらその役目、僕がするよ?」
「却下」

冷たい表情のまま、グレンよりも先に言い放ったのは時雨である。
グレンが深夜と―――そういう関係だということは、一応秘密ではあるのだが、
時雨だけは既に知っている。
なにせ、見たのだ。深夜が夜這いよろしくグレンの部屋に忍び込んで、
大それた抜け駆け行為を行っていたのを。
しかも、その想いを当のグレンから「諦めろ」と散々諭されてなお、長年彼を慕い続けてきた自分たちよりも
先に!!
先に、この男は、彼の寵愛(!)を受けてしまったのである。
・・・許すまじ、柊深夜。
鉄面皮の裏で、明らかな嫉妬の炎を燃やす時雨に、
深夜は肩を竦めてグレンを見やる。
だがもちろん、グレンは完全に無視した。

正直な話、今後、彼女らとひとつ屋根の下を続けるのは非常に辛いものがあった。
誰にも話していないが、眠る度に自分の中の『鬼』が干渉してくるのを感じていたのだ。
今はまだ、悪夢に魘された程度の内容でしかないし、
特に支障はないのだが、
<<鬼呪>>を受け入れてしまった自分が、今後どうなってしまうかは未知の領域だった。
勿論、<<百夜教>>や『帝ノ鬼』の研究が進んでいる以上、完全に制御できる日も近いのかもしれないが―――
それでも、自分の中の『鬼』が、仲間たちがもっている<<鬼呪>>のそれとはかなり異質のものであると
グレンは自覚している。
何が起こるかなんて、予測できるものではなかった。
だからこそ、自分が万一暴走してしまった時、彼女らを巻き込むのだけは避けたかったのだが。

「だから、ここに6人で済めば万事解決じゃん?」
「そ、れ、は、ダメです〜〜!」
「わ、私も、さすがに殿方と同居というのは・・・・・・」
「ですから、両隣の部屋に貴方がたが勝手に住めばいいでしょう」
「お前らが当初の予定通り両隣に行け!」
「え、それじゃ1人溢れるんだけど。やっぱ僕がグレンと一緒の部屋に・・・」
「殺しますよ?」
「・・・勘弁してくれ・・・」

グレンはとうとう頭を抱えてしまった。
女3人と、男3人。部屋は5室。
となれば、幼い頃から共に切磋琢磨してきた時雨と小百合が同室になり、
残りは1室づつ住むのが妥当だということは誰が見ても当然なのに、
なぜこんなに揉めないといけないのかがわからない。
いやそもそも、元々泊める予定なんてなかったのに
どうしてこうなった。
何故こいつらは、当然のようにこのマンションに住む前提で話をしているのだろうか。
本当に意味がわからない。
意味のわからない彼らのくだらない話し合いは、平行線をたどるように思われたが、その時、
あまり会話に混じらなかったはずの美十がすっくと立ち上がった。


「どうした?美十ちゃん」
「・・・とりあえず私は、2505号室をお借りします。雪見さん、鍵をお願いできますか?」
「はい」
「あ」
「あ」

時雨が頷くのと、男衆があっけにとられるのと、美十が荷物を持って外に出るのはほぼ同時だった。
確かに、先ほどまでの会話は非常に不毛な内容ばかりだったから
自分で決めてさっさと部屋を陣取ってしまうほうが正解だろう。
まぁ、そもそもが間違っている気がしなくもないのだが。

「ちょ、グレン。2505号室って一番壁側だろ?ってことは、窓も沢山・・・」
「ああ、まぁ、一番広くていい部屋なんじゃないか?」
「まぢか。じゃ、俺はその隣にするわ。ベランダからこっそり覗・・・ってぇ!」

五士のスケベ発言に、小百合の容赦ないスリッパ攻撃が入る。
間髪入れずに、時雨が保管していた隣の部屋の鍵を取り出しながら言った。

「十条さんの隣の2504室は、我々が入ります。
 ですから、2503号室は、これまで通りグレン様がお使いください」
「そうする」

深夜は肩を竦めて、

「だってさ。どうする?五士。まぁ残ってる部屋はあと2つしかないけど」
「深夜様がお好きなほうでいいですよ。・・・どうせ女の子とひとつ屋根の下の夢も叶わかなかったし・・・(ボソ」
「じゃあまぁ、僕はグレンの隣部屋借りるかな〜」
「・・・お前はエレベーターホールの前の一番端の部屋で、一番初めに襲われろ」
「うわ、ひどくない?それ」

口では不平をいいつつも、渡された2501号室の鍵をひらひらと振ってみせる。
深夜は、同じように2502号室の鍵を渡された五士を伴い、宛がわれた部屋へと足を踏み入れた。
さすがに誰も住んでいなかったから、ひんやりと冷たい空気が漂っているけれど、
一通りの家具はそろっている。
本気で住むなら、1人では少しばかり広すぎて寂しいくらいだが、
第一渋谷高校に通うべく、家から自分たちが与えられていた一人暮らしのマンションに比べれば
きっと家賃の桁が違うだろう。
分家の一瀬とはいえ、当主候補というものはやはり扱いが違うなぁ、と
本家の養子と従家の長兄は苦笑してしまった。

「じゃ、グレン!俺、隣だから、夜這い待ってるぜ♪」
「誰が行くか!」
「僕は行くけどね〜♪」
「さりげなく暴露するな!」

思わず声を荒げてしまったが、幸い五士は丁度ドアを閉めたところで、
グレンはやれやれと溜息をついた。
なんだか押し切られた形になってしまったが、正直なところ今までとそう変わらない。
どうせ、今までだって昼前にはグレンの家で全員頭を突き合わせていたし、
しかもほとんどゲームや漫画にばかり興じて、夜には解散し、各々の家に帰る、という形になっていたわけで、
そういう意味では、無駄を省いた今のほうが効率がいいといえば効率がいい。
それに、どさくさに紛れて自分1人の時間を持てたというほうが、
グレンにとっては収穫といってもよかった。
まぁ、それはそれで、不安がないわけではなかったが。

部屋に戻ると、リビングには五士や美十が持ち込んできたゲーム機器や漫画が
片づけるのも面倒なレベルに散らかされていた。
彼らに隣の部屋を宛がったとはいえ、きっと大半の時間は再びここで過ごすのだろうと思うとうんざりするが、
それも、最近は少し慣れた。
そんなことを考えていると、小1時間もしないうちに、予想通り小百合と時雨が戻ってきて、
いつものように「夕飯は何にしますか?」と聞いてくる。
グレンは少しだけ笑った。
最近、いろいろなことがあったせいで、彼女たちと3人で過ごす時間も久しぶりな気がする。
「カレー」とだけ答えると、「また何も考えてくださらない!」と頬を膨らませる小百合も懐かしくて、
また少し笑う。

「もうちょっと、普通の高校生活が送りたかったかもなぁ」

入学早々に学校が襲われてから、半年。
せめて1年くらいは、実力を隠したまま、極々平和な高校時代を過ごしてもよかったけどな、と
グレンは一人ごちた。











「で。やっぱりお前ら、飯を食いにきたのか」

それから数時間後、きっちり6時に合わせて、3人はグレンの2503号室にやってきていた。
丁度、小百合の料理の下ごしらえが終わったところで、
まさに示し合わせてやってきたのではないかと疑う程のタイミングの良さだ。

「そりゃー、皆で仲良く食べたほうが美味しいって常識っしょ」
「それに、新しい住居に来たばっかで食材買いにいくのも面倒じゃない?」
「私はお2人の手料理がとても好きですので、是非ご一緒させてもらえませんか?」

皆、名家の子女だけあって、まともに料理することなど一人暮らしを始めるまでなかったから
実は大の苦手なだけなのだが、それは敢えて言わない。
ずうずうしい深夜と五士に、2人はイラッとしたが、礼儀正しい美十の正直な発言には、悪い気はしない。
というか、今までも昼と夜はほとんど皆で過ごしていたので、既に6人分の食糧は用意してある。
キッチンの奥から食欲をそそる匂いが漂ってきていて、
深夜は鼻を鳴らし、それから呆れたようにグレンを見やった。

「でも、またカレー?(笑)グレンどんだけカレー好きなわけ?」
「嫌なら帰れ」
「違いますよ!今日はカレー鍋ですから!!」

広いテーブルの上には、6人でつつくには少しばかり小さい鍋と、
そうして時雨が運んできた食材は、実に10種類以上の具材が並んでいて、随分豪勢だ。

「お、これはもしや俺らの引っ越し祝いパーティー?」
「たまたま、です。」
「これは美味そうだねぇ。ねぇグレン、アルコールの1つくらいでないわけ?」
「・・・未成年にも程があるだろうが。時雨、全員水でいいぞ」
「雪見さん、私には牛乳でお願いします」
「へ!?」

五士と深夜が意外そうな顔で美十を見る。
グレンも顔にはでなかったが彼女を振り向いてしまった。
やはりちょっと驚いたので。
美十はというと、自分の発言のせいで皆の視線を浴びてしまったことに気付いて、
軽く頬を紅潮させている。しかし、めげずにキッと五士を睨みつけて、

「・・・か、辛いカレーに牛乳は常識でしょう」
「いやいや、これ鍋だしさ。そんなに辛くないって。な?小百合ちゃん」
「グレン様の好みに合わせて、香辛料が普通の3倍増しになってますけど?」
「そりゃ・・・・・・辛い。辛いわ」

よくよく見ると、煮立ち始めているカレー鍋の中に、
唐辛子が丸々、浸かっている。
食欲を増す香りがするのは事実だが、じっと鍋を見ているだけで、
なんだか目が痛くなってくるのは気のせいだろうか。
確かに、以前食べたカレーも辛目だったことを思い出して、
五士は思いっきり辛党のグレンを呆れたように見やった。

「・・・辛いのばっかり食べてると、痔になるぜ(ボソ」
「何か言ったか?」
「いや何も」

小百合がグレンに装った小鉢の中にも、赤唐辛子が見え隠れしていて顔を顰める。
だが、グレンは何食わぬ顔でそのまま普通の食材よろしく口に運んでいて
五士は呆れを通り越して青ざめた。
と、その時、時雨に手渡された自分の手元の小鉢にも・・・
というか、自分の装われたそれは、ほとんど具が寂れた葉物ばかりと、そして唐辛子ばかりが目につく、
かなり不公平な盛り方で、

「ずりぃよ、グレン!明らかに不公平だろ!」
「あー五月蠅い。だまって食え」
「でもグレン、これさすがの僕でも辛いんだけど」
「深夜にも牛乳を頼む」
「時雨ちゃん〜〜!俺にも牛乳!!」

律儀に時雨が、五士にも牛乳を持ってこようとしたところを遮って、

「五士は飲み物ナシな」
「グレン、覚えてろよ!!!」

既に唇を真っ赤に腫らしている五士を半笑いで見やり、
そうしてグレンは何食わぬ顔で更に自分の小鉢に香辛料を追加している。
美十は、既に自分の取り分けた分を牛乳で割ってクリーミーカレー鍋にしているし、
時雨と小百合も、別にいつものことなのか、そのまま食べている。
五士が泣きそうな顔で深夜を見やると、
彼は笑って五士に耳打ちしてきた。

「深夜様ぁ(泣)」
「ん〜、絶対グレンって舌が馬鹿になってるよね」
「聞こえてるぞ。深夜」

軽く視線を向けてやると、深夜は肩を竦めて、五士に自分の分の水を薦めた。
とっくに五士の手元の水は飲み干されていたのだが、再びゴクゴクと飲み干して、それでも
口の中が火を噴きそうな程辛いのか、はーはー言っている。
まぁしかし、これもいい仕置きだろう。
勝手に人の家にずかずかと上がり込んできて、厚かましい発言を繰り返す彼には、
このくらい苛めても罰は当たらないはずだった。
あともう1人、同じくらい態度の大きい奴はいるにはいるのだが、
彼へのお仕置きはまぁ、もう少し後にすることにする。

とにかく、平和だった。
学校は休校中、渋谷は大規模な停電事故があったものの、今は平常を取り戻している、という
間違った事実がテレビの中のニュースで聞こえてくるのみ。
他の地域で、<<百夜教>>と『帝ノ鬼』の小競り合いが続いているのは事実だったが、
それでも、ここではそんな状況は見られない。
ただ、それでも、

(着々と、世界が終わる日は、迫ってきている)

仲間たちの喧噪を聞きながら、それでも少しだけ、物思いに耽る。
状況は、苦しい。
このまま、不毛な時間を過ごしていられるのも、きっとあと数か月もない。
というより、本当は、今だってこんなことをしている場合ではないのだが―――、

「まぁ、もう、僕たちがやれることはやったよ。
 あとはさ、果報を寝て待つしかないんじゃないかなぁ?」
「果報ねぇ」

果報どころか、悲報しか入ってこないだろうことはわかっていながら、
深夜はそんなことを言ってくる。
確かに、彼の言うとおり、当面、自分たちがすべきことは何もない以上、
今の自分たちにできることは、鍛錬を怠らず、力を磨き、出動要請が出たときには
全力を尽くせる体調管理をする―――それくらいだ。
グレンは顔を上げ、お玉に手を伸ばした。

「まぁ、とりあえず食うか」
「グレン様!私が装います!から・・・あぅ」

小百合の申し出を遮って、再び大量投入された具材を自ら装う。
しらたきとじゃが芋が特に気に入っていた。
きっと、これから当分、好き嫌いなど言っていられない世界になってしまうだろうから。
その前に、好きなものくらい存分に食っておこうと、
密かにグレンは決意したのだった。





...to be contined?








※16歳グレンの住んでるところ・・・27階建てのマンション。(小説より)

27階・・・最上階で一応オーナー家族が住んでる

26階・・・2603号室が修練場に改装されてる
25階の2503号室にグレンと時雨と小百合で住んでる。当初は両隣に住むはずだった
24階も貸切ってる



ちなみに、現実の渋谷の高層5LDKマンションは、
月130万くらいでした。
その部屋を15部屋貸し切るって・・・・・・
一瀬も相当金あるな・・・。

ギャグのつもりでいたのに、同居設定を考えるにあたって
小説4巻最後を読み直していたら、ちょっと気持ち的にシリアスになってしまった・・・
『鬼』を抑えるためにも、仲間との不毛な時間が必要なのかぁ。
難しいなぁ。
こういう作品は、漫画で読みたいです。
情景描写よりも会話のテンポが早いので・・・鍋をつつくグレンチーム・・・萌える。
というか、エロシーン以外が遅筆で非常に困ってます。
そこに行きつくまで仕方がないとはいえ、めんど・・・フゴフゴ


時雨と小百合のレズ展開もええよなぁ〜
グレン様ぁ〜とかいいながら双頭バイブとか舐めればいいと思うの。






Update:2014/11/26/WED by BLUE

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