Panic House vol.2



「・・・ってことは、ロイはブラッドレイさんに育てられたってことなのか?」
「まぁそうなるな。私は孤児だったから」

食事の後、リビングで寛ぎながら、ロイは紅茶を片手にフラガの声に応じていた。
なんだか3人の時以上に狭い気がするその部屋の原因は、
もちろんロイが(仕方なく)連れて来た大総統キング・ブラッドレイのせいである。
ブラッドレイは相変わらずフラガを抱えて同じように寛いでいた。
ちなみに隣にいるのはクルーゼだ。
ロイは軽く目を細めると、ティーカップを傾けた。
そう、あの頃は戦乱が激しく、物心ついたときはもう両親すら知らなかった。
そんな時、そんな自分を拾ってくれたのがブラッドレイだ。
それからずっと、彼のために何か出来ないかと思って生きてきた。

「数年して、閣下は今の地位に就かれてね。それからずっと、こうして仕えてきているのさ」
「あの頃のマスタングはそれはもう可愛くてな。こうやって、膝の上に乗って、つぶらな瞳で見上げてくれたものさ」
「へえええ〜〜〜〜〜〜」

フラガがわくわくとロイを見やった。ロイはというと顔を顰めている。

「別に、誰だってそんな時代はあるだろう」
「そりゃそうだけど!!気になるじゃん、あんたの小さい頃ってさ」

興味津々で聞いてくるフラガだが、
いかんせんこのシリーズはロイメインではないのでその話は却下だ。
気になる人はまともなブラロイを読んでくれということで、
丁度その時フラガを遮るように無機質な電子音が鳴った。
文明の利器、お風呂沸いたよブザーである。(なんじゃそりゃ)

「風呂が沸いたようだな」
「ああ、閣下、先に入られますか?」

やはりここは一番年上から、とロイはブラッドレイに声をかけた。
ブラッドレイはふむ、と頷く。

「うむ。ではお先させてもらおうか。・・・さ、フラガ君。一緒に入ろう」
「え゛」

思いもよらない言葉にロイが固まる。

「・・・え・・・ちょ、まっ・・・!!」

抵抗しようとするフラガをひょいと抱え上げ、ブラッドレイは風呂場に向かった。
フラガはじたばたと暴れるが、全て男の腕で押さえ込まれてしまう。
ちょっと待った。これはかなりヤバイ状況ではないのか。
それにしても、なんなんだこのオッサン。(爆)

「では、マスタング。少し借りるよ」

そんなことを言っている。

「あ、はい・・・ってダメに決まってますっ!!何勝手やってるんですか!!」
「〜〜〜〜ロイぃぃ〜〜助けてくれぇ〜〜〜」

なんとも情けないフラガである。

「なんだ、つれないのう」
「閣下!!そういう問題ではありませんっ!!」

ロイの怒ったような声音に重なり、ガチャリ、と金属音がした。

「・・・いい加減、お遊びが過ぎるのではありませんか?」

ブラッドレイの背後から聞こえた硬質な声はクルーゼのものだ。
いつの間にブラッドレイの後ろをとっていたのか、彼の後頭部に銃を突きつける彼に、
内心ロイはいくらなんでも無礼だろう・・・!!と思ったが、
確かにブラッドレイの非常識な行動にはこれ以上付き合っていられない。
同じように咎めるように彼を睨むと、当のブラッドレイは気にした風もなく、にっと口の端を持ち上げた。

「いや、あまりにフラガが可愛らしくてな。ついつい大人気ない行動をとってしまった。すまんすまん」

あまりすまなそうな気のないブラッドレイである。
けれど、一応抱えていたフラガの足を床につかせた。フラガはほっとため息をつく。
だが、彼が胸をなでおろしたのもつかの間だった。

「さ、それでは行こうかね」

またもや唐突な言葉。

「ど、どこにですか?!」
「決まっている。ベッドルームだよ」

な、とブラッドレイはクルーゼのほうを振り向いた。
フン、と鼻を鳴らして銃口を逸らす。
おいおい、それでいいのか、クルーゼ?!
しかし、今度は彼が戸惑うフラガを抱えあげた。見上げる瞳はまるで子犬のようだ。

「ら、ラウ・・・?」

だが、頭が追いつかないのはロイのほうもである。
なんだか、よくわからない部分で一致団結しているらしいクルーゼとブラッドレイに、
しかしまだどうしても自然についていけない。
まぁ、彼本来のペースをことごとくこの最高権力者に壊されているのだから無理もないのだが。

「か、閣下・・・」
「さ、マスタング。君も来たまえ。夫の君がいなくてどうするんだね」
「・・・(夫ぢゃないけど)っ、ま、待ってくださいっ!!」

すたすたと二階の寝室に向かうクルーゼとブラッドレイ。抱えられたままのフラガ。焦りつつも彼らを追いかけるロイ。
大の男4人、ベッドが壊れるのではという筆者の不安をよそに話は続く。
どさり、とベッドのど真ん中に下ろされ、フラガは思い切り今の状況に焦っていた。
すぐさま上に乗り上げてきたのがブラッドレイなのだ、無理もない。
ベッドは案の定みしっと音を立てた。

「え・・・ちょ、ま・・・!」
「私のことは嫌いかね、ん??」

ブラッドレイはフラガの顔を覗き込み、その蒼の瞳を見据えた。
絡む視線に、フラガは戸惑う。
ブラッドレイの眼光は、ロイとも、クルーゼとも違う、一度捕らわれたら決して離せない色がそこにはあった。
離せない、どころか、彼の言葉に逆らえなくなるような魔力。
嫌いか、と問われ、しかしストレートに嫌いと思えない自分がいた。
抱かれたくなんか、ないはずなのに。
誰も期待などしていないのに、気づけば鼓動が高鳴っている。
隣には、クルーゼが同じように覗き込んできていた。
だからなおさら戸惑いを覚えるのか。

「あ・・・そ、そういう、わけでは・・・」

思わずそう言ってしまう。

「・・・だそうだ。いいかね?」
「別に、私はフラガさえいいなら構わないが」
「ならば、決まりだな」

目の前のブラッドレイがにっと笑いかけてきた。
フラガの背筋に、後悔の念が走り抜ける。

「や・・・、ちょっと・・・っう―――・・・」

クルーゼがいきなり唇を重ねてきた。
始めにブラッドレイじゃなくてよかった、と思いつつも、苦しさに眉を寄せる。
クルーゼのキスは、強引で、そのくせしつこく口内を貪り、
抵抗感を失わせられる感覚に陥るのだが、
今もまた。
この、・・・口に出すのもおぞましい・・・2・・・いや、3人に攻められるだろうという状況下で、
しかしフラガはそれを受け入れる気にさせられていた。
抵抗は無駄だ、という証明であるかのように、指先を絡め、シーツに押し付けられる。

「ほら、聞いたとおりではないか、マスタング。そんなに遠慮せずとも構わんぞ」
「べ、別に、遠慮しているわけでは・・・」

ただ、ブラッドレイの魔の手からフラガをどうにかしたいだけなのだが。
しかし、あれほど嫌そうな気がしていた彼は何気にシーツに腕を縫い止められたまま上気した頬を見せているし、
クルーゼなどブラッドレイの存在を嫌うどころかなぜか容認してしまっている。
このままでは、自分だけ部屋を追い出され兼ねない。
・・・そもそも、なんで私が追い出されなきゃならないんだ。ここは私の部屋なのに。
ロイは深々とため息を吐いた。
今頃になって自分の中の苦労性がふつふつと怒りに変わっていくのを感じる。
夫婦3人(?)水入らずの自分の家にいきなり押しかけてきて、
しかも大切な嫁(だから違)を颯爽とその腕に収めるブラッドレイ。
・・・フラガは私(達)のものだああああ!!!(壊)
もう一度ロイはため息をついた。
自分を見上げるフラガの瞳は、懇願するように揺れている。

「・・・本当に、いいのかい?」
「え・・・だ、だめ、っ・・・あっ・・・!」

いやいやと首を振るフラガに追い討ちをかけるように、ブラッドレイが彼の下肢に纏っていた衣服を取り去った。
男3人の目の前に自分のその部分が晒され、羞恥に身体が竦む。
特に、自分の足の間にはブラッドレイがいるのだ。これほど屈辱的なことはないだろう。

「ふむ。綺麗な色をしている」

ブラッドレイはそう言うと、フラガ自身に人差し指を這わせた。
あらぬ刺激に、ぶるりと身体が震える。
半端に勃ちあがっていた自分のそれが形を変えていくのがわかり、フラガはぎゅっと目を瞑った。
どうしてこんなにも、自分の身体は節操がないんだろうか。
会って間もない男の指だけで、自分は反応を示してしまっている。
一体、こんな自分をクルーゼやロイはどう思っているのだろう。それを考えて、フラガは居た堪れない気持ちになってしまう。
だが、フラガがこのとき目を開けていたなら、気付いていただろう。
彼を覗き込むクルーゼの、
フラガの悩ましげな肢体にどうしようもなく情欲を煽られたその表情を。
男を誘うフラガの媚態に、彼ら3人もまた溺れていた。

「あっ・・・ん、やっ・・・」
「ムウ・・・」

フラガのそれが先端を濡らし、零した蜜はそれを握るブラッドレイの手を汚していった。
下肢を節ばった大きな手に捕らわれる。知らず息があがる。
彼の手の動きに合わせて声を洩らそうとして、しかしフラガは瞬間息を詰めてしまう。
胸元に顔を埋めたままのクルーゼが、
彼の赤く熟れたそれにきつく歯を立てていた。
思わず仰け反った彼に追い討ちをかけるように、首筋にキスを与えられる。
強く吸われ、白い肌に残る朱の花弁。
ロイは唇を離すと、うっとりとそれを指先でなぞった。

「ああ・・・、よく似合うよ」
「な・・・っ!バカ、やめ・・・っう―――・・・」

抵抗は、ロイの唇に吸い込まれる。
いつの間にか夢中になっている自分を自覚して、ロイは内心苦笑する。
だが、一度火のついてしまったものは、そう簡単には収まらない。
確かに、ロイもまた、男達に見下ろされ揺れた瞳を向ける彼に感じてしまったから。

「ん・・・っふ、う・・・っ!!」

唇を塞がれくぐもった声を洩らすフラガが、より一層眉を寄せた。
身体を下にずらしたクルーゼが、フラガ自身に舌を這わせてきたのだ。
普段以上に丁寧に体液を絡め、刺激を加えるクルーゼの動きに、フラガは惑乱し、首を振る。
快感に耐え切れずシーツで足を蹴るような動きを見せる彼に、
ブラッドレイはふ、と笑みを浮かべた。
なんとも、可愛らしい。
滑らかに太腿にキスを落とす。吸い付けば、キレイに痕が残る。
びくりと反応する身体は、戸惑いに揺れるばかり。

「あ・・・や、だめ・・・っ、も・・・」

男3人がかりの愛撫にいい加減耐えられないフラガは、自身を煽る衝動に声を洩らした。
いつにない激しい感覚は、彼の意識を摩滅させていく。
ただ、快楽を通り越した強烈な感覚に踊らさる。
気持ちいいのか、そうでないのか、それすらもわからない。
ただ、熱い。死にそうなほど。

「・・・限界なのかい?」
「もう?早いだろう」
「や・・・ひで、無理・・・!」

クルーゼの意地の悪い言葉と手の動きに、フラガが身を捩る。
きつく根元を押さえられ、そのまま先端を舐められ、張り詰めたそれは脈動するばかり。
すっかり出来上がったそれは、天を向き開放を求めているようだ。

「まぁよい。これからまたゆっくりと楽しませてもらおうではないか」

ブラッドレイは口の端を持ち上げた。
何を考えているかわからないこの男は、フラガにとって一番の恐怖の対象だ。
怯えたような瞳を向ける。
ブラッドレイはそれを見下ろす。ひどく、満足げな顔で。
鼓動の高鳴りが止まらない。胸が苦しい。息が出来ないほどに。

「ムウ・・・」
「あ・・・や、ああ・・・っ!!」

クルーゼの手の動きが一段と激しくなった。
フラガを高みへと向かわせるべく、その砲身を強く擦りあげる。
ロイは、膝を立てた足の奥に鎮座するその部分に指を這わせた。自身とブラッドレイの噛み付くようなキスに溺れ、フラガは抵抗するほど意識が保てない。
ぐっと少し力を入れるだけで指を呑み込んだその部分を、拡げるように押し上げる。
前立腺を直接刺激され、視界が霞む。
身体の奥から、快感が膨れ上がる。

「あ・・・だ・・・、もっ・・・!」

フラガは仰け反り、その精を弾けさせた。
視界が真っ白に染まり、何も考えられない。
あまりに強烈な快感。びくびくと次々に精を吐き出す身体を、ブラッドレイは愛しげに抱き締める。
いつまでも身体にわだかまる快楽の余韻のまま意識を揺らせば、
見下ろす3人の男たち。
愛されたからだが、また快感を求めて疼き始める。

「あ・・・んっ・・・」

ぬるりとした精が肌に付着していた。
それを、男の手で拡げるようにされ、羞恥に身体が竦む。

「ふふっ・・・可愛いものだ。どれ」
「!!?」

ブラッドレイは、フラガの腰を抱えあげると、そのままベッドにうつ伏せた。
顔がまともに枕に沈んでしまい、あわててフラガは横を向く。
その時、背後から抱き締められてしまった。
そのまま腰を起こさせられ、シーツの上に四つんばいになるような体制にさせられる。
抱き締められ、そのまま手が胸元に回される。

「え・・・や、ああっ・・・」
「ムウ・・・」

甘く囁かれ、フラガは慌てて唇を噛んだ。
彼の名を呼んだのはクルーゼだ。耳元に唇を近づけ、吹き込むように言葉を紡ぐ。
舌で耳殻を嬲られ、甘噛みされると力が抜けてしまいそうだ。
必死に目を閉じて耐えようとする。けれど、胸の突起を指先で摘まれ、身体が仰け反る。

「・・・!!」

その時、するりと手が伸びてきて、フラガ自身を捕らえた。
先ほど放ったばかりとは思えないほど反応を返しているそれを、ロイの手が包み込む。
精に濡れたままのそれをぬるりと擦られれば、腰が砕けそうなほどに感じてしまう。
思わず首を竦ませれば、
それを阻むようにクルーゼの手がフラガの顎に添えられた。
掴まれ、顔をあげさせられる。

「あ・・・っ!!」

唐突に下肢に濡れた感覚が走り、フラガは思わず指先でぎゅっとシーツを噛んだ。
先ほどロイに嬲られた箇所。
フラガの秘部に、ブラッドレイの舌が触れていた。
やだ・・、と後ろを振り向くが、捩ろうとする体は男たちの手で捕らわれ、動かない。
ブラッドレイは両手でフラガの形のよい双丘を掴み、揉みしだいている。
強く揉まれ、身体に力が入らない。
抵抗のできない体は、そのままブラッドレイの舌の侵入を許してしまっていた。
唾液をたっぷりと塗り込められ、内部からぴちゃぴちゃと音がする。
卑猥なその音は、なおもフラガに欲情する男たちの熱を煽っていった。
堪らず、フラガは片肘をついてしまった。
クルーゼに、シーツについた手すら捕らわれてしまう。
その上からきつく握られ、耳朶を嬲られる。

「う、ああっ・・・だ、めだっ・・・やめ・・・!」
「何をいっとる。まだ始まったばかりだろう」

ブラッドレイの言葉に、フラガは息を呑む。
先のことも、今も、死にそうなほどに高められてしまっている自分の身体。
それですら、まだ始まったばかりだというブラッドレイが恐ろしい。
これ以上の快楽を感じてしまえば、きっと自分は壊れてしまう。
底の知れない快感は、フラガを恐怖に突き落とすだけ。

「あ・・・や、だ・・・」
「ムウ」

ロイの声に、かろうじて顔をあげる。
ロイは、フラガの自身を手のひらに収めたまま、するりと彼の下に滑り込む。
フラガの金の頭を抱えると、そのままロイは彼と唇を重ねた。
フラガの瞳から涙が零れた。
耐え続けていたそれが、ロイのキスに許されせきを切ったように溢れ出す。
彼の首に腕を回す。
強くしがみつけば、それ以上の力でその背を抱き締められる。
下肢は散々ブラッドレイに嬲られ、
もはや力など残っていない。
クルーゼがフラガ自身を包み込んでいたロイの手に自分の手を重ねる。
2人分の快感に、視界が眩む。
次の高みは、すぐそこまできていた。

「あ・・・も、う・・・」
「そろそろかね」

ブラッドレイは唇を離したそこに、2本の指をつき立てた。
抵抗のないフラガの秘孔は、内部をかき回されぐちゅぐちゅと音を立てている。
その時、フラガはなにかいわれのない不安に駆られ、後ろを振り向いた。

「や・・・だ、めっ・・・!」

ブラッドレイは今だフラガの尻を掴んだまま、離す気配はなかった。
そのまま、ジッ、とファスナーの下ろされる音がする。
フラガはその時、恐ろしいものを見た。
ブラッドレイのそれ・・・見たこともない巨大さに、フラガの身体が竦みあがる。
女の膣内(なか)にすら、本当に入るのだろうかというほどの巨根。
どうみたって、自分の中に入るわけがない。

「あ・・・無理・・・!だっ・・・そんな・・・っ」

フラガは必死に首を振るわせた。
しかし、今更ブラッドレイがそんな言葉を聞き入れるはずがない。
先端を宛がわれ、息を呑む。
ロイはただ抱き締めた。恐怖に怯えるフラガを、少しでも和らげてやりたくて。

「ロイ・・・っ」
「・・・しっかり捕まっていなさい」

そっと囁く。
背を抱くクルーゼもまた、その腕の力を強める。
フラガは目を閉じた。
愛する男の腕の中に、自分はいるのだ。
きっと、苦しみも、痛みも、快楽も、すべて彼らと共にあるはずだ。
彼らの腕の中で―――・・・・・・・

「さて、・・・味見をさせてもらうよ」
「っう―――・・・!」

先端を受け入れるだけで、かなりの圧迫感がフラガを襲った。
半ば無理矢理押し込まれ、強く壁を擦られる。灼けるような痛みが彼を苛んでいく。
けれど、痛いだけのはずのそれにフラガが耐えられたのは、クルーゼのおかげだったかもしれない。
クルーゼはフラガを抱き締めたまま、前への愛撫を続けていた。
快感に酔わされ、まだ痛みより快感を追うほうが意識の上では強かったのだ。

「ふふ・・・、さすがにキツいな・・・。なかなか美味だよ、フラガ君」
「あっ、や・・・!!」

ぐっと押し進められ、フラガがぎゅっとロイの首に回したままの腕に力を込める。
かなりきついのか、額には脂汗が滲んでいる。

「ムウ・・・力を、抜くんだ・・・」
「そ、んなこと、言われ、てもっ・・・!!」

男根の中央の、一番きつい部分を必死に受け入れようと息をつくが、
常識から逸脱したようなそれをそう簡単に受け入れられるはずがない。
少し押されるたびに、内臓が飛び出してきそうだ。
それほどに、下肢が悲鳴をあげている。

「や、あああっー・・・!!」

ひときは高い声音をあげて、フラガは身体を仰け反らせた。
抵抗のぬけ切らないフラガの身体に焦れたブラッドレイが、その内部を強引に押し開いたのだ。
フラガはもはや声もだせない。
痛みと、焼けそうなほどの熱に、全ての意識を支配されている。

「あ・・・っは・・・んっ・・・」
「ああ、最高だよ。よく締め付けてくる」
「んっ・・・!」

尻を掴まれ、その奥に巨大なそれを突き刺される姿は、
さながら少女が獣に陵辱されているようだ。
ひどく背徳的で、残酷で、そしてこれ以上ないほどに卑猥な光景。
止まらない涙が頬を伝い、シーツを汚す。
ロイは左頬に流れたそれを舐めとり、クルーゼは反対側の雫を唇で吸い取った。
可哀想に、身体の震えが止まらないでいる。

「ムウ・・・」
「・・・っ、あ、ああっ・・・!」

ブラッドレイが抽挿を開始した。がくがくと身体を揺さぶられ、フラガは必死にしがみつく。
強烈な圧迫感が、自分の内部を擦る痛みは、常にフラガを苛んだ。
だが、何度も擦られ、次第に感覚が麻痺してくる。
ひっきりなしに声をあげたまま、フラガは気付けば自分で腰を合わせていた。
抜けるほどに腰を引かれれば、今までブラッドレイを埋められていた箇所が疼く。
喪失感に戸惑えば、すぐさま強く貫かれる。

「あ・・・っ、や・・・ああっ」

痛みではなく、快楽に声を洩らす。
せわしない吐息。涙と汗で顔が歪む。汗で金糸が顔に張り付く。
気付けば快楽に溺れ、抵抗を忘れて喘ぐフラガに、クルーゼとロイは顔を見合わせた。
今更ながら、なにか悔しい気分だ。
クルーゼでもなければ、自分でもない、初めての男に、フラガは散々に喘がされているのである。

「あんっ・・・や、そこ・・・だめ・・・っ」
「ここかね?ああ、それとも・・・ここか」
「ああ!!んっ・・・や、あ・・・っ」
「・・・・・・」

さすがのクルーゼも、眉を顰めた。
どうも悔しい。悔しすぎる。

「・・・あっ・・・ああ・・・!」

いきなり、クルーゼは手の中の根元を強く戒めた。
慌ててフラガは後ろを向く。けれど、クルーゼはおもしろがるように彼を見下ろしたまま。

「あ・・・」
「どうした・・・ムウ?」

ああ、苛めっ子め。
ロイは内心そう評したが、まぁ気持ちはあまり変わりがないのでフラガを助けることはしない。
とっくに枯れ果てたはずの涙が、またぽろぽろとフラガの頬を濡らす。
懇願するように向けられる瞳に、クルーゼは口づける。
いきなり、ブラッドレイは下肢を繋げたまま、フラガを抱えあげた。

「・・・あっ・・・!!」

ぐるり、と中を擦られ、快感に身が竦む。
その間に、フラガはベッドの角に後頭部をつけさせられ、仰向けにさせられてしまっていた。
3人の男に見下ろさせる体勢は、どんなときでも羞恥を煽るものでしかない。

「ムウ・・・」

クルーゼが砲身をきつく握り締めたまま、彼に唇を重ねた。
ロイもまた同じように砲身に手をかけたまま、胸元に口付ける。歯を立ててやれば、ああ、とフラガの身体が仰け反る。
そして。
高く抱え上げられた足の間には、ブラッドレイが。
その中心を、・・・その、彼の奥を貪り、容赦なく責め立てている。

「あっ・・・ああっ・・・や・・・!」

ブラッドレイが動くたびに、ベッドがぎしり、ぎしりと音を立てていた。
だが、激しさを増す動きは止まらない。
フラガの快楽も限界に近い。
フラガは両脇に居る2人の男に手を伸ばした。
その背を抱き締める。何かに縋らなければ、怖くて仕方がなかったから。

「ああ、や、もっ、だめ・・・!!」

お願い、と小さく懇願され、クルーゼの息があがる。
ああ、このままで終わらせてなるものか。
気絶しようと、今度は私がこの男を貪ってやる。
夜は、まだまだ終わらないのだから。
クルーゼはそう考えて舌で乾いた唇を舐めた。こちらもまた、飢えた獣と化していた。

「あっ、あ、っ・・・や・・・!」

あがる息。貫かれる下肢は、強烈な感覚で解放を訴えてくる。
フラガはクルーゼとロイの包む自身にまた自分の手を重ねた。はやく、はやく、達かせて欲しくて仕方なくて。

「おねが・・・っ、達かせ・・・!」
「ムウ・・・」

重なるキスが深くなる。奥を貫く男のそれも激しさを増す。
ロイはフラガの身体を抱き締めた。
揺れるからだを、強く、強く、彼のぬくもりをしみこませるように。

「そろそろ・・・私も達かせてもらうよ」

ブラッドレイはフラガの足を抱えると、これ以上ないほど彼の足を折り曲げた。
腰が浮き、叩きつけるように腰を打ち付ける。
絶え間ない水音が聞こえ、フラガは泣きそうに顔を歪めた。
強烈な波に掬われる。もう、なにも考えられない。波の、なみのおとが・・・っ・・・!



・・・・・・がたんっ!!!



なにか音がした、と思ったときには、皆の視界が傾いていた。
がくっと身体が落ちるような感覚。なんだ、と思ったときにはフラガは床に頭をぶつけていた。

「痛っ・・・!!」

慌てて周囲を見渡すと、そこはベッドの真下だった。
そして・・・・・・、目の前には、凝った細工のベッドの足。しかも折れ曲がって無残な姿になっている。

「・・・・・・こ、これは・・・!」

ロイは顔を顰めた。
考えるまでもない。そう、バカげたことだが、ベッドが壊れてしまっていた。
おかげで、傾いたスプリングから滑り落ちてしまったのだ。
ロイは青ざめた。
いったいいくらしたと思っているんだ、このベッド!!!(半泣き)
だが、ロイが頭を抱えたのもつかの間。

「・・・・・・マスタング」
「は、はい・・・?」

なにやら怒気のはらんだブラッドレイの声音に、ロイはびくついた。
まずい。この男は、自分が一番いいときを邪魔されると決まって鬼のように怖くなるのだった。
まるでガキのようだ・・・なんて、そんなことを考えてはいけない。

「どう責任を取ってくれるつもりだね」
「わ、私のせい・・・?」
「決まってるだろう。このベッドは誰のものだ?ん??」

だったらそもそも使うな!!と内心泣きを入れるが、
きっとこの天下一自分勝手な男には伝わらないだろう。ああ、切ない。

「は・・・す、すぐに新しい寝台の注文をして参ります!!今度こそ、100人乗っても壊れないイ○バ物置のようなベッドを!!」

ああ、もう。
だから嫌だったのだ。
絶対絶対絶対絶対、この男といればまともな3週間を送れない。
そして、とばっちりは全て自分が受けることになるのだ。
ああ、神様、仏様。
この人をどうにかしてください・・・
ロイは泣きながら呟いた。

「仕方ない・・・この絨毯の上で仕切りなおしとしようかの」

ブラッドレイが行った先は、それはそれはもう高価な起毛の白い絨毯。
またもやロイは青褪める。

「は・・・ああっ!!やめてください!!そんなところで・・・ぎゃーーー!!」

そして、結局。












翌朝、
出勤日になっても、だれも寝室から出てくることはなかった。
まだカーテンの引かれたままのリビングでは、電話の音だけが鳴り響く。

今日もまた、雲ひとつない晴れ渡った夏の朝。

視察と称したブラッドレイのバカンス生活は、まだ始まったばかりであった。





end.




Update:2004/07/19/MON by BLUE

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