wonder night SP



やはりというか、
予想通りミッドガルのセフィロスの部屋には先客がいた。

「遅いよ」

毎度のごとくクセのある金色の髪をソファにうずめ、
寝汚い少年が唇を突き出した。

「仕事だ」

銀色の髪を背に流し、溜息をもらして目を伏せたのは
いい加減この状況になれつつあるこの身が恐ろしい、
セフィロスである。

「ありえない。
こういうイベントごとの時は、
互いにやりくりつけるもんでしょ。
それにさ、ザックスに確認したんだからね。
とっくの昔に仕事おわってんじゃん!!」

クラウドの主張はいつも無茶苦茶な理屈なのだが、
本人はいたって真面目だからなお悪い。

「なにをいってるんだ。バカらしい」

「あんた、さては俺を愛してないな」

ソファから恨みがましい視線を感じた。

「ごちゃごちゃいうな。みっともない」

「そーそー、俺みっともないよ。
勝手に恋しちゃって一人で盛り上がってんだもん。
料理まで作ってさ。
バカもバカ。世界一バカ」

すぐにこうやって自棄になる。

「・・・・ホラ」

寝そべったまま気分を害しているクラウドの前に
買ってきたシャンパンを置いてやると、
とたんに蒼い宝石みたいな目が見開かれる。

「もうケーキがいいっていう歳でもないだろ?」

マジマジと冷えたボトルを見つめる瞳が
喜色を浮かべてセフィロスを見上げた。

「すごいね、これ。
俺が生まれた年のじゃん。
うれしい、すごいうれしい!!」

感情のままにセフィロスに抱きついてくる。
先刻のあの機嫌の悪さはどこにいったのだか。
苦笑しつつ、抱き返す。

「仕方のないやつだな」

「なんとでもいって。
今世界一シアワセなのは俺だから」

「そうか」

じゃあ、きっと自分も同じくらい幸せなのだろう。
そんな気持ちをこめてクラウドの背中に回した腕に少し力を込めた。



fin





Update:2004/12/26/SAT by Ms.ELLEGA

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