Crasy Soul 02 〜 秘められた想い 後



 セフィロスは、立ったままクラウドの愛撫を受け入れていた。
 片方をバスタブの端に上げ、ともすれば落ちそうになる腰を手で支えて、クラウドはセフィロスの中心で熱を放つそれを口に含む。
 「く・・ふっ・・・・・・ん・・・」
 クラウドが動くほどに、セフィロスの口元からは甘い吐息が洩れてくる。
 耳に聞こえてくるそれに心地良さを感じながら、一旦喉の奥まで飲み込み、唇の裏側の柔らかな部位でセフィロス自身を刺激する。
 上下に擦る度に容量を増してくるセフィロスが愛しくて、より激しく舐め上げれば、上から腕が伸びてきて自分の髪を握り締めた。
 「クラ・・・ウド・・・・・・や、めろ・・・・・・」
 口でそう言うわりには、震える指先はクラウドを離そうとしているのか離さないようにしているのかわからない動きをしている。
 セフィロスの、頭と体との欲求のギャップにクラウドは苦笑しつつ、舌で先端の割れ目をなぞり上げた。
 「・・・っあ・・・っ・・・」
 思わず、といった風に上から振る声と、舌に感じる苦いような甘いようなセフィロスの味。
 それらを存分に楽しみながら、そろそろ限界を訴え震える自身の根元に指を絡ませた。
 熱い指の抱擁と、口内の湿った温かさに翻弄され、抑え切れない嬌声がセフィロスのロ元から上がる。
 「んやっ・・・・ク、ラ・・・ウド・・・・・・も、立ってられな・・・っ・・・」
 左足1本だけでこの状態の体を支えるのはさすがにつらいのか、セフィロスの膝ががくがくと震える。
 だが、クラウドはセフィロスの懇願も耳を貸さず、ただ黙って亀頭を甘噛みし、仕上げとばかりに先端をきつく吸い上げた。
 「ふ・・・あ―――っ・・・ああっ!!」
 強烈な刺激に耐え切れず、セフィロスはクラウドの口中に吐精した。
 喉の奥に叩きつけるように放たれたそれを、クラウドはうっとりと嚥下する。
 口を離した途端、ガクリと床に折れそうになるセフィロスの体を支えてやると、クラウドは微かに笑った。
 「気持ちよかっただろ?」
 荒く息を吐いて目を閉じるセフィロスに囁き、赤く染まった唇に自分のそれを重ねる。
 クラウドの舌に残る自分の精の苦みに顔をしかめ、首を動かして逃れようとするが、どこまでもついてくるクラウドの唇にセフィロスは翻弄されていた。
 「んっ・・・・・・や・・・」
 キスをしたまま、クラウドの手のひらがゆっくりと下に降りてくる。
 焦らすように脇腹を憮で、柔らかな茂みをさらりと抜け、先刻の熱の余韻に浸るそれにかすめるように触れ。
 到達した先にある、ひくひくと収縮するそこを憮でると、セフィロスの体がぴくりと震えた。
 「ん・・・・・。」
 耳元で聞こえる、かすかな吐息。
 それを合図に、クラウドが指を突き立てる。
 自分が飲み切れずにセフィロス自身から溢れた精液と、自分で濡らした唾液を指に絡ませ、馴染ませるように蕾をほぐしてやれば、後ろからの刺激に感じたのか一度放出したセフィロス自身もまた頭をもたげ始めていた。
 「見ろよ・・・キレイだぜ・・・・・・」
 「やっ・・・・・!!」
 セフィロスの体を反転させ、壁に手を付かせれば、セフィロスの目に自身の映った鏡が見える。
 バスルームでイスに座った時に胸から上が映るようにしつらえられたそれは、ちょうどセフィロスの下肢の辺りだけを克明に映し出し、いやらしいほどだ。
 その状態のままでクラウドがセフィロスの前を愛撫すれば、手のひらに包まれた彼自身がびくびくとうごめき、先ほどと同じ堅さにまで成長する。
 それを目の当たりにしたセフィロスは、クラウドに抱かれ、その愛撫に自分が感じていることを意識し、更に体温を上昇させた。
 「なあ・・・・・・」
 クラウドが、セフィロスの双丘を押し広げながら呼びかける。
 「んは・・・っ・・・な、んだ・・・?」
 ザラついた舌で秘部を舐め上げられ、喘ぎと共にクラウドに反応する。
 そのまま濡れた舌が中へと侵入し、セフィロスは壁に額を押し付けて目を閉じた。
 「あんた、俺のことキライなんだろ?」
 「ん?・・・ああ・・・」
 奥まで充分に濡らされたそこは、クラウドの挿し入れた指を奥深くに導いていく。
 一度貫いただけで堅い部分に到達し、セフィロスは身を震わせた。
 「なのに、なんでこんなに感じてるんだよ」
 クラウドに尋かれ、セフィロスは自嘲の笑みを微かに浮かべてロの中だけで答えてみた。
 ・・・当然だ。
 ・・・オレが欲しいのは、お前だけだから。
 どんなに頭で抵抗してみても、体の欲求には逆らえない。
 だから、嫌だと言っていても、体だけは素直に反応してしまう。
 全く、想い人の傍にいる為に、想いを伝えないなどという矛盾があるなんて。
 だから、クラウド、お前のせいだ、などと言いたくなる。
 「・・・・・・お前が巧いから、だ」
 「じゃあ何?英雄様は俺のテクに惚れてるってワケ?」
 一度抜いて、指の本数を増やして再度中に押し入れる。
 今度は激しく出し入れを繰り返し、液体の弾ける音がバスルーム中に響き渡るまで。
 ふと冷たい感触が伝わりセフィロスが荒く息を吐いたまま目を開ければ、自身が鏡に挟まれ、溢れた先走りの液が鏡を濡らしていた。
 「んあっ・・・・・・そうかも、な」
 「・・・ふうん」
 納得したようなしないような表情で、クラウドは立ち上がる。
 シャワーで濡れたのと、自身の汗とで全身を湿らせる体を、背後から抱きしめた。
 「じゃ、あんたとこうしてるのは、OK?」
 耳元で囁かれ、熱い吐息と濡れた舌に思わず身震いする。
 居てくれないと、気が狂うかもな・・・・・・とか、心の中で呟く。
 「うぬぼれるな。オレがお前に抱かれてやってるのはお前が駄々をこねるからだ。オレはお前ほど性欲旺盛じゃない」
 「・・・じゃあ、駄々をこねたらいつも何度でも??」
 「煩わしいと思えば、容赦なく切る」
 「・・・・・・気をつけます、セフィロス殿」
 さりげなく敬語を使ってくるクラウドに、セフィロスはぼんやりと考えていた。
 ・・・いつまで、続くのだかな・・・
 いつか、クラウドが自分に執着して来ない日が来るだろう。
 それを考えると、こんな、嘘ばかり付いてる自分がばかばかしくなってくる。
 切られることを怖れ、切る、と言う自分。
 自分の優位さを誇示しておいて、本当に優位なのはクラウドだ。
 紛れもなく、自分がクラウドに執着しているのだから。
 不意に耳たぶを甘噛みされ、セフィロスは現実に引き戻された。
 「・・・っあ・・・」
 熱くそそり立った自身を奥にあてがわれ、何も考えられなくなる。
 数瞬後の快楽に、心が捕われる。
 「それでも・・・、俺、あんたのこと好きだから。・・・忘れないで」
 せつなげな言葉と共に、訪れる熱い感触。
 自分の中を押し広げていく、異常なほどの圧迫感。
 それら全てが、セフィロスを犯し、そして狂わせていく。
 ただ、巧いからといって、こんなに感じることはあるまい。
 クラウドだからこそ、与えられる感覚。
 「うあ・・・っ・・・はっ・・・い、いい・・・っ・・・」
 思わず、素直な言葉が洩れる。
 それが、心も体も全て自分を抱く存在に預けたことを意味することを、クラウドは気付いているだろうか?
 鏡を濡らす快楽の証に、クラウドは気付いているのだろうか?
 クラウド、お前の熱い楔が、こんなにオレを狂わせ、乱れさせているんだ・・・
 「セフィロス・・・」
 呼ばれるままに、首を傾ける。
 クラウドの体が背中にぴったりと密着し、そのままキスを渡される。
 クラウドの想いそのままのキスは、甘く、どこか懐かしくて、セフィロスは初めてクラウドに抱かれた時のことを思いだした。
 確かに、合意の上での交わりではなかった。
 強引に押し開かれた体は、今でもその苦痛を覚えている。
 でも多分。
 キスだけは、甘かった。
 あの時も、自分は心でクラウドを求めていただろうから。
 クラウドは、セフィロスの腰を掴んでいた手を離すと、背が折れるほどきつく、抱き締めた。
 「・・・愛してる・・・・・・」
 クラウドの囁きが、深く、全身に浸透していく。
 どうして、この言葉を聞く度に、自分はこんなにも幸せな気持ちになれるのだろう。
 いつかは失う甘やかでせつない快楽に、セフィロスは涙を流した。




 このまま、命が終わってしまえばいい。
 お前を待ちわびている日々なんて、・・・いらない。
 だから、・・・・・・・・・
 あぁ、クラウド、・・・殺してくれ。
 このまま、お前だけをずっと感じていられるように―――――。





 


***END***

小説リスト

PAGE TOP