Fiery Time
エルジュノンに唯一存在する噴水のかたわらで、セフィロスは呟いた。
神羅兵の恰好の交流の場であるここも、今はそこに存在する者をあぶるような夏の日差しに耐えかねて、みな室内へと逃げ込んでいる。
そんな中、人一倍暑さに弱い彼は、本日数十回目の溜め息をついた。
(・・・ったく・・・クラウドの奴・・・・・・・なにもこんな暑い場所で待ち合わせることもないだろうに・・・・・・・)
午後から明日にかけての久しぶりの休暇に、セフィロスはクラウドと逢う約束をしていた。
待ち合わせの時間はあと1時間も先だったが、何もすることがなくなってしまった彼はこの炎天下でぼーっと時間をつぶしていた。
うしろでは噴水が涼しげな音を立てているけれど、太陽光線の直撃されているセフィロスには何の慰めにもならない。
朦朧とした意識のまま、彼はクラウドが来るであろう方向へと視線を向けた。
(・・・・・・クラウド)
あと1時間もすれば現れるはずの存在を想う。
この一週間、二人とも仕事の追われてまともに話したことがなかった。
あまりの忙しさに寂しいと思う暇もなかったが、久々にクラウドに会えることはセフィロスの心を躍らせていた。
それで、まだ1時間も前だというのに、ここに来てしまっている。
我ながらバカだな、とも思うのだが、クラウドと共にいて嬉しいことはどうしようもない事実だった。
そうして、どれくらいたったろうか。
ふと、眺めていた方向に見覚えのある影を見つけた。
近寄ろうと一歩を踏み出した途端、視界に黒い点が現れる。
アレッと目を押さえた瞬間、目の前が真っ暗になり、おもう間もなく前方へと倒れ
込んだ。
そのまま、セフィロスは気を失ってしまった。
「・・・・・・・・・セフィロス!!」
生き返るような涼しげな空気を感じて、セフィロスは目を覚ました。
目を開けると、見慣れたアイボリーの天井と何の変哲もない蛍光灯。
なぜか額においてあるタオルの冷たさを快く感じながら、セフィロスは自分の境遇について考え始めた。
(・・・確か・・・クラウドを待っていて・・・そうだ・・・クラウド・・・その前になんでオレがここにいるんだ?)
よく見ると、着ていたハズの仕官服が脱がされ、1枚のうすいシーツがかかっているだけだ。
自分でそうした記憶などないセフィロスは、眉根を寄せてしばらく考えこんだ。
答えはすぐに知れた。
「セフィロス、起きたのか?」
声のする方へと顔を向けると、やはり見覚えのある姿が視界に入った。
「あ・・・クラウド・・・?どうなってるんだ?」
自分の顔を見て小首を傾げるセフィロスに、クラウドはクスクスと笑った。
「あんた、あの時暑さにやられて倒れただろ?」
「えっ?・・・あ・・・そうだったな・・・」
そういえば、視界が真っ暗になってからの記憶が途切れている。
ならば、クラウドはわざわざ自分を部屋まで運んで来たのだろうか。
そこまで考えて、セフィロスは今さらながら羞恥心を覚えた。
「・・・わざわざ連れてきてくれたんだな・・・すまない」
「気にするなって。それより、なんであんなに早く来てたんだよ?」
「え・・・?」
クラウドの目がキラリと輝いた。
「もしかして、早く俺の会いたかった?」
「ばっ・・・ばかっ!!」
声を一段低めて囁くクラウドに、セフィロスは赤面しつつ声を荒げた。
クラウドはそんなセフィロスに再度笑いかけると、額にタオルを取り上げて彼の顔を覗き込んだ。
「具合は・・・大丈夫?」
一度捕らえられたら離さない碧の瞳を見つめて、静かに問いかける。
かすかにうなづいた彼の頭を撫でると、クラウドはサイドテーブルに置いてあったリモコンを操作してクーラーを消した。
ふところからなにやらクスリらしきものを取り出し口内に放り込む。
傍らの水入れからそれを含むと、クラウドはそのままセフィロスに口付けた。
「・・・ん・・・ぅう・・・っ」
喉を通る冷たい水の感触に、セフィロスは顔をしかめた。
クラウドを押しのけようとしたが、彼に顎を押さえられていてそれもままならない。
やっとクラウドがセフィロスを解放した時には、流し込まれたモノを全て嚥下してしまって
いた。
「……何を…」
「ん?媚薬だけど?」
「―――――っ!!」
少しも悪びれないクラウドの言葉に、セフィロスは絶句して口元を押さえた。
そうしている間に、さっきまでの涼しさはどこへやら、身体が熱く火照ってくる。
「…あ……クラウド……」
「だって、俺、あんたの乱れた姿見たいんだもん♪だから、看病したお礼、ってことで……」
そう言いながら、クラウドはセフィロスへと覆い被さり、開かれた胸元に手を這わせはじめた。
くすぐったいような甘い感触から逃れようと身を捩るが、クスリの効果か体に力が入らない。
それどころか、クラウドが触れてくる箇所から電流が走り、体の奥底から熱がせりあがってきた。
「やぁ…っ……あ…」
いつになく強い快感に、セフィロスは声を上げずにはいられない。
そんな彼を見つめながら、クラウドは着ていた服を脱ぎ捨て体勢を反転させた。
もはや、セフィロスは何の抵抗もせず、クラウドの為すがままになっている。
太股にあたる彼自身が既に熱を持ち、緩く勃ちあがっているのを感じ、クラウドはうすく笑った。
震える彼の背をたどり、閉ざされた彼のそこに触れると、悲鳴に似た彼の声が部屋中に響いた。
「…いやっ…だっ……クラウド…やめ…っ」
「嫌?…大丈夫、今すぐ嫌なんて言えないようにしてやるから」
耳元で甘く囁きながら指を一本挿入させ、緊張するそこをほぐすように動かした。
久々に感じる感触からか、それともクスリによる効果か。
彼の体はもはやセフィロスのものではなく、クラウドのものになっていた。
クラウドが彼に埋めていた指の数を増やすと、突き立てられた異物を奥へ導こうと、彼のそこが収縮を繰り返す。
「ほら、気持ちいいだろ?」
「ん…!だ、誰が気持ちよくなんか…あっ…!」
いきなり体の奥を貫かれ、セフィロスは背をのけぞらせた。
「こんなに指をくわえて、そんな声をあげて、それでも……嫌?」
クラウドは口の端だけで笑みをつくると、セフィロスの体を反転させ、腰を高くあげさせた。
獣のような屈辱的な格好に抗議するセフィロスの視線を無視して双丘をつかむと、露になった彼の裏筋を舐め上げた。
「やああぁっ!」
あまりの羞恥と快楽に、セフィロスはひときわ高い声を上げてクラウドの脚にしがみついた。
そのまま侵入しようとする舌を拒もうとしても、柔らかで熱い感触は体内へと入り込んでくる。
両腕で体を支えられないままへたり込んだような体勢が、クラウドの目の前によりはっきりとそこを晒した。
必要のなくなった片手で彼自身をまさぐり、より強い快楽でセフィロスを攻め立てる。
その強烈な感覚に羞恥心もなにもなくなってしまったセフィロスは、そのまま口元へ突きつけられているクラウド自身をくわえこんだ。
「…セフィロス…」
「ん…っううっ…」
セフィロスの口内で、クラウド自身がより熱を増し、セフィロスを犯している。
指を彼自身の根元に添え、夢中でそれを舐め上げるセフィロスに、クラウドは彼の頭を撫でて微笑んだ。
再び彼の秘部に舌を這わせ、壁の一つ一つに唾液を絡ませるように丹念にそこに刺激を与える。
粘液のはじける淫靡な音を響かせながら、クラウドはセフィロスの痴態を楽しんだ。
前も後ろも敏感なところを嬲られ、その上口まで塞がれている苦しさと快楽に、セフィロスの体は限界へと近づいてゆく。
「う…んっ…ク、クラウ…」
「もう……イきたい?」
セフィロスの顔を上げさせ、口の端からこぼれた体液を舐め取り、そのまま深く口付ける。
互いの舌を絡め合い、激しく互いをむさぼりながら、クラウドは手元に包み込んだ彼のそれを激しく擦り上げた。
「……んう…っ!」
セフィロスは体をのけぞらせ、全身を痙攣させてクラウドの手のなかに精を放った。
荒い息が熱気の増した部屋中に響き渡る。
力が抜けてぐったりとなったセフィロスに見せつけるように手についたそれを舐めとると、クラウドはニヤリと笑った。
「ほら、嫌じゃないだろ?」
嬉々として語りかけるクラウドに、もはや返す言葉もない。
体内の暑い奔流を解放したものの、クスリの為かまだ体をひくつかせるセフィロスは、すがるように手を伸ばした。
「あぁ・・・クラウド・・・暑い・・・」
自分に伸ばされたセフィロスの白い腕を絡めとると、クラウドは彼の瞳を覗き込んだ。
その潤んだ碧の宝石は、まっすぐに自分を見つめ返し、その呪縛に捕われる。
上気したバラ色の頬に優しく口付けを落とすと、セフィロスの足を抱え上げた。
「・・・クラウド・・・」
「セフィロス・・・俺を見て・・・」
クラウドが中へと侵入すると、セフィロスのそこが異物を強く締め付けた。
自身に絡みつく熱い肉襞が与える快感に、クラウドもまたそこを擦り上げ、より一層の快楽をセフィロスに与える。
耳元にかかるセフィロスの吐息を感じて、クラウドは微笑んだ。
「あんた・・・いつもよりずっとイイよ・・・もっと俺を感じて・・・」
「はあ・・・っあっ!」
その言葉に呼応するように、セフィロスもクラウドをより深く感じようと腰を動かす。
クラウドが奥を突く度に、セフィロスの全身が震えた。
2人の腹でセフィロスのそれが擦られ、溢れる体液は互いの腹を濡らしていた。
「も・・・っクラウド・・・!」
「セフィロス・・・・・・」
セフィロスの限界を感じて、クラウドの動きが激しさを増す。
互いの熱い想いを感じながら、2人は同時に頂点へと上り詰めた。
「・・・クラウド・・・・・・」
けだるげなセフィロスの声がクラウドを呼んだ。
「ん?」
「大丈夫・・・だろうな」
「なにがだ?」
不思議そうに自分を覗き込んでくるクラウドにセフィロスは顔を赤らめて言った。
「・・・そ、その・・・後遺症・・・」
「後遺症?」
なおもきょとんとしたまま首を傾げるクラウドに、セフィロスは声を荒げた。
「だから・・・!お前オレにクスリ飲ませたんろう?!」
「・・・あぁ。アレか。」
途端、クラウドは真っ赤になるセフィロスを見てクスクスと笑い始めた。
セフィロスが怪訝そうな目を向けるとそれでは足らずに腹を抱えて笑い転げている。
「な・・・何がおかしい!」
より一層顔が熱くなるのを感じながら、セフィロスはクラウドに言った。
「だって・・・(笑)いや、心配するなよ。大丈夫だからさ。」
あまりにも楽観的な発言に、セフィロスは無言でクラウドを睨んだ。
「だって、あんたに飲ませたの、これだもん。」
「・・・?」
「これ、ただのビタミン剤。」
「―――――っ!!!」
それを聞いた途端、更に真っ赤になったセフィロスはグーでパンチしたのだった。
夏真っ盛りのその日。
セフィロスの部屋では、明るい笑い声が絶えることがなかった。