クラウドの受難、セフィロスの受難。その5
突然の雨ほど、嫌なものはない。
特に、天気予報で「晴れ」と言っていた日には。
「あー・・・雨降って来たなー・・・」
車のハンドルを握りながら、クラウドはけだるそうに呟いた。
今日はセフィロスと二人でお買い物〜♪に来たのだが、勿論、傘の用意をしてきたわけではない。
「・・・仕方ないだろう。車に常備してある傘を使うしかないな」
「うん♪」
いやに明るいクラウドの声に、セフィロスは怪訝そうな顔をした。
「・・・何が嬉しい」
「いやー、あんたと相合傘だなっ、てさv」
にこにこと運転の合間に笑いかけられ、セフィロスはため息をついたのだった。
・・・ということで、相合傘である。
傘が結構大きかったので、ちょっと窮屈だが大の男2人が入ることは入った。・・・のだが。
「・・・クラウド、変わろうか?」
ふるふると震えるクラウドの腕を見兼ねて、セフィロスは申し出た。
当然だ。
当然、セフィロスの方が背が高い。
必然的に、セフィロスが入るようにすれば、クラウドは片手で結構高く上げていなければならなくなる。
それに、ほどよくセフィロス寄りにバランスをとらなくてはならない。
しかも長時間となると、わかる人にはわかるだろうが、相当につらい。
・・・のだが。
「いいの!!こーゆーのは夫の務めなんだから!あんたは俺に任せていればいいんだよ」
強がるクラウドに、セフィロスはやれやれとため息をついた。
全く、子供なんだから・・・・・・。
「いい。どうせオレの方が背が高い。お前ほど大変じゃない」
と、ひょいと手から取り上げた。
「あーっ!!返せよセフィロスっ!!」
大声を上げて取り返そうとするクラウド。
もう本当に子供である。
で、その後取り合いを続けて、いい加減雨に濡れた頃。
ガツッ!!
「あ」
クラウドが無理矢理引ったくった傘は、セフィロスの額に直撃した。
「ご、ごめんっ・・・セフィ・・・」
「・・・あやまるなら、傘。・・・オレに持たせろ・・・」
そんなことで、結局、軍配はセフィロスに上がったのだった。