クラウドの受難、セフィロスの受難。その8



「・・・俺、今夜行かなきゃいけない所があるんだ」

唐突に言われた言葉に、セフィロスは密かに動揺した。

最近は、休みの日というといつもクラウドが部屋に来ていたから。

「あ・・・別にかまわないが」

内心の落旦を押し隠して、久しぶりにお前がいなくてゆっくりできるな、とか心にもないことを言う。

クラウドはセフィロスに目を合わせたくないかのように視線をはずした。

「大切な人が・・・いるんだ。今日はその人の大切な日だから・・・ごめん」

言うだけ言うと、セフィロスに背を向けて立ち去る。

「あ・・・」

思わず伸ばした腕が宙を切った。

既に小さくなったクラウドの背に、セフィロスは小さく告げる。

「・・・オレも、今日誕生日だったんだけどな」





そうして、夜。

セフィロスは予定もなく一人でぼーっとしていた。

自室に備え付けのTVを見ているのだが、全くもってつまらない。

しかも次々と浮かんでくるクラウドの姿を、一人で首を振ったり腕を払ったりして消そうとする。

まるで一人漫才。

しかも、クラウドの言っていた『大切な人』ってのがムチャクチャ気になってきた。

クラウドにとって自分は特別な存在だと思っていたのに、クラウドは他にもそんな存在がいるのだろうか。

(何・・・オレ・・・しっと、してるのか?)

自分の・・・まぁ覚えてるかわからないが誕生日に、それより大切な日があるー。

考えたら、なんだか泣けてきた。

しかも、慣れたカラダがクラウドを求めて熱くなる。

「いやだ・・・っクラウド・・・っ!」

思わず叫んでしまった。

うわ、情けない。

一人で後ろを向いて目をごしごしとこすって、バカだな・・・と苦笑する。

で、TVの方に向き直ると。



「ほんと、セフィってかわいーよなー」



「!!!!!」

声と、一杯の花と、クラウドと。

予想だにしない状況とあまりの羞恥に、セフィロスは思考が停止した。

「はいっ。誕生日おめでとー。って・・・セフィ!セフィロスっ!!大丈夫か〜!!」











えれが様に捧げます。こんなもの捧げられても困るとか言わないでください(汗)

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