クラウドの受難、セフィロスの受難。その9
タ食後の静かなひととき。
セフィロスは、真剣な顔つきで、テーブルの上のチェス盤を見ていた。
長く美しい指を伸ばし、すっと優雅に駒を動かす。
それを見て、クラウドは口の端を持ち上げた。
「いいの?じゃあ・・・・・・」
クラウドが手持ちのビショップを動かす。斜めにしか動けない、けれど結構厄介な駒だ。
セフィロスが駒を動かしたことで障害物のなくなったそれは、軽々とセフィロスの陣へと入り込み、ナイト―馬の頭を形どった駒だ―を取ってしまった。
「うあ!!・・・・・・待った。」
「なんだよ、待ったナシだろ?!常識だぜ」
よほどナイトを取られたのが嫌だったのか、無理矢理2手前に戻そうとする。
けれど、クラウドも必死だ。何としてもその駒が取りたかったのだから。
彼らが目的としているのは、どうやらチェス本来の、キングを取ることではないようだった。
「何やってんだよ。騒ぎが外にまで洩れてるぜ」
ぎゃあぎゃあと言い合っていた2人は、同時に部屋に入ってきた男を見た。
「・・・あぁ、ザックス」
暇だから飲もうと思って持ってきたワイン瓶をテーブルに置いて、2人の間のチェス盤を覗き込む。
「へぇ。クラウドの方優勢じゃん。セフィって、現実の戦略とかはカンペキなのに、テーブル上じゃからっきしだよなぁ」
「うるさい」
ぷいと横を向く。かすかに朱をはいた頬が可愛らしい(笑)。
「それよか、俺も混ぜろよー」
「・・・どーやって3人でやるというんだっ!!」
「こーやって♪」
そういうと、ザックスは黒いほうの駒を動かした。クラウド側の駒だ。チェス駒の中でも最強を誇るそれは、見事にキングとルーク(まっすぐにしか進めない駒だ)を狙い打ちしていた。
「チェック・メイト、だな」
クラウドがにやにやと笑う。本当はキングが逃げられるから『詰み』ではないのだが、セフィロスにとって、ルークとナイトが取られれば運命は決まったも同然だ。
セフィロスは青ざめた。
「・・・本っっ当にやるのか?」
「当然!往生際が悪いぜ、セフィロス」
ガシリ、とクラウドが腕を掴む。
「なに、そーゆーコトなの」
ザックスがにやにやと笑うクラウドを見た。
「あったりめぇじゃん。賭けるモンなくって誰がテーブルゲームなんかやるんだよ」
そりゃ、単におもしろいからやる人だっているってば、クラウド(苦笑)
ザックスはふーん、とだけ言うと、彼もまたセフィロスの手をとった。
「な?!ザ、ザックスー?!!」
「だって、俺、ルーク取ったじゃん」
ルーク。その意味するものは何なのか。
「やめろ・・・!!」
2人にベッドへと引きずられながら、セフィロスは必死に逃げようともがいた。
けれど、あっけなくベッドに転がされ、クラウドが後ろからセフィロスを押さえ込む。
「『ルーク』だけだからな」
「わーってるって♪」
意味深な会話の後、2人の手がセフィロスの前を開かせる。
そのまま、ザックスがセフィロスの中へと入ってきた。
一気に自身を埋め込んでいく。さながら、前に突き進む『ルーク』のように。
「・・・いぎゃあああああっ!!」
慣らさないまま進められたそこは、お約束、というか当然のごとく悲鳴を上げたのだった。
ちなみに、散々ザックスに攻められた後、今度は『ナイト』を取られたクラウドに騎乗位で奉仕させられたことは・・・言うまでもない。