05:駄目な大人



本当に、世話の焼けるお人だとつくづく。
駄目な、大人。
本当に大人なのか、今度面と向かって聞いてみようと思う。
なにせ、一人じゃなにもできないときたもんだ。

「レイ、これはどうすればいい?」
「レイ、今日は何を着ていけばいいだろうか?」
「レイ、すまない、あれを壊してしまって」

レイ、レイ、レイ、レイ。
いつまで経っても、彼の、自分の名を呼ぶ声は止まらない。
おかげで、今じゃ名前を聞くだけでびくびくするよ。
今度はなんだ、と背筋が寒くなることも多々。
なぁ、ギル?もっと大人になって。
だって、ねぇ?
俺は、今はまだ、あなたの傍にいられるけど。
あなたの世話をやっていられるけど。
・・・ほら。
俺は、ずっとあなたの傍に、居られるわけじゃないのだし。
俺がいなくなったら、どうするの?
後追い自殺なんかするつもりはないんだろ?なら、一人で生きられないと。

ギル、ギル、ギル、ギル。
俺の言葉は、あなたを気遣うことばかり。
あなたの言葉は、俺を求めることばかり。
まぁ、いいけどね。
そのおかげで、俺も気兼ねなく、あなたの名を呼べるから。

「ギル。」

あいしてる。
でも、もうすこしだけ、大人になって、ね。










[レイギル好きに10のお題] by 吟遊ウルフ 様
Update:2005/09/25/WED by BLUE

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