アカデミー進級試験 Side-B 02



「レイ、今回の試験の結果はいつわかるんだい?」

ゆったりとした夕食の時間、唐突に出てきたそんな話題に、レイはぎくりと顔を硬直させた。
あまり考えたくないそれに、レイははぐらかすように手元の白ワインを煽る。
ちなみに、テーブルに並ぶ料理の中で片面が明らかに炭化しているモノは、ギルバートの作品だ。

「・・・・・・さぁ。ギルには関係ないだろう。来ても見せないぞ」
「そりゃあ、君のことを信じてはいるがね。だが、今回は進級に関わるし、少しは保護者らしい所を見せないといけないだろう?」

そんなことをのほほんとした口調で言われて、少年は脱力してしまう。
どうしてこういう運の悪いときに限って、自分の成績など気にかけるのか。
普段からアカデミーのことに関してはほとんど口を出さない彼だというのに、困ったものだ。

「・・・保護者って・・・。もう俺は15を過ぎたんだぞ。立派に成人だ。心配されても困る」
「それでも、未来のエース君の成績ぐらい、気になるだろう?」

ギルバートのからかうようなその言葉に、レイはカチンと来たらしい。
がたり、と席を立つとギルバートから背を向けた。

「ならない!!・・・・・・明日から、授業あるから。もう行くぞっ!!」

これ以上、彼を相手にしていたら正直身が持たない。
ギルバートの質問攻めから逃れるように部屋へ戻ったレイは、
ばたりと乱暴に閉めたドアに背を凭れて、はぁ・・・とため息をついた。

ポケットを探れば"あの"アカデミー進級試験の成績表。
実は、まさに今日、試験の成績発表だったのだ。
だがしかし、手の中のそれをしばし眺めて、レイは1人、盛大なため息をつく。
いつものレイならば、ギルバートに見せたとて何の問題もないはずなのだが、
今回ばかりは事情が違った。
おそるおそるその紙を開いてみる。いつも通りの満点に近い点数が並ぶ中、悪夢のような点数が1つ。

「・・・さすがに・・・これを見せたら何か言われるに決まってる・・・」

レイはその恐ろしい点数に再度ため息をついた。
賢い彼が、しかも及第点すら取れなかった科目とは、あの「MS工学」である。
本来ならば得意科目の部類に入る科目というのに、不名誉にもあれほどの悪成績を記録してしまった理由は、
もちろん彼自身にはわかっている。
元凶は、小論文だ。
MS工学の試験問題は、半分が知識と理論計算、半分が理論に基づく小論文で成り立っている。
前日の例の行為のせいで多少不安はあったものの、レイは前半については順調だった。
だが、問題は後半である。
緻密な論理構成を要求される小論文の科目だが、あのときの彼の寝不足の頭では、深い考察などできるはずもなく、今回レイは結局、自身が独自にノートでまとめておいた無難な内容の考察を、小論文としてほとんどそのまま提出してしまっていたのだ。

(・・・情けないな・・・いや、俺のせいではないが・・・はぁ・・・)

再び、少年は深く息を吐いた。
まったく、自分は何をやっているのだろう。
同じノートを見て勉強している人間がいるのだ、ノートの通りに書けば内容が似通って当然だ。
だというのに、寝惚けた頭で、全くそんなことにも思い当たらず、
思いっ切りノートの写しのような内容を書いてしまった。おかげで、カンニングしたと思われてこの始末。
もちろん、悪いのは自分ではない。責めようと思えば、責められる立場にはあるのだが、
カンニングの弁明など、下手をしたら更に疑われてしまう。
そうなれば、ギルバートにも話すハメになったり、印象が悪くなったりとそれこそ悪夢だ。
そういう意味では、事を公にせず、3人共に補習、追試で済ませてくれているのだ、教官たちには感謝すべきだろう。
だが、多大なとばっちりを受けたのは事実だ。
少し考えればおそらく回避できた状況だったというのに、我ながら情けない。
レイは成績表を机の奥にしまい込むと、大きく深呼吸した。
今度こそ最高点を取ってみせる。このままでいられるものか。
ぐっと拳を握り締め、レイは決意新たに机に向かった。―――と。

「なにかあったのかい?」
「・・・わっ―――!!!」

深刻に考え事をしていた少年の上から、唐突な声が降って来て、
レイは文字通り飛び上がった。
気付かぬうちに、ギルバートが部屋へと入り、椅子に座るレイを上から覗き込んできていた。
なんだか先ほどから情けないことばかりしている気がする。周囲が見えていない自分に、レイはため息をついた。

「・・・っギル!!いきなり入ってくるなとあれほど言っただろう!!」
「だがね・・・。いきなり引っ込まれたら、気になるよ、やはり」
「〜〜〜〜〜〜っ」

レイは睨みつけたが、対するギルバートは純粋に心配しているような色を瞳に浮かべている。
少年は少し考えて、仕方なく表情を緩めた。
下手に噛み付いて、変に思われるよりはマシだと思ったのだ。

「全く・・・。試験結果は13日。あと5日後だ」
「そうか・・・。心配ないとは思うが、無事受かっていればいいね」
「当たり前だ。俺がギルを落胆させるはずがないだろう」
「・・・レイ」

少年はギルバートの首に腕を回すと、そのまま背伸びして彼の唇に触れた。

「んっ・・・」

深く舌を絡ませると、ギルバートは切なげに眉を顰め、瞳を閉じた。
レイは内心、ほっとしていた。このまま流してしまえば、事実を暴かれずにすみそうだ。
あくまで本心を悟られないように、優しく彼を抱き締め、そうして背後の壁に押し付ける。
甘く舌を噛みながら、するりと腰に腕を回すと、
ひくりと彼の身体がひくつき、感じていることを少年に訴えてきた。
レイは笑みを浮かべた。
服の上から彼自身に手を伸ばし、爪先で引っかくように刺激を与える。

「・・・あ、・・・っ」

たったそれだけの刺激にすら、思わず声を漏らしてしまうギルバートに、
少年もまた自分の中の欲を自覚した。
立ったままの行為は少々不安なのか、ギルバートの瞳が揺れる。
けれど、レイはキレイな顔に人を騙すような美しい笑みを浮かべて、
彼の白い首筋に唇を寄せ、ベルトを外し、その部分を手に捕らえた。

「あっ・・・レイ・・・、待っ・・・!」
「待てない」

熱っぽい声音が耳に吹き込まれ、ギルバートは腰の奥が疼くのを止められない。
少年は目の前の形のよい耳殻を舌でなぞるように丁寧に舐めてやる。
くすぐったさに身を竦める青年は、己を抱く少年の胸を押し返そうと手を突っぱねた。
こんな、不安定な体制で抱かれるのが嫌だった。

「・・・っ、こんな、ところで・・・!」
「じゃあ、どこがいいんだ?」
「・・・・・・っ、せ、せめて、ベッドで・・・っ!!」

なかなか可愛いことを言うギルバートにレイは声を上げて笑った。
羞恥に青年の頬がバラ色に染まる。
どうやら、今更ながら恥ずかしいことを訴えてしまったことが悔やまれるようだ。

「わかった。じゃあ、2ラウンド目はベッドでな」
「・・・っ、あっ、やだ・・・っ」

いやだ、と身を捩ろうとする青年を押さえつけて、レイは彼のボトムをずり下げた。
いきなりその部分を外気に晒され、ギルバートはひくりと震えるが、
少年の手に包み込まれ、激しく擦り上げられる。
すぐに先端の割れ目から蜜を零す青年に、レイは満足げに口の端を持ち上げた。
乱れた襟元から、彼の前を肌蹴させ、唇を這わせる。
胸にある敏感なその部分を舌で絡めて、歯を立てると、ギルバートはその刺激に身体を戦慄かせた。
痛いような快感がその部分から下肢へと流れていくようだ。
ぐっと熱くなった手の中の彼の雄を感じながら、レイはうっとりと青年を見上げる。

「ギル・・・」
「あ・・・、レイっ・・・!」

くちゅくちゅと音を立てて砲身を弄ぶ少年の手を外そうと、
ギルバートの手が動いた。だが、その力は弱々しく、少年の動きは増す一方だ。
均整のとれた胸元を舌で丁寧に舐め上げ、浮き出た鎖骨を辿り、そうして肩口を舐めてやる。
震える身体は、それ以上抵抗できずに、少年のなすがままになっていた。
頭の上から、甘い吐息が洩れ聞こえてくる。
瞳を閉じて喘ぐギルバートは、相変わらずひどく魅惑的で、悩殺的だった。

「んっ・・・、あ、も・・・、っ」

ぞくり、と背筋を走る快感に、ギルバートは恐怖した。
幾度も訪れる波に、押し流されてしまいそうだ。
それに耐えようとして、ぎゅっと唇を噛み締めるのだが、下肢を捕らえた少年は、
その努力を無にするように、熱を煽ってくる。
自身の限界を目の前に感じて、ギルバートはレイに縋りついた。

「レイ・・・っ」
「・・・ギル。・・・好きだ。愛してる」
「っあ・・・」

その言葉を聞いた瞬間、ギルバートの胸の奥がひどく疼き、
同時に激しい解放への衝動が彼の内部を襲った。
熱の奔流に耐え切れず、ギルバートは断続的に声をあげつつ精を吐き出す。
少年の一糸乱れぬ衣服が、彼の白濁に汚れたが、少年は気にしない。
精を放ったそれを、レイはなおもぐちゅぐちゅと擦り続けた。強い刺激に耐え切れず、ギルバートは身を捩る。
ぐったりと脱力した身体が、壁を伝ってずり落ちていくのを、レイは腕で支えた。

「・・・・・・っ、はぁ・・・」
「・・・ベッドに、行く?」

耳元で囁かれ、ギルバートはしばし快楽の余韻と共に思考を揺らした。
その時、遠くで風呂が沸いたことを告げる電子音が鳴り、ギルバートの耳を微かに打った。
そういえば風呂を沸かしていたことを思い出す。
行為のせいか、身体がベタついて嫌だった。それに、夜に抱かれるのはいつものことだ。先に入ってきたほうがいいだろう。

「風呂・・・」
「ん?」
「行ってくるよ・・・先に」

弱々しくそういうギルバートに、レイは笑った。
とりあえずは、懐柔成功だ。このまま、今夜は心置きなく自分に身も心も預けてくれるだろう。

「ああ。・・・じゃあ、その後で。」
「っ・・・」

少年の言葉に、ギルバートは再び頬を羞恥に染めたのだった。















翌朝、ザフトの軍事アカデミーでは、
シンとルナマリアのとばっちりを受けたレイがクラスメイト達と共に補習を受けていた。
正直、実力のなさからテストに落ちたわけではないだけに、聞いたことのある内容ばかりを聞かされ、
さすがのレイも辟易する。
ふらりと窓の外を見ては、その方角にあるはずのギルバートの所属する研究所を眺めていた。
もちろん、今度の試験こそは、誰にも恥じない成績を取るつもりだ。
本当は、再試の結果は、最高でも本試験での及第点しかもらえないため、学年トップを目指すレイには大打撃である。
けれど、今度こそしっかりとした成績を残せば、万が一ギルバートにバレたとしても、
愚痴を叩くだけですむ。
そのためにも、自分の本当の実力を示す、きっちりとした点数を取らなければ。
鐘がなり、今日の補習が終了した。
今回のMS工学は、全体的に難しかったらしい。
結構な数の学生達が、補習を受けている。

「あーーあーー・・・。面倒臭い。面倒過ぎる!!なんでこんな、おんなじ内容のこと聞かされなけりゃならないんだよ〜〜」

唐突に隣から喚き声が聞こえてきて、レイはそちらに目をやった。
机につっぷしているシンである。
一番補習を受けなければならない奴が何を言ってる、とはレイの内心の言葉だ。

「仕方ないでしょ〜?そもそも、私達のほうが言いたいわよ、その台詞!」
「ルナは違うだろ。ったく、元はと言えばルナが・・・」
「何よ。私が悪いっていいたいわけ?」

また始まった、とレイはぼやいた。
補習が続くここ最近、シンがこのような愚痴を言わなかったことはなく、
相変わらずシンとルナマリアは喧嘩じみた言葉を交わしていた。
だがもちろん、お互い自分たちが勉強しなかったことが一番悪いとわかっているため、堂々巡りではあるのだが。
そうでもしないと、やってられないほど、補習はつまらなかった。
さっさと試験をやって、早く終わらせてしまいたい。

「ああ、もう!だれもあてにしない!ちくしょう、見てろ。一番になってやる!負けるもんかぁ!」

シンはいきなり立ち上がると、1人で気合を入れるように拳を握り締めて天に向かって叫んだ。
ばたばたと教室を出る。どうやらさすがに、真面目に勉強する気になったようだ。
必死の形相だった彼の顔を思い浮かべて、レイはくすりと笑った。

「ふっ…。うかうかしてると、次の試験で抜かされるぞ、ルナマリア。」
「ええ〜、シンに?」

まさか、と肩を竦めるルナマリアに、レイは苦笑する。
見た目ではわからないシンの実力だが、実技では相当の成績を上げているのだ。
才能はある。ただ、机に向かう、記憶する、類の内容が嫌いなだけだ。
それをわかっているレイは、なおもシンを擁護する言葉を紡いだ。

「あいつに足りなかったのはやる気だ。本気になったあいつは、きっとすごいぞ。」
「まっさかぁ。」
「俺だって、しっかり勉強しないと、追い越される。」
「ええ!?そんなわけないじゃん。」

ルナマリアは絶対ないない、と手を振って否定したが、
レイはシンの本当の実力を考えて、改めて自分もまた、真面目にやろうと決意を新たにしていた。
もちろん、ギルバートに胸を張って言える成績を取るためだ。
シンになど負けてはいられない。
クラスメイトたちの後に続いて教室を出ながら、レイは頭の中で、覚えたことを整理し始めた。










「アカデミーへの視察・・・、ですか?」
「ええ。我々はぜひとも、遺伝子工学の権威でいらっしゃる博士に、未来の国防を担う学生たちと、その教育設備を見ていただきたいのです」

その頃、現国防委員長であるヘルマン・グールドとの懇談をしていたギルバートは、
彼の言葉に目を見開いた。
ギルバートは評議会のメンバーではないが、その立場から彼らと接することが多く、
特に司法や国防の面では、遺伝子操作技術やその解析が必要とされる場面もあるため付き合いが多い。
だが、それはあくまで頼まれごとを研究室レベルで行うものだ。
視察など、所詮はただの研究員がするようなものではないと思うのだが。

「ですが・・・、私は、ただの研究員ですし」
「いえいえ、デュランダル博士はプラントが誇る、素晴らしい科学者です。・・・近々、議員選出馬のご予定があると聞きましたが・・・?」
「・・・いえ・・・、私など、そんな」

それは事実である。
次回の議員選で、ギルバートは親交の深い穏健派の後押しを受け、評議会議員の道を選ぶつもりだった。
だが、今はまだ公の話ではなく、もちろん頷くわけにもいかない。
ヘルマンは謙虚なギルバートの言葉にハッハッと笑うと、目の前にアカデミーの資料を広げた。
有無を言わさず、視察内容の話をしようというのである。
ギルバートは内心押しの強いヘルマンにため息をつき、
そのままテーブルの上の資料を眺めた。
ザフトの軍事アカデミーには、自分が身元を引き受けているレイが通っている学校だ。
それを考えると、
本当はなかなか楽しい仕事である。
運がよければ、授業参観宜しく彼の学校姿を眺められるではないか。
そう考えて、ギルバートは少しだけ口の端を緩めた。
もちろん、それはヘルマンには視察の承諾、と受け止められたのだが。

「・・・いや、今年の入学生は、実に優秀でしてね。博士は、彼らのデータをご覧になったことは・・・?」
「ああ、ええ。目を通したことはありますが」
「彼らの教育に関しては、我々もなかなか難しく、困っているのです。特に、学年トップを誇る少年など、我々教員よりもはるかに勝った思考回路の持ち主でね」
「そうですか。・・・それは、素晴らしいことだ」

彼の指している少年が、レイのことだと思い当たり、
ギルバートは無意識に暖かな表情を浮かべた。
子供の保護者が、自分の子のことを褒められて喜ばない者はいない。
ギルバートは続きを話しているヘルマンにうわの空で相槌を打ちつつ、レイを想った。
今は、アカデミーで授業を受けているだろうか?
彼のことだ、授業中にこうして、自分のように窓の外をぼんやりと眺めていることなんてしていないだろうが・・・
空が綺麗だった。彼の瞳の色と同じように。

「・・・そういうわけで、彼らの視察と、その彼らを伸ばすに当たって何かアドバイスをいただければ・・・と思うのです。いかがですかな?」
「あ・・・ええ、わかりました。・・・それで、いつ視察に向かえばよろしいでしょう?」
「いえいえ、こちらからお願いしているのですから、博士のご都合に合わせていただいて結構ですよ」
「そうですか・・・」

ギルバートは手元のカレンダーを見やった。
ここ最近は予定が詰まっていないし、運が良ければ少年を見かけられるかもしれない。
と―――、ふと、少年が13日が成績発表だ、と言っていたことを思い出す。
その日にいけば、視察と称して彼の成績も覗けるのではないだろうか。
ギルバートは内心ほくそ笑んだ。
結局昨晩は、いいように彼にはぐらかされ、翻弄されてしまった。
そんな自分を、ギルバートは多少情けなくも思うのだが、
その時は決まって散々愛された後の朝だったり、彼が傍にいなかったりであまりまともな文句を言える状態ではなかったのだ。
今回もまた、どうも少年の痛い部分を突いてしまったらしい自分は、彼に流されてしまった。
だが、いい年した大人が、15も年下の少年にいいようにしてやられていいはずもない。
たまには、自分が彼を驚かせてやらねば不公平だ。

「―――13日は、どうでしょう?」
「13日ですか。ええ、構いませんよ。丁度、彼らは再試験の日でもありますが―――、問題ありません」
「再試験・・・ですか?」

ギルバートはえっ、という顔をした。
レイから聞いていたのは、成績発表の日のはずだ。なのに追試とはどういうことだろう。

「ええ。先日、アカデミーの進級試験が終わりましてね。今は、その補講期間でして、13日に再試なのです」
「補講・・・ですか・・・」

ギルバートはしばし考え込んでしまった。
レイは確か、まだ授業があると言って今日もアカデミーに行っていたのではなかったか。
だというのに、ヘルマンによると、今は「補講期間」だと言う。
ということは、レイもまた、補講を受けるハメになってしまった・・・としか考えられない。
そこまで考えて、ギルバートはやっと昨晩のレイの態度に思い当たった。
彼はおそらく、己が試験で失敗してしまったことを、自分に言いたくなかったのだ。
あれほど、自分に尽くすと言ってくれる彼。
そんな彼にとって、成績が悪いということは、自分を落胆させる、とでも思っているのだろう。

(・・・ふふ・・・レイだって、可愛いところがあるな)

子供が自分の成績を頑なに隠すような、そんなレイの態度に、
ギルバートはくすりと笑った。
ここは、こっそりと、彼の再試験の様子を覗いてやろうではないか。

「・・・デュランダル博士?」
「え?・・・ああ、ええ。何でもありません。それでは、13日で」
「はい、わかりました。・・・お待ちしております、デュランダル博士。」

ヘルマンとギルバートは、互いにしっかりと握手を交わした。

あと4日。
運命の時は、すぐそこに迫っていた・・・。





...to be continued.





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Update:2005/07/08/FRI by BLUE

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