10:好き



好きって、安易だよね。
アイシテル、ってのも、陳腐な言葉。
でも、俺にはそれしか見つからないから、
何度でも口にする。好き。大好き。
俺の世界で、一番うつくしいイキモノ。あなたがいるから、
俺はここにいられるんだ。
大好きなあなたのためならば、俺は悪にもなろう。

「・・・レイ」
「はい」

手を伸ばされ、素直にその手を取った。
あなたの腕の中は、幼いときから変わらない。
暖かくて、安心できて、そして幸せ。

でも今はもう、俺は。
そう遠くない未来、あなたの手を離さねばならない。

仕方がないよね。
それが、俺の“運命”。

どうすれば、あなたに“俺”を刻めるだろう?
俺があなたを愛していた、その証は?
死ぬのはいいけど、それだけは切望する。

だから、俺は。
最高の贈り物を、あなたにあげよう。
最期に、たったひとつだけ。
あなたがそれを見れば、俺を感じられるように。

好きだよ、ギル。
二十年も満たない、短い時間だったけど。
ダイスキ。そして、

ありがとう。









[レイギル好きに10のお題] by 吟遊ウルフ 様
Update:2005/09/25/WED by BLUE

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