06:15cm



「たった、これだけなのに」

手を大きく開けば、親指の先と小指の先が、丁度15cmになった。
なんだか、たったこれだけの差が、ギルと自分の差だと思うと、
なんとなく癪に障る。
たったこれだけのくせに、
つま先を立てて、背伸びして、さらに
彼が背を屈めてくれないとキスができない悲しさ。
少しでも大きくなりたくて、彼の首に手を回すけど、
高い。なんか、すごく高いんだよね。
届かない、わけじゃないんだけど・・・。
ああ、もうちょっと伸びたいなぁ。
ラウはギルと同じ背だったし、遺伝子的に素質はあるんだよね。
ラウが亡くなる前に、
いつ頃からあの身長だったのか聞いておけばよかった。
あーあ、大きくなりたいな。

「可愛いから、いいじゃないか?」

あなたは、そういうけどね。
やっぱり、はやくあなたに追いつきたいよ。
追いついて、あなたを守れるくらいになりたい。
そう、ラウみたいにあなたをお姫様抱っこできればカンペキなんだけど。
無理、かなぁ。
俺の命、あと15cm伸びるまでもつかなぁ?

「・・・レイ」

そのときギルは、痛ましい顔をした。
ああ、ごめん、ギル。泣かせるつもりじゃなかったんだ。
俺は、ただ。

「大好き」

貴方の耳元で、囁けるようになれればと、ね。










[レイギル好きに10のお題] by 吟遊ウルフ 様
Update:2005/09/25/WED by BLUE

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