LOVELESS DREAMS



いつからかなんてわからない。
気付けば、目を奪われていた。その"完璧"な手際や手法、非の打ち所のない理論的な発言に。
弱冠12歳で研究室へ配属されてきたという少年は、
その理知的な青の瞳で、自分をまっすぐに見つめてきたのを覚えている。
たった1年。年代すら全く違うその少年と共に過ごした日々は、たったそれだけしかないというのに、
今になってふとした時に思い出してしまうのはなぜなのか。

彼は今、どこで、何をしているのだろう。

風の噂で工学系の研究所に行ったと聞いたことがあるが、本当の所はわからない。
音信不通になって既に2年が経つ。ただの同僚といえばそれまでだけれど。

―――会いたい。

窓の外、彼の瞳の色に似た深い色の空を見ながら、
ギルバートは漠然とそう思う。
深い意味などなかった。会って、そして、
またあの時のように隣で、たわいのないやりとりをしたかった。
ただ、それだけ。


「・・・クルーゼ・・・」


彼の呟きは、ただ風の音に溶けていった。














LOVELESS DREAMS













「・・・おい、また出たんだってよ」
「ええー?!コワイー!」
「ハリスが昨晩見たらしいぜ。こう・・・密室に明かりがついてて・・・」
「中から人のものともつかぬ呻き声が!!」
「ヤダー!!信じられない!!」

廊下を歩きながら、同僚達の間ではその話題で持ち切りだった。
研究都市フェブラリウスの中でも、プラント開発当初から存在する歴史ある理化学研究所。
ギルバートの所属するそこでは、最近幽霊が出る、と噂が立っていた。
何でも、今年できたばかりの新棟ではなく、旧棟にふらりとそれは現れるらしい。
しかし、そんな非科学的な現象に、しかもプラントの未来を担う研究者達が騒いでいる、とはなかなか滑稽だ。

「で、そのユーレイ、ハリスは見たって?」
「幽霊がヒトの目に見えるハズないでしょ。覗いてみたら、勝手に機械が動き出した、って話よ」
「ちぇ。実際見てないんじゃ、信憑性薄いよなぁ・・・」
「ね、ギルバートは?どう思う?」
「え・・・」

突然話題を振られて、ギルバートは慌てて声をかけられた方を向いた。
窓の外を見ながら、ボーっとしていた自分に、追い討ちをかけるように仲間たちが声をかけてくる。

「お前って全然信じなさそうだよな、そういうの」
「・・・さぁ・・・私にはわからないよ」

信じるとか信じないの問題以前に、あまり超常現象などに興味のないギルバートは、
戸惑ったようにそう返す。
反応の薄い彼に、もう1人が口を挟んできた。

「そういやお前、今日深夜勤申請出してなかった?」
「あ、ああ・・・まぁ」
「ええーっ?じゃあ、今度はギルがユーレイに会えるカモ?」

年若い女性が向けてくるキラキラとしたまなざしに、ギルバートは戸惑った。
まさか・・・と返そうとして、またしても口を挟まれる。

「そりゃいい。おいギルバート。カメラ持って撮って来てくれよ」
「・・・・・・そう言われてもなぁ・・・」

ギルバートは、同僚達の反応に再度ため息をついた。
そもそも、それほどユーレイを見たいのなら自分でやればいいのに、と思うのだが、
実際夜にわざわざ暗く沈んだような空気の旧棟に入りたい者などいないらしい。
こちらとて、好きで深夜までやっているわけではないのだ。できることなら夜を徹して研究なんかしたくない。
だというのに、いまいち断れずに渋っていると、
たちまちカメラや差し入れのフィルムまで積まれてしまう。
そもそも毎日出るわけでもないだろう。自分がそう上手くユーレイとやらに遭遇できるとは限らないではないか。
だというのに、同僚達は自分が今夜一晩研究所にいる、というだけで期待の眼差しを向けている。

「・・・私は、今回新棟しか行かないんだが・・・」
「いや、オレはお前を信じてるぜ!きっと旧棟まで行ってくれるってな!」
「期待してるぜ〜。一晩張り込みしてりゃ、ユーレイも捕まるだろ。君だけが頼りだ!うむ」
「・・・張り込み・・・、、、」

ギルバートは脱力した。冗談じゃない。何のためにわざわざ深夜勤の申請をしたというのだ。
どうせ、必ず遭遇できるとは限らないのだ。仲間達には後日そう言って、自分は旧棟に行かなければいい。
・・・第一、行ったところで何があるというのだ。
ユーレイなんているわけがない。いてたまるか。
実は一番非科学的なことが嫌いなギルバートは、内心びくついているらしい自分を戒めて、
夜勤への覚悟を決めたのだった。









―――が、しかし。
そう上手く、ギルバートの思うように行くはずもなく。

「・・・資料・・・・・・」

あるはずの肝心の資料が、手元の大量の書類の中にないことに、
ギルバートは愕然と言葉を洩らした。
つい最近完成した新棟は、新型の機器類が充実しているためほとんどの研究は新棟で行われているのだが、
まだ各研究室の中身は移動し切れていない、というのが現状だ。
旧棟を取り壊す予定もここしばらくはない上、場所もすぐ近くであるため、
必要最低限以外はそのままにしている研究室も多く、
そしてまた、ギルバートの所属している研究室もそんな中のひとつだった。
だから念入りに用意してきたつもりだったのだが、この有様である。

もう既に、時間は日が回っていた。
だが、だからといって広い棟内では別にギルバートだけがいるわけでもなく、
守衛の者はもちろん、同じく深夜勤の者もいる。いるのだが、
さすがに夜の旧棟は誰もいない。
先日幽霊を見た、という彼女も、運悪く旧棟に行くハメになってしまったからなのだ。
ギルバートはそれを思い出し、しばし手元のガラス器具と窓の外の旧棟を見比べ、・・・そしてため息をついた。

「・・・行くしかないか・・・」

ギルバートは護身用の銃を確認した。
幽霊に銃がきくと思っているわけではない。ただの気休めだ。
そもそも、幽霊などいるはずがない。ただ暗く、異様な雰囲気があるためそんなことを考えてしまうのだろう。
それに、・・・誰かいたとしても、同じように深夜勤の者がいるだけかもしれないではないか。
そう自分に言い聞かせつつ、ギルバートはカツカツと誰もいない廊下に靴音を響かせる。
知らず知らずのうちに、ごくりと唾を飲んでいた。
喉が渇く。まったく、情けなさ過ぎて涙が出てきそうだ。
深夜の廊下は暗すぎる。非常灯のぼんやりとした明かりだけでは、恐怖を煽るものでしかない。
ギルバートはやっとのことで旧棟の奥にある自分の研究室にたどり着いた。
幸い物音はしなかった。ギルバートは胸を撫で下ろした。

ギルバートの所属する研究室は、この国立理化研でも一番注目されているものをテーマに扱っている。
すなわち、遺伝子工学。
コーディネイターにとってはなくてはならない部類であり、そして最も身近な学問だ。
だが、今はそれ以上に重要な役割を担ってきていた。

『コーディネイターは子供ができにくい』

その事実が発表されたのは、つい最近のことだ。
一世代目のコーディネイター同士ならば、まだ子は生まれる。だが、その子供たちの代の出生率が、恐ろしく低かった。
コーディネイター達にとっては一大事である。未来を作れぬ存在の、その先に待つものは絶滅でしかない。
そうして、プラントでは躍起になって、この研究を行うようになった。
ギルバートのいる研究室は、その最先端の場所。

そこまで考えて、ギルバートは憂鬱そうに視線を泳がせた。

この研究所に所属して2年になる。アカデミー高等部を卒業し、そのままストレートでここに入った。
元々、何がしたかったとか、そういうわけではなかった。
ただ父親が遺伝子関連の研究員であったから、ただ漠然と、子供の頃から研究部門を目指すのが当たり前になっていた。
そうして、・・・現実を見せられた。
子供が生まれないという事実。今はただ、それを打開する策を探して、
日々研究を続けてはいるが、果たしてその法は見つかるのだろうか。
ギルバートは過去、自分やこの研究所が失わせてきた数多の命を思い浮かべ、ひっそりとため息をついた。
必ず、見つけてみせる。そうしなければきっと、自分たちが死なせてきた命も浮かばれないはずだ。
室内のライトをつける。やっと、周囲の明るさに安堵する。
ギルバートは棚の書類を漁り始めた。
確か、この束のあたりに一緒にしまって置いたはずだ。



――――――・・・?



静寂が周囲を占める中、微かにガラスを打つような音に、
ギルバートは手を止めた。
耳を済まして見たが、何も聞こえなかった。気のせいだろうか?
第一、聞こえてきたのは、部屋の奥にある薬品庫だ。
中は調合室なども備えてあり、なかなか広い部屋なのだが、
そこには高価な薬品であったり、劇薬であるものが多いため、元々研究室長の許可なしには鍵も借りられない、
いわば厳重管理の場所である。
今回ギルバートは手元にその鍵を持っている。そのため、誰か先客がいるとは考えられなかった。
また、カタリ、と音がした。
ギルバートは確信した。

何か、いる。

結論づけた瞬間、背筋が凍る思いがした。
真っ暗で、誰もいない旧棟を、ここまできた。
こんな、勝手に入ることなど許されないはずの場所で、物音がするなど、
これはもしかしなくとも、同僚達の言っていた"ユーレイ"ではないのか。
ギルバートは拳を握り締め、そっと薬品庫のドアに近づいた。

本当は、逃げ出したいほど怖かった。
だが、ここで逃げなかったのは、彼らに言われた通り写真を撮るためではもちろんなく、
そもそも幽霊など信用できない心が勝っていたからだ。

ここには、今、誰かが、いる。

その誰か、が知りたかった。
そして侵入者ならば、自分の正義感が許せなかった。
ここは、未来のプラントを担う場所なのだ。
そのためかなり厳重なセキュリティが施されており、守衛の者も多くいる。
だというのに侵入者、などと、有り得ないと思った。
だからこそ、見てみたかったのかもしれない。

この警備網を潜り抜けてまで、ここに来た、その存在に。

銃を手に、ギルバートは近づいた。
部屋のライトを消し、そっとドアを開ける。
先へ進む。その「存在」は、案の定、薬品庫の奥の、調合室に"居"た。
白いコートの背にかかる、波立ったような金の髪。
微かに記憶の底を引っかくような既視感に、ギルバートは目を細める。
男は、手元の薬品を使って何かをしているようだったが、
白衣も着ていない、文字通り部外者の出で立ちだ。
こんな所まで来て何をしているのか、どうやってここまで侵入してきたのか、
多くの疑問がギルバートの頭を掠めるが、
今はそんなことを考えている場合ではない。
男は次に、褐色瓶に入った薬品を手にしていた。
白ラベルに赤枠、赤文字のそれは、人間には劇薬のもの。彼は本当に、何をしているのだろう。
ギルバートは男の手元をよく見ようと、隠れていた場所から身を乗り出した。
その瞬間、足元で鈍い音が鳴る。
背筋が凍った。運悪く、足元にあったシュレッダーにぶつかってしまったのだ。
だが、それを悔やんでいる暇はなかった。
男に自分の存在をバラしてしまった。もう、隠れてなどいられない。
ギルバートはとっさに手元の銃を向けた。

「動くな!!」

男の背に銃を向けながら、しかしギルバートは恐怖に震えていた。
公的機関に所属する者は、その身の狙われやすさから銃の携帯を許可されている。
だが、それをまさか、こんな場面で使うことになるとは。
未だ背を向けたままの男を、ギルバートは睨みつけた。
不意に、男は笑い出した。

「っ・・・何がおかしい!」
「その声・・・、お前だな。ギルバート・デュランダル」
「・・・!?」

ギルバートは目を見開いた。
自分の名を当てられたことも驚きだったが、それに、何より。
耳を打つ声が、あまりにも似ていた。
記憶の中の、あの"彼"に。
会いたいと思いながら、そして2年も経ってしまった、あの青年に。
男はゆっくりと振り向いた。
記憶の中の"彼"が、その金の髪を揺らして、こちらを振り向いた。

「・・・・・・ラウ、ル、クルーゼ・・・」

ギルバートは愕然と、その名を口にした。
目の前の男は、白のコートを羽織り、顔の上半分を白い仮面で隠していた。
だが、冷たい仮面の下から覗く口元だけで、ギルバートにはその美しい顔立ちが見て取れる。

あれから2年。幾度も会いたいと思った存在が今目の前にいることに、
ギルバートは激しく動揺していた。
手元の銃が揺れる。
だが、クルーゼはそんなギルバートを鼻で笑うだけで、ゆっくりと彼のほうに足を進めてくる。

「・・・っ来るな!!」

ギルバートは思わず叫んでしまっていた。
会いたくて仕方なかった存在。だというのに、今のギルバートにはその思いに素直に同調することができない。
深夜の研究室。しかもこれほど奥まった場所で。
完全に部外者であるはずの男が、ここにいること自体、間違っているのに。
クルーゼは足を止め、ギルバートに顔を向けた。ギルバートは彼を睨んだ。男は薄笑いを浮かべている。

「なぜ、こんな所にいる、クルーゼ。ここは部外者立入禁止だ」
「わかっているさ。そのくらい」
「なら、なぜ!・・・どうして、こんなことをしているんだ・・・っ」

ギルバートの語尾が不意に揺れる。
思い返せば、クルーゼはアカデミーでは自分と同じ遺伝子学教室の配属生だった。
彼自身は1年足らずしか所属していなかったが、通例3年はかかる基礎学科を1年で修了してしまった秀才には、
この類の薬品は見慣れたものだろう。
だが、一体、何のために?!
そして何より、どんな理由にせよ、研究所に用があるなら、自分を頼ってほしかった。
彼は、自分が"ここ"に勤めていることを知っていたはずだ。
だというのに、それを無視され、こうして忍び込まれているのが、哀しかった。
ギルバートは拳を握り締めた。

「・・・クルーゼ・・・」
「・・・お前には、関係のないことだろう」

しかし、そんなギルバートを、クルーゼは切って捨てる。
今だ銃を自分に向けてくる彼が、しかし全く撃つ気力を失くしているのをいいことに、
クルーゼは冷徹な言葉だけを吐き、そして背を向ける。
何も語ろうとしないその白い背中に、ギルバートの唇が震えた。
関係ない。その言葉が、ひどく痛かった。
自分だけがあの過去の時に囚われ、彼に心を奪われてたのだと自覚させられる。

「っ・・・関係ない、だと?・・・私はっ、・・・お前が・・・っ・・・!」

震える声が紡いだ自分の言葉に、愕然とした。
とっさに口元を押さえる。何をその先に言おうとしたのか、それすらもわからない。
ただ、残酷な背中を振り向かせる言葉は、それしか見つからなかった。
関係ない、などと言われたくない。
いつだって、彼のことを気にしていた。
多少の無理を押してでも、彼が望むなら手を貸してやりたいと思っていた。
それなのに、その心すらも否定されるのが嫌だった。
クルーゼはその言葉に手を止めた。
ゆっくりと振り向く。銃口がクルーゼの真正面に向き、ギルバートは銃を下ろした。
もう、意味がないのだ。
自分が彼を撃つなど、考えられない。
撃てるはずがないのだから。
クルーゼが一歩、足を踏み出した。

「・・・前に、言わなかったか?私に関わると、ろくなことはないと」

男の表情が、憐れみを宿す色に変わる。
同時に脳裏に蘇る若き日の思い出に、ギルバートは唇を噛んだ。
そう、確かに彼は、あの時言っていた。
これ以上、自分に関わるなと。そうして、関わればろくなことにならないと。
だが、今更どうしてそれに従えるというのだろう。
もう、既に関わってしまっている。2年が過ぎても、彼を忘れられない自分は。
そんな言葉に素直に従っていられたなら、こんな想いはしていない。
今更、どうしろというのだ。ギルバートは決意の篭った瞳で、クルーゼを見据える。
何も言わず、強い光を自分に向けてくるギルバートに、
クルーゼは喉の奥で笑った。
足を進める。ギルバートはもう、仮面の彼のすぐ目の前だ。

「っ・・・。クルーゼ」
「お前は、どうしようもない馬鹿だな」

耳を打つ男の声音は、本当にひどく懐かしかった。
もちろん、2年の歳月は彼を少年から大人にさせただろう。
自分の知らない顔を、かれは持っている。どうしようもないことだというのに、
ギルバートはそれを悔しいと思う。
だがしかし、そんなことを考えていられるような余裕は、もはやギルバートには残されていなかった。
いきなり、クルーゼは青年の手首を掴み、頭上に捻り上げた。
突然のことだった。予想もつかない強い手の力に、ギルバートは知らず呻き声をあげてしまう。
そのまま、背後の壁に叩き付けるように押さえつけられ、
痛む背中はぞくりと恐怖を伝える。
手首を捻られ、持っていた銃がクルーゼに奪われた。
ガチャリ、と嫌な音がして、数秒後には胸部に宛がわれる硬質な感触。
クルーゼは口元で薄笑いを浮かべ、自分を覗き込んできた。
息が止まるような、そんな瞬間。

「・・・っあ・・・」
「ただ見逃してくれたなら、こうする必要もなかったんだがな」

恐怖を煽るだけの冷徹なクルーゼの言葉に、
ギルバートは本当に死を感じた。
殺される―――。なんともいえない絶望感が、ギルバートの胸を強襲する。
だが、なぜか嫌だ、とは思わなかった。
逃げたいとも思わなかった。その理由は、ギルバートにすらわからない。
耳元で、クルーゼの笑った気配がした。

「・・・一度、お前をこうして見たかった」
「・・・っう・・・!!」

言葉が耳を打った瞬間、唇に嫌な感触が走り、ギルバートは目を瞑った。
生暖かく、濡れた感触。それがクルーゼにキスをされたのだとわかるまで、数秒かかった。
相手は年下の同性。信じられない状況に、ギルバートは青褪める。
だが、夢ではなく現実である証拠に、
クルーゼの舌がギルバートの歯列を割り、口内に侵入してこようとしていた。
ギルバートは必死に抵抗した。だが、歯茎のあたりを執拗に舐められて、背筋が震える。力が抜けていく。

「っ、ふ・・・、うっ・・・」

逃れようと頭を動かした。だが、逃げ場はなかった。
クルーゼの唇はどこまでもおいかけてきた。そんなことをしている間に、
ギルバートは舌の侵入を許してしまう。
まるで違う生き物のように動き回るそれに自分のそれを絡み取られ、眩暈がする。
舌先を甘く噛まれれば、もうギルバートに抵抗する力は残っていなかった。
息苦しさに、ギルバートは眉を寄せた。
不意に腰ベルトを外され、ハッと息を飲んだ。
頭上の両手首を、それで縛られる。
簡単に拘束された腕は、もはやギルバートにはどうすることもできなかった。

「やっ・・・、めろ・・・!何をっ」
「・・・一度、お前を犯してみたかった。絶望を知らないその顔に―――・・・」

直接的な言葉に、文字通り背筋が凍った。
クルーゼの空いた片手が、ギルバートの顎を強く掴んでくる。

「絶望を刻んでみたかった」
「っ・・・」

再度唇を奪われ、ギルバートは目を閉じた。
現実を見たくなかった。同性に犯されるということが、どれほどの恐怖か。
それに、過去、共に過ごした大切な者が、
こうして自分の知らない顔を見せ、そして自分に屈辱を与えてくる、など。
信じたくない。
信じたくなかった。
クルーゼの唇が、ギルバートの首筋に落ちてきた。
立てた襟の内側の、白く滑らかな肌が、薄暗い部屋に映える。

「・・・っ!」

片手で襟元を掴まれ、ギルバートは恐怖した。
身を捩り、その場から逃れようとするが、拘束されたままの腕はびくともせず、下肢はクルーゼに捕らえられたまま。
白衣の前をはだけられ、着ていたシャツのボタンをゆっくりと外される。
露わになった素肌が、ひやりとした室内の空気に晒された。
ギルバートは唇を噛み締めた。

たとえ相手がクルーゼであっても、ギルバートの心は彼を拒絶していた。
2年が過ぎてもこうして忘れられず、会いたいと思うほど心を奪われた少年。
だが、自分が求めたのは、こんな関係ではないはずだ。
ましてや、こうして拘束され、無理矢理行為を迫られるなど、ギルバートにとって嫌悪以外の何物でもない。

「っあ・・・!や、めろっ・・・!こんなことをして、何になる・・・!」
「何になる?フ・・・、そうだな」

クルーゼはくくっと笑った。得体の知れない陰湿な空気が、ギルバートを襲う。
感じたこともない恐怖だった。逃げるように瞳を閉じる。
顔を背けると、クルーゼはその部分に口付けて、強く吸い上げてくる。
ギルバートは悲鳴をあげて仰け反った。襟元の目立つ部分に、紅色の痕が鮮やかに刻まれる。
そのまま、クルーゼは手をギルバートの下肢へと下ろしていった。
ギルバートは息を詰めた。先ほどベルトを外した、その手がボトムを脱がせようと動く。

「・・・っや、やめろ・・・!そこ、は・・・っ」
「恥ずかしいのか?」
「っ・・・」

からかうような声音に、唇を噛んだ。
顔が朱に染まるのを抑えられない青年は、それでもクルーゼの言葉に素直に頷けない。

「っひ・・・!」

するりと内部に入り込んできた手のひらに、ギルバートは声をあげていた。
手を拘束されているのが辛い。
今すぐにでも、肌蹴られた箇所を隠したかった。他人の手で暴かれ、目の前に晒されるなど、
耐えられない。死んだほうがマシだと思えるくらいに。
だというのに、目の前の彼はそれこそが目的であるかのように、
眉を寄せ、羞恥に唇を噛むギルバートを覗き込んでくる。

「や、めろ・・・」
「・・・・・・イイ顔だ」
「あっ!・・・っ」

クルーゼに前を取られ、ギルバートは身を竦ませた。
クルーゼの手は、自身の熱よりは冷たく、ひやりとした感触をギルバートに与えてくる。
ギルバートは息を飲んだ。
彼の触れられた箇所から、ぞくりとした震えが走る。

「・・・っ・・・!」
「感じているようだな?」

手の中に包み込んだそれが、すぐに硬さを帯びてくる感触に、クルーゼは哂った。
これほど心は抵抗しているというのに、正直な身体の反応は、ギルバートを愕然とさせる。
クルーゼの手が、ギルバートを追い詰めようと動き始めた。
根元から先端までを強く擦られ、ギルバートは仰け反った。嫌だ、と首を振る青年を、
クルーゼは唇を塞ぐことで動きを封じる。
絡む唾液と、下肢を濡らす自身の先走りが弾けるような音。
静かな部屋に響くのは、そんな卑猥な音と、全てを囚われる青年が漏らす甘い吐息だけ。

全く身動きが取れない状態で、それでも男に抱かれる悦びに打ち震える体に、
クルーゼは自身の欲が煽られるのをはっきりと感じた。
彼の目の前にあるのは、
美しい顔立ちに白磁のような肌。その滑らかな頬に朱を吐いた、乱れた表情を見せる青年。

ギルバート・デュランダルといえば、若くしてその論文が広く評価され、遺伝子学界では有名な学者だった。
父親もまた、有名な科学者だった。
故に、幼い頃から将来の天才科学者として注目されていた面もあったかもしれない。
彼はそんな周囲の期待を裏切らず、賢く、そしてよくできた人間だった。

そんな彼に、クルーゼが近づいた。

もちろん、ただの偶然ではない。
テロメアの短いクルーゼにとって、遺伝子学はいわば自らの命を握る学問だ。
そのために最先端の理学アカデミーに入学した。彼の目的は純粋な学問のためではなかったが、彼らの出会いは必然だっただろう。
クルーゼは初めて顔をあわせたときのことを思い出していた。
飛び級をしてまで研究室に配属されてきた自分に、ギルバートはどう思ったろう。
元々能力を遺伝子操作によって高められているコーディネイターの中にあって、
クルーゼは当然のごとく他人の負の感情を見せ付けられてきた。
だから、そんな感情など知らない、とばかりに屈託のない笑みを向け、手を伸ばしてくる彼を見て、
同じようにその手を握り返しながらクルーゼは思った。
愚かなほどに幸せな男だ、と。
人を疑うということを知らない男だった。
彼の所属する研究室の教授は、彼の研究を自らの成果として発表し、賞賛を浴びていた。
その能力故に周囲には煙たがられ、そのくせ同時に利用されていることすら気付かない哀れな男だった。
どれほど純粋培養で育てられてきたのかと思う程に。
そんな、人間の心の闇とは無関係な世界で生きている彼を、クルーゼは鼻で哂った。
いつかその心に潜む闇を引きずり出してやりたいと思ったのもこの頃だ。
そうして今、彼はありったけの負の感情をその暁色の瞳に浮かべ、自分を睨みあげてくる。
クルーゼは低く笑った。所詮、人間とはそんなものだ。

「あっ・・・!・・・も、やだっ・・・やめ・・・!」
「いい声で啼くんだな」

ギルバートの必死の懇願も、クルーゼを楽しませるだけ。
手の中のそれは、もはやはち切れんばかりに震えていて、もはやギルバートに取り繕う暇などない。
男の手に高められ、達かされるなど、どれほどの屈辱だろう。
だが、逃げ場をとうに失った青年に、抗う術などあろうはずもない。
力の抜けたギルバートの胸元の飾りを、クルーゼは舌に絡めた。
強く吸い上げ、そこに歯を立ててやれば、ギルバートは耐えられない、と何度も首を振る。
限界がすぐそこまで来ていた。ギルバートは頭上の拳を強く握り締める。

「・・・もっ、やめ・・・。放せっ、クルーゼ・・・っ!!」
「達きたいなら、このまま達けばいいだろう」

泣きそうになりながら訴える青年に対し、クルーゼは相変わらず楽しげで、
そんな彼の手で達かされることにギルバートはたまらない羞恥を覚えるが、暴走を始めた身体は止まらない。
クルーゼの両手が、ギルバート自身を挟み込み、強く擦りあげた。
瞬間、目の前が真っ白に染まった。何も考えられなくなる。
指先まで痺れるような快楽に、全身がうち震える。

「あっ・・・あ、ああ・・・っ!!」

甲高い嬌声を上げて、青年はついに脱落した。
自身の胸元を汚す白いそれを目にして、ギルバートはこの上ない羞恥を覚える。
だが、今更。
想いを掛けていたはずの存在に、強引に行為を迫られた。
裏切られた、という思いが今の彼を支配していた。
放心。抜け殻のようなギルバートの瞳から、不意にぼろぼろと大粒の涙が零れてくる。
湧き起こるなんとも言えない感情も、ギルバートには初めてで、
どうしていいかわからなかった。
壊れたギルバートに、クルーゼが囁いてきた。

「・・・あ、」
「愚かだな。・・・実に、愚かだ」

力が抜け、壁をずり落ちるギルバートを見下ろし、クルーゼは嘲笑った。
すっ、と頬に手を差し延べられ、しかし青年に動く気力はない。
そのまま、クルーゼの腕に抱かれ、身体を反転させられても、もうギルバートはなすがままだった。
素肌に触れる冷たい壁が、辛うじて彼の意識を保っていた。
クルーゼの両手が、彼の腰を支えた。
何が始まるか、想像したくもなかった。ギルバートは瞳を閉じた。

「だが、仕方なかろう。これが代償。私の領域に良かれと踏み込んだお前が、受けるべきもの」

クルーゼの言葉が、ずっと遠くに聞こえた。
まるで、夢の中の声音のように。
身体の奥に指を宛がわれる感触は、本来ならば耐えられないほど屈辱的な行為なのに、
今のギルバートには何も感じなかった。奥に、強く侵入してくる。
狭い内壁を、ぐるりと指で強く拡げられて。
自然と、声が洩れた。痛みが、快楽に摩り替わっていく。
クルーゼの指先に絡んだ体液のお陰か、抽挿はそれほど苦痛ではなかった。
指を増やされ、中を好き勝手に蹂躙される。力の抜けたそこは、クルーゼを拒む素振りなどない。
ただ、ひくひくと内部を犯すそれを求めるかのように、
その部分が口を開いていた。クルーゼは卑下た笑みを浮かべる。

「・・・ギルバート」
「っあ、・・・」

耳元で低く囁かれ、無意識に身体が反応した。
従順になったギルバートに、クルーゼはその耳に舌を這わせ、そうして歯を立ててやった。
壊れた彼は、ただクルーゼに反応を返す、生きた人形でしかない。
音を立てて奥を愛していた指を、引き抜く。そうして、自身の楔をその部分に宛がう。

「う・・・、あ、ああ・・・っ!」

ぐっ、と侵入してきたその熱の塊に、ギルバートは目を見開いた。
考えることを放棄していた頭が、一瞬にしてその強烈な痛みに叩き起こされたようだった。
初めて同性を受け入れた身体は、考えられないくらいに口を開かされている。
ギルバートはあまりの痛みに耐え切れず、声を漏らしていた。
繋がった部分から、引き裂かれ、灼かれてしまうような気がした。
先ほど感じた恐怖がまた思考を埋め尽くし、ギルバートは逃げようと身を捩る。
怖かった。自分の身体が壊れてしまうほどの衝撃に、
その痛みに堪えられる自信がなかった。
ギルバートは何度も首を振り、クルーゼに訴えていた。

「痛っ・・・!や、もうっ・・・・、やめ・・・!」
「・・・もっと啼け。もっとだ」
「や・・・!あ、あっ・・・、っ・・・!」

だが、残酷な言葉だけをギルバートに与えるクルーゼは、
さらにギルバートの内部を蹂躙しようと、腰を抱え、強く、乱暴に腰を打ち付けていく。
強引に開いたそこを、更に拡げるように手を添えられて、
内壁はその襞を自身で激しく擦られる。
何度も奥を貫かれ、揺れる下肢に、ギルバートは次第にそれに合わせるように吐息を漏らしていた。
クルーゼが腰を進める度に、液体の弾ける音が周囲に響き渡った。
眩暈のするような羞恥と、そして快楽がギルバートを襲った。
苦痛はいつの間にか、快感に摩り替わっていた。
朦朧とした意識の中、ギルバートは嬌声を上げていた。
人間としてのプライドも、男としてのプライドも、全てを失ったギルバートにあるものは、
自身を高める灼熱の楔と、それに感じて声をあげる、愚かしい自分だけ。

「いっ・・・、あ、ああっ・・・」
「フ・・・、いいな、お前・・・・・・」

嘲るようなクルーゼの言葉も、もはやギルバートの耳には届いていない。
打ち付ける腰の動きが、次第に早まるにつれ、青年の声も高まった。
快楽を示し蜜を漏らす前を、クルーゼの手が強く戒める。
途端、ぎゅっと下肢の奥に力が込められた。クルーゼは眉根を寄せた。きつい締め付けに、一瞬気が遠くなる。
極上の身体はしっかりとクルーゼを咥え込み、決して離そうとはしなかった。
クルーゼは笑った。自身の限界を感じ、更に奥を突き上げる。

「あっ!あ、ああ・・・っ」
「・・・っ」

絶え間なく洩れる声音に流されてしまいそうだった。
ギルバートの身体が自分に与える快楽に、内心舌を巻いた。男娼でもすれば、きっと金になるに違いない。
その優面の顔が快楽と涙に歪んでいる姿を想像して、クルーゼの熱が一気に高まった。
グイ、と顎を掴んで、顔を自分のほうに向けさせる。

「う、・・・っ」
「ギルバート・・・」

クルーゼは唇を重ねると、激しくその舌を絡めた。
どちらともつかない銀糸が、ギルバートの頬を汚していった。構わず口内を蹂躙する。
重力に落ちかけるギルバートの身体と、それを突き上げるクルーゼに、
繋がった部分はひどく広がり、そして快楽欲しさに収縮を繰り返していた。

「あ、んっ・・・、も、やああっ・・・!」
「っ、・・・」

手の中のそれが弾けた瞬間、彼の奥もまた激しく収縮し、
クルーゼは耐え切れずにギルバートの体内に自身の劣情を吐き出した。
どくどくと流し込まれる熱い体液に、青年の意識が消え失せる。
力を失った彼の身体を抱き止め、クルーゼは笑った。
あれほど純粋で、真っ白だった存在が、今は精に濡れ、憔悴しきった顔で自分の腕に収まっている。
自身が壊したギルバートを、クルーゼは満足したように見下ろしたのだった。










目が覚めると、そこは研究室の一角だった。
徹夜組が仮眠を取る用に置かれたソファに寝かされていたギルバートは、
ずきずきと痛む頭を押さえ、ゆっくりと起き上がる。
節々が痛いのは、もう何も言うまい。嫌な現実を、わざわざ見据えたくもなかった。

今だ、薬品庫の明かりはついたままだった。
結局何をしているのか教えてくれなかった彼が、もどかしかった。
文字通り、彼に踏み込むために身を捧げた。屈辱だった。けれど、もう今更。
今度は、彼が踏み込まれる番だ。

不意にガチャン、とガラスの割れる音がして、驚いた。
そして、奥から聞こえてくる呻き声。
それが、確かにクルーゼのものであることに気付いた瞬間、
ギルバートは痛む身体を押して走り出していた。

「っ、クルーゼ・・・」

愕然とした。目の前の彼は先ほど自分に対し嘲るような笑みを向けた彼とは思えなかった。
震える拳をデスクに叩き付けて、彼の身を襲う苦痛に耐えるかのような。
こちらまで胸が痛くなるその姿に近寄れないまま、
ギルバートは彼の手元を盗み見た。
並ぶ劇薬の数々。割れたビーカーから溢れた液体からは、なんの化学反応か白い煙まで吐いていた。
こんなものを飲んでいたとしたら、苦しんで当然だ。死なないほうがおかしい。

「・・・・・・なんだ」

唐突にかけられた低い声に、ギルバートははっとした。
やっと発作がおさまったのか、荒い息をつくクルーゼに、ギルバートは唇を噛む。
あんなことをされた後で、彼への嫌悪が抜けきれていない中で、
それでも彼を身を案じてしまう自分。
結局、何をされても、自分にとって彼の存在が大きい証拠なのだろうか。

「なんで、そんなものを・・・死ぬつもりか、君は・・・」
「・・・死ねたら、いっそラクかもな」

バカにしたような、けれど疲れたようなクルーゼの言葉が痛い。
彼の傍まで来たギルバートは、並べられた薬品のひとつを、手に取った。
その表情が、みるみる険しいものに変わる。
ギルバートの声が震えた。

「これは、・・・まさか・・・!」
「・・・ああ」

さすがだな、と告げるクルーゼの言葉など、もはや、耳に入らなかった。
この処方には見覚えがあった。
よく使う処方だ。コーディネイターの子供が生まれない、その理由を究明する彼の研究には。
急速に命の光を失わせていく、彼らを無理に生かす手段として、ギルバート自身が考え、合成したものだが、
ひどい副作用のために実用化までは程遠いものだった。
それを、どうしてクルーゼが飲用しているのか。
悲愴な目で見下ろすと、クルーゼは苦笑と共にため息をついた。諦めに似たそれだった。

「・・・それが、一番効くからな。私には・・・」

それだけ言って、口を噤む。
クルーゼは多くは語ろうとしなかった。だが、ギルバートはもう聞く気はなかった。
わざわざこんな場所まで来て、侵入し、薬品を合成する。
見た目ではわからないが、おそらくは遺伝子の異常を示す病気でも抱えているのだろう。
ギルバートは、唇を噛み締めた。
もし、あの処方が完成していたなら―――。
これほど、クルーゼに苦しい思いをさせずにすんだのではないのか。
このところ行き詰っている自分が情けないと思った。クルーゼという存在がなおさらそう思わせた。
どうして、これほどまでに彼が気にかかるのだろう。
嘲るような表情、バカにされたような辛辣な言葉、そして与えられた屈辱に、
なぜ憎しみを覚えない。あれほど嫌がっていたはずなのに―――

「・・・もう、朝だ」

言われて窓を見ると、空が白みはじめていた。
早い者は、朝6時から研究所入りの者達もいる。さすがに部外者の侵入がバレれば大それたことになるだろう。

「・・・クルーゼ・・・」
「また来るさ。どのみち、もう私は、あれがなければ生きていけないしな」
「いつだ」

まっすぐなオレンジ色の瞳が、クルーゼを見据えてきた。
クルーゼは振り向いた。ギルバートの言葉が意外だったのだろう。
驚いたような表情を見せ、そして不可解そうに眉を寄せる。

「・・・ギルバート」
「いつだ。教えてくれ。私は・・・っ」

また、逢いたいんだ、と小さな呟きが聞こえた気がした。

「フ・・・また、犯すぞ」
「・・・それでも、・・・」

唇を噛んで下を向くギルバートに、クルーゼは苦笑した。
すっと近づいて、そうして唇を奪う。ギルバートが目を見開いたときには、もう唇は離れていた。
耳元を掠める際に、次の逢瀬の時を告げて。
気配だけを残して姿を消したクルーゼに、ギルバートは空を見上げる。
今日もまた、あの彼の瞳の色と似た青。

「クルーゼ・・・待っていろ。必ず、私が・・・」

手の中のあの薬瓶を握り締め、ギルバートは呟く。
猶予は、あと2週間。
ギルバートは決意の篭った瞳で今一度空を睨みあげると、
踵を返し、薬品庫を後にしたのだった。





end.





・・・銃口向け合い、好きだな、オレ・・・
議長なんて銃触ったこともないような。そんなことないか。アハ(オイ
ってか専門分野、スイマセン
一般にわかるように描くのって、大変だなぁ・・・




Update:2005/06/15/FRI by BLUE

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