08:それは反則だろ?



コンディションイエロー発令の後。
パイロットスーツを着てブリーティングルームに向かおうとすると、
通路の先に、紺の髪の青年が待っていた。
もちろん、あなただってことくらい、わかるけれど。
議長室から出て、わざわざこんな所にいるなんて。
足を止めて、かれを見た。
少し不安げな、オレンジ色の両の瞳。

「そんな顔、されましても・・・」

困る。もうすぐ、戦闘が始まるというのに。
あれほど、公では毅然とした態度をみせるあなたも、
俺に見せる素顔は本当に幼いね。
あなたは、なにも言わなかったけれど。
そんな瞳をされたら、反則だ。
身体の奥が、ぞくりと疼いた気がした。
放送は、すでにコンディションレッドの発令を告げている。
あなたが欲しくてたまらなくなる、そんな瞬間。

「ギル・・・」

どうしようもなくて、少し逡巡した後、
俺は、かれの手を握って、そのまま背伸びをした。
触れ合う、唇。
そうして、静かに言葉を紡ぐ。

「大人しく、待っていてくださいね」

俺は必ず、あなたの夢を守って見せますから。
そう、必ず。
あなたと俺が夢見た、幸せな未来を。









[レイギル好きに10のお題] by 吟遊ウルフ 様
Update:2005/09/25/WED by BLUE

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