降ってきた幸運



アークエンジェルの一室。
大尉クラスのフラガに与えられた部屋は、狭いながらも個室である。
ただ1つあるベッドに寝そべり、彼は大きくため息をついていた。
「はあ〜。。。。。。」
もう、1年になる。
あの血のバレンタインの悲劇が起こってからというもの、結局・・・というか当然というか、フラガはクルーゼに会えずじまいだった。
だからといって、呼び出すわけにもいかないし、無論自分からいけるはずもない。
そのため、彼は最近特に悶々とした日々を送っていたのだった。
・・・・・・・・・・・。
まぁ、こうしてボーッとしていても仕方ない。
フラガはやれやれと肩をすくめると、我ながらバカだよな、とつぶやいて部屋の電気を消した。
布団を被り、しばしの休息に身を委ねる。
しかし、唐突に幸運(不幸?)が降って来ることもあるものだ。(ほんとか?!)
案の定いきなり口元を手で塞がれ、フラガは目を見開いた。
「・・・っ!!?」
電気を消したばかりであるから、目はいまだ慣れていない。
わかるのは、誰かが自分の上にのしかかり自分の口を塞いでいる、ということだけで。
「―――――!!」
必死に逃れようとするが、相手の全体重を受けていては抵抗もままならない。
フラガは仕方なくその苦しさに耐えながら、手を伸ばしてライトをつけた。
瞬間、明るくなる部屋。そして、彼の上にいたのは・・・・・・。
「ク、クルーゼ?!なんでここにっ!!」
思わず大きな声を上げるフラガ。
驚きを隠せない彼に、彼の上に乗ったままのザフトの指揮官、ラウ・ル・クルーゼはニヤリと笑った。
「・・・おやおや。せっかく来てやったというのに、ごあいさつだな」
からかう様な口調に、フラガがムッとする。
「だ、誰がお前なんか呼ぶかよ!!」
あまりに動転して、心にもないことを言ってしまう。
自分の下で動揺を隠せないでいるフラガに、クルーゼは喉の奥で笑った。
マスクの下の口元には、悪魔のような笑みが刻まれ。
その恐ろしさに、フラガはかなり・・・引いた。
「フ・・・相変わらず素直じゃないな・・・。まぁいい。私が素直にさせてやろう」
途端、襟元を掴まれる。
問答無用で脱がされていく服に、フラガは青褪めた。





隊長×フラガ君。





「ばっ・・・お、おい!ヤメロっ!!心の準備もしてねぇのにっ!!」
「・・・準備などいるのか?」
「・・・ったりめぇだろ?!バカっ!!いきなり降って来てヤるかよっ!!・・・そうゆうデリカシーのない男なんか嫌いだっ!!」
いつになく抵抗の激しい彼に眉を顰める。
それから、クルーゼはドアの方を見やった。
その瞬間、フラガの部屋のドアが激しく叩かれる。
「フラガ大尉?!どうなされましたか?!!」
ラミアス大尉他の声だ。
皆、フラガの叫び声に跳ね起きたらしい。
フラガはぴしっと固まった。
「・・・・・・・・・・な、なんでもない。いやー、悪い夢でも見たかなーあはははは(汗)」
苦し紛れのごまかしに、ドアの外の皆は顔を見合わせる。
彼らはその後しばらくドアに耳をつけていたが、それきり声はしなくなったので、結局引き上げていった。
まぁ、フラガの奇行は今に始まったことでもなかったので。
「・・・行ったようだな」
ドアの外に耳を傾けていたクルーゼがつぶやく。
少しも悪びれない彼に、フラガは非難がましい目を向けた。
「・・・お前のせいだぞ」
「何を言う。お前が素直じゃないから悪いんだろう」
つまらないことで火花を散らす2人。
しばらくにらみ合って、それからフラガは大きくため息をついた。
「・・・ま、いいや。どーせ来たんだ。飛んで火に入る夏の虫だってことを思い知らせてやるぜっ!!」
「何?!」
フラガの言葉の意味を認識する前に、今度は身を起こしたフラガに唇を塞がれる。
侵入してくる舌の熱さにクルーゼは心地よさを感じたが、次の瞬間あれ?と眉根を寄せた。
・・・なんで私がフラガのキスに溺れそうになるんだ?
絡めとられる舌を、それに応じるように甘噛みしようとして、先にフラガに舌を噛まれた。
「・・・っ・・・」
フラガに主導権を握られそうになり、あわてて肩を掴んで離そうとするが、
より深く口内を蹂躙され、クルーゼは身の恐怖を感じた。
・・こいつ、いつの間にこんなテクを身に付けたんだ?!
いや、そんなことはどうでもいい。これでは私のメンツが・・・・・・っ・・・
ついにクルーゼは折れ、フラガに寄り掛かった。口の端には銀に光る筋。
「へっへーv今日は俺の勝ちvv」
フラガのその言葉に、今度はクルーゼが青褪める。
有無を言わさず自分の上にのしかかるフラガに、クルーゼは恐怖を覚えた。
「ちょ・・・待て・・・」
「何言ってンだよ。今日は俺がお前を抱くの。おとなしくしてろよ」
腰に手を回されベルトが緩む。
ちょっと待て!!どうしてこうなる?!
私はフラガを抱きにきただけだというのに・・・!!
クルーゼの心の叫びもむなしく、どんどん服は脱がされていった。
露になった下肢に、手がかかる。
「―――――っ、やめろっ、バカ者!」
「あーもう、うるさいっての!」
フラガは抵抗を続けるクルーゼのマスクをパカッと取った。
今は誰にも晒していない素顔が、みるみる真っ赤に染まる。
フラガは、クルーゼが仮面を取るとぞくぞくするほど受けキャラになることを知っていた。
染まった頬に口付ける。
「さぁ、お姫さま、愉しい時間の始まりですよ♪」
「っ・・・バカ・・・っ・・・」
反抗する声も弱弱しく。
仮面を取られたクルーゼは、あきらめたように体に力を抜いた。
その上に、喜びで一杯のフラガがのしかかる。
クルーゼはフラガの愛撫を受けながら、(今度こそ私が勝ってやる・・・!)と固く心に誓ったのであった。







Update:2003/12/07/SUT by BLUE

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